第4部は、まるで筒井康隆さんのある種の短編みたいなむつごさがあります。そんな中、第3話は毛色が違います。これは、肥料を積んでロバを引いていた農夫が、町にやって来て、香辛料屋の前で、香辛料のにおいで気絶してしまうという話です。農夫は、肥料のにおいをかいで、意識を取り戻すのでした。 この話について、『フランス中世処世譚』でもふれた、ジャック・ド・ヴィトリの例話集にも同様の話があります。 The Exempla or Illustrative Stories from the Sermones Vulgares of Jacques de Vitry, London, 1890 (reprint., BiblioLife, 2009) の例話191番です(編者クレインも、この編訳書のもとになっているファブリオ集を指摘しています)。