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2010.01.07
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~ちくま文庫、2007年39刷(1986年1刷)~

 お茶の水女子大学名誉教授、外山滋比古(とやま・しげひこ)先生のエッセイ集です。学者さんのエッセイといえば、土屋賢二先生のそれを連想しますが、土屋先生もお茶の水女子大学の先生ですね。
 また、土屋先生のエッセイが、哲学論文風の文体をとったユーモアエッセイであるのに対して、こちらは読んで勉強になるなぁと実感できる一冊です。
 本書の構成は以下のとおりです。

ーーー
I.
グライダー
不幸な逆説

II.
発酵
寝させる
カクテル
エディターシップ
触媒
アナロジー
セレンディピティ
III.
情報の“メタ”化
スクラップ

つんどく法
手帖とノート
メタ・ノート
IV.
整理

時の試練
すてる
とにかく書いてみる
テーマと題名
ホメテヤラネバ
V.
しゃべる
談笑の間
垣根を越えて
三上・三中
知恵
ことわざの世界
VI.
第一次的現実
既知・未知
拡散と収斂
コンピューター

あとがき
文庫版のあとがきにかえて
ーーー

 構成の順番にしたがって、いくつかメモをかいておきます。

 まず、グライダー。これは、こんにちの学校(大学)教育で育てられている、材料を与えられればきちんと飛ぶことのできる人々のことをいいます。これに対するのは、飛行機。自分で試行錯誤しながら材料を組み立て、自分の力で飛ぶことができる人々です。そして、みんなで同じように飛ぼうとするグライダー人間を育てている学校で、自分の力で飛ぼうとする飛行機が混じっていれば危険だし迷惑だ、という状況が語られます(もちろん、外山さんはその状況を批判的に描いています)。

 第2部は、思考をまとめ、純化させるいくつかの方法を紹介します。たとえば、ある素敵なアイデアが浮かんだとき、まずはそれをメモにとる。そして、しばらくそのことは忘れておく。ここでは、思いついたある考えをずっと追っていても、それはきちんとした形にはならない、といいます。火にかけている鍋を気にして、もう煮えたかなとフタをとってばかりでは、なかなか煮えない―「見つめるナベは煮えない」ということが例にあげられています。

 3部は、ノートの取り方の紹介です。本を読んでいて、面白いところをカードに抜き書きしていく方法、本の重要なところをノートに整理していく方法、それぞれ一長一短です。私もずっとどうしたものかと考えているところですが、カード法は使ったことがありません。不向きそうで、長続きもしなさそうなので…。
 面白かったのは、つんどく法。いわゆる、買ったまま読まないのではなくて、まさにあるテーマに関する本を積み上げて、一気に読む、という方法です。ノートもとらない。同じテーマの本を何冊も読むことで、その分野の何が問題なのか、何が定説で何がまだ決着していないことなのかが見えてきます。そして読了後、記憶が薄れないうちにまとめてしまう、というのですね。これも私には向かないと思うのですが、論文をまとめるときなどは、ある程度は用いた方法です(ある章を書くときに、その章に関連する文献あるいはそのノートをひととおり見直す、という方法で書きましたので)。
 もう一つ面白かったのは、思いついた考えのメモのとりかた。2部について、ひとまず思いついたことはメモしておく、と書きました。そのメモをしばらくして読み返したときに、やっぱり面白そうだと思った考えについて、別のノートに、今度はより詳細に書き留める。さらにそのノートについても、もう一度同じ手順を繰り返す…。これは外山先生が実践されている方法だそうですが、最後のノートに書かれたアイデアは、自分がずっと興味を持ち続けていられるものなので、強みがある、ということをおっしゃっています。

 第4部は、忘れる、捨てることも整理のうち、ということなどを述べます。そして、お世辞でも―というか、どこか良いところを見つけて誉めることが大事だ、と指摘されます。研究に限らず、日常生活でもそうですね。あら探しや批判は簡単ですが、きちんと人の良いところを見つけていきたいものです。

 第5部は、考えをまとめるときに、しゃべることが重要だ、ということを述べます。できれば、自分の専門とは違う分野を専門にしている人と、思いついたことをどんどん話す。知人などの固有名詞や「~だった」という話は噂話・ゴシップ話になりやすいので、「~ではないか」というような生産的な話が良い、という助言など、とても興味深く読みました。

 第6部で面白かったのは、「既知のことの確認」、「未知のことの理解」、「まったく新しい世界への挑戦」という3つのレベルに知的活動を分類し、それぞれの読書は(重複する部分もあれ)異なるものだ、という指摘です。

 以上、おおまかに本書の内容を書き留めました。本書は、職場の先輩が、面白そうだよと紹介してくだったことで知ったのですが、まさにわくわくする読書体験でした。

(2010/01/02読了)





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Last updated  2010.01.07 06:56:08
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
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