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2008.11.10
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The Three Orders

The Three Orders. Feudal Society Imagined
The University of Chicago Press, 1982 (Paperback edition)
( Les trois ordres ou l'imaginaire du feodalisme , 1978, Gallimard)

 ジョルジュ・デュビィ(Georges Duby, 1919-1996)はコレージュ・ド・フランス教授、アカデミー・フランセーズの会員でした。邦訳書も多く刊行されています。私が所有している本の中から二冊、例を挙げます。
ジョルジュ・デュビー(篠田勝英訳)『中世の結婚―騎士・女性・司祭―』新評論、1984年
デュビィ(池田健二/杉崎泰一郎訳)『ヨーロッパの中世 芸術と社会』藤原書店、1995年

 今回紹介する『三身分』は、祈る者、戦う者、働く者という三機能論が、中世においてどのような意味をもち、どのように各々の言葉の含む意味が変遷したのか、ということを論じた、身分論研究の上では重要な一冊です。
 私は英訳で読み、しかも電車の友にしたので辞書も引かず流し読みの部分も多くあり、十分な整理はできていませんが、とにもかくにも通読することができました。


 構成は以下の通りです。

ーーー
前書き(Thomas N. Bisson)
謝辞
研究の領域

第1部 啓示
 1.最初の定式化
 2.ジェラール・ド・カンブレと平和
 3.ランのアダルベロンと王の使命
 4.体系

第2部 創始

 6.一致
 7.諸身分(諸秩序)
 8.諸機能―祈ることと戦うこと
 9.三元法ternarity
 10.天の模範


 11.政治的危機
 12.競合体系
 13.封建革命

第4部 失墜
 14.修道士の時代
 15.フルーリ
 16.クリュニー
 17.新しい時代
 18.修道主義の最後の栄光
 19.学校にて
 20.君主への奉仕のなかで

第5部 復活
 21.真の出発
 22.騎士道
 23.パリでの抵抗
 24.封建主義の矛盾
 25.採用

エピローグ

略号一覧
註
索引
ーーー

 先日紹介した フランドロワ編『「アナール」とは何か』 の中では、多くの研究者がデュビィを名文家・美文家と評しています。本書の構成を見ても(日本語訳が不適切な部分もあるかもしれませんが)、がちがちの研究書というよりも、どこか物語の目次のような雰囲気があります。
 さて、本書には二人の主人公がいます。第2章と第3章で詳述される、カンブレ司教ジェラールと、ラン司教アダルベロンです。二人が、祈る者、戦う者、働く者という三身分論を定式化した最初期の人物だからです(11世紀初頭)。以後、本書では、他の人物による定式化や言葉の意味を見るときも、たいていこの二人の意見が参考として示されることになります。

 なにしろ整理が不十分なのでいろいろ書くのもためらわれますが、漠然と整理をしておきます。
 社会の人々を三区分するその分け方には、次のようにいくつかがあります。
・祈る者/戦う者/働く者
・聖職者/修道士/俗人
・処女/寡婦/既婚者
 聖職者と修道士は、「祈る者」の中に含まれて考えられたり、別個に考えられたりします。
 そして、時代背景と著作家自身の境遇から、それらの中のどこに重点が置かれるかが異なってきます。ジェラールとアダルベロンの頃は聖職者の重要性を説きます(なお、この頃は王の権威も強調しますが、しかし聖職者はその助言者として位置づけられることになります)。
 修道士たちの中には、修道士を司教などの在俗聖職者よりも上に位置づける人物がいます。
 本書の第5部―特に21章、22章あたりでは、戦う者として、王よりも騎士たちの存在が強調する思想が紹介されます。

 私が個人的に興味深かったのは、24章で取り上げられるthe White Capeです。以前読んでいたアシル・リュシェール『フランス中世の社会』(まだ通読していないので、記事は書いていません)のなかで、「白頭巾講」というのが紹介されていました。手元にあるその他の概説書をざーっと見る限り、この運動はふれられていないので、ずっと気になっていたのですが、今回出てきたthe White Capeがまさにそのことなのかと、すっきりした気分になりました。しかし『フランス中世の社会』は訳語が独特なので、「白頭巾講」以外になにか訳語がないのか、気になるところです…。

 本書自体の読み込みは不十分ですが、その他、関連する文献を挙げておきます。
 ジョルジュ・デュメジル(松村一男訳)『神々の構造―印欧語族三区分イデオロギー』は、タイトルのとおり、祈る者/戦う者/働く者という三区分が、印欧語族特有の思想だということを論じます。インドの『ヴェーダ』からはじまり、ギリシャ・ローマの神話などなどを分析、その他の文化圏にはこの三区分は見られないということも強調します。
(こちらは通読しているのですが、記事を書きそびれています…)

 もう一つ、Giles Constable, Three Studies in Mediecal Religious and Social Thought (ジル・コンスタブル『中世の宗教的・社会的思想に関する三つの研究』)の第三部「社会の諸身分」は、中世に見られる多様な身分の三区分法や身分観を、通史的に整理しています。デュビィの文章は(今回は英訳ですが、邦訳を読んでいても)私にはなんとなく読みにくくて苦手なのですが、コンスタブルの文章はすっきりしていて読みやすいように思います。こちらも、第一部「マリアとマルタの解釈」、第二部「キリストの模倣という理想」は未読なので、本の紹介は(できるとしても)相当先になると思います。
(2008/11/08読了)





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Last updated  2009.09.22 08:07:12
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
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