のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2013.08.24
XML


~集英社、2004年~

『空を見上げる古い歌を口ずさむ』 でデビューされた小路さんの、初のノンシリーズ作品。本作以降、ノンシリーズ作品の発表が増えていきますね。

 本作は、3人の男女が主人公です。
 父親が「殺し屋」だという、三崎龍哉さん。そして彼の家に同居する、辛い過去を負う二人の男女、千田くるみさんと酒井光平さん。くるみさんは、入院している義父を殺したいほど憎み、同じく光平さんは、大企業の重役をつとめる兄を殺したいほど憎んでいました。
 そんななか、別居していて連絡もとらない龍哉さんの父が亡くなります。父は、龍哉さんに、車と、拳銃を残していました。その拳銃を、知人に届けてほしいというのです。
 拳銃を乗せて、北海道から横浜までのドライブが始まる―このドライブに、くるみさんと光平さんは参加したいといいます。それぞれの思いを果たそうと思う矢先、事態が急変します。

 事態が急変するまでは、二人のあまりにも辛くて重い過去が語られ、その殺意が成長する過程が緻密に描かれます。とはいえ、くるみさんもその過去ゆえに(というべきか)、とても明るく、光平さんもしっかりと生きていて、決してどろどろと重いばかりではありません。
 そして、事態が急変してから、物語のスピード感が一気に増していきます。前半で、3人の過去がしっかり描かれているからこそ、後半の事件はそのスピード感にもかかわらず深みも感じられます。

 発売当初に読んでいるはずですので、もう9年ぶりくらいの再読ということになります。この間、いろいろあったので、ある時期に読んでいたら、ものすごく揺さぶられただろうな、と思います。
 いまはもうずいぶん落ち着いているので、重いテーマではありますが、しっかりと味わうことができたように思います。
 素敵な物語です。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2013.08.24 10:14:15
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: