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2009.10.07
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~講談社ノベルス、2001年~

 第20回メフィスト賞受賞作、秋月涼介さんのデビュー作です。
 それでは、内容紹介と感想を。

ーーー
 いかなる欲求も抱かずに生きてきた霧嶋悠璃は、たった一つ、希望を見つける。それは、彼女が自殺を企図したときに出会った「先生」に殺されることだった。いつか殺してあげるよ―そう約束してくれた「先生」のもとで、彼女は殺されることだけを夢見て生きていく。
   *
 キャリア組の若き警視、鴻薙冴葉は、連続して起こっているいくつもの猟奇的な事件の解決に心を燃やしていた。犯人にコードネームを付けるのが癖の彼女は、過去の二つの事件の犯人に「人喰い魔(マンイーター)」「血涙に忍び寄る者(ブラッディストーカー)」の名を与えていた。そして、二つの事件に共通する、殺された上に左腕が切断された男の存在。それぞれの事件の犯人と思われる彼らを殺した犯人には、「見えざる左手切断魔(インビジブルレフトハンドハンター)」の名を与えていた。
 されに、猟奇的な事件が発生する。ほぼ時を同じくして殺された二人の女性。彼女たちは首を切断された上に、その首には犬の首が縫いつけられていたのだった…。

 石細工品の作成・販売を行う青紫堂にお手伝いとして通う鴇冬静流は、マスターの風桜青紫が作ったブローチをなくしてしまっていた。彼女が無断で持ち出し、大学で付けていたそのブローチを、彼女のサークルの先輩が奪い取ってしまったのだった。その後一週間、その先輩とは一切連絡がとれていなかった…。
 そして、そのブローチが犬首殺人事件に関係していることが判明する。
ーーー

 本書が刊行されたときには一度読んでいるので、おそらく8年ぶりくらいの再読になります(その間に再読しているかもしれませんが…)。
 例によって大部分は忘れていたのですが、鴻薙冴葉警視のことは印象に残っていました(その後の作品にも登場するからですが…)。事務処理能力には長けていながら、現場での行動や事件の判断能力にはどうも疑問符が付く彼女は、思い込みで行動しては、部下をいらいらさせてしまっています。おそらく最初に読んだときは、ずいぶん良くない印象を抱いた気もしますが、今回は、どちらかといえば憎めないキャラクタだと思いながら読みました(職場の上司がこうだと苦労が絶えないだろうと思いますが…)。
 まったく内容とは関係ないですが、静流さんと青紫さんが居酒屋で食事しながら事件について話をするシーンがあるのですが、その中で運ばれてくる料理が美味しそうで、読みながら食欲が刺激されてしまいました…(笑)
 事件の解明はそれとして面白かったのですが、本書では論理性よりも、背後の犯人たちの心理や行動のあり方の方を興味深く読みました。

 今回から、秋月さんの作品の再読を進めようと思います(といって、現時点での最新作の記事は既に書いているので、実質本書を含め3冊の再読ですが…)。

(2009/10/04読了)





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Last updated  2009.10.07 07:01:14
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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