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2015.01.24
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Frances Andrews, The Early Humiliati
~Cambridge University Press, 1999 [paperback edition 2006]~


 修道院に入るわけではなく、仕事にも従事しながら、結婚している場合もあり、それでいて敬虔な生活を求める人々が、12世紀末頃のイタリアに(特にミラノを中心に)いました。彼らは、「フミリアティ」(Humiliai)と呼ばれます。聖職者の許可なく説教を行ったり、集会を開いたり、宣誓を拒んだりという観点から、一度彼らは「異端」の宣告を受けますが、その後、教皇インノケンティウス3世の尽力もあり、正統なキリスト教徒として、また独自の「修道会」として認可されることになります。
 異端と正統の、あるいは伝統と革新のはざまで揺れ動いた彼らの「独特の経験」の理由を明らかにすること、それが本書のねらいだと著者は言います。
 前置きが長くなりましたが、まずは本書の構成を紹介します。

ーーー
謝辞
略号一覧
地図

序論
第1章 伝統と歴史

第3章 Quia in nullo peccabant―1199-1201年におけるフミリアティの調査と認可
第4章 規則
第5章 共同体を求めて
第6章 新入会員と誓願宣言
第7章 統一性と単一性―中央集権的修道会の発展
第8章 諸地域におけるフミリアティと教会
結論

付録1 教皇(あるいは司教)書簡とフミリアティに関する特権の日付順リスト
付録2 誓願宣言
付録3 遺言状

参考文献目録

ーーー

 以下、簡単に各章のメモをしておきます。

 第1章は、古くは14世紀まで遡り、著述家・研究者によるフミリアティの評価を見ていきます。羊毛産業への従事という経済的側面や、宗教運動の観点からの評価など、従来の研究が紹介されます。

 第2章は、フミリアティが1201年に認可される以前の状況を描きます。敬虔な生活を営んでいた人々は教皇に認可を求め、その生活様式は、公での説教と私的な集会を除いて認められます。しかし彼らはその後も私的な集会や説教を行い、つまり不服従のために、1179年に異端とされます。従来の研究では、この異端的側面が強調されていましたが、そうではないのではないか、というのが著者の立場です。彼らは、同時代の脅威的な異端であったカタリ派に対して対抗する立場をとっていましたし、1186年にある都市のフミリアティ共同体は教皇から保護を受けたという事例も紹介されます。

 第3章は、異端とも目されたフミリアティが、教皇インノケンティウス3世により、1201年に認可されるまでの過程を詳細に見ていきます。ここで面白いのは、聖職者、聖堂参事会員、俗人といった多様なメンバーからなるメンバーが、自ら、一つの制度としての組織化を希望していたということです。本章では、フミリアティの代表者、彼らの会則の調査にあたった教皇庁の人々という具体的な個人に焦点を当てているのも興味深いです。



 第5章は、フミリアティの家・教会、住人のあり方、共同体の規模や共同体同士のつながりなどについて論じます。建物については、フミリアティの建物のなかでは、男女は別々に住んでいたこと、新たに教会を建てるには司教の許可が必要だったこと(そしてそれをめぐりフミリアティと司教が対立することもあったこと)などが指摘されます。住人に関して興味深いのは、女性の上長も存在したこと、フミリアティの活動は多くの女性を引きつけ、参加した女性たちも重要な役割を果たしていたということです。さらに、異なる地域の共同体同士で、メンバーの行き来やつながりがあったことが示されます。

 第6章では、入会時の誓願や儀礼について論じた後、家族での入会の事例や、入会前からフミリアティと関係のあった公証人が、入会後によい地位についたことなどが紹介されていて、興味深いです。

 第7章では、第一会から第三会まで存在するフミリアティに総長を設けるという制度が1246年に始まったこと、このことにより統一性を強めようとするも、フミリアティ内部で論争が起きたり総長を批判する者たちが出たりすることもあった、といったことが示されます。

 第8章は、在地教会や托鉢修道会と、フミリアティの相互関係が示されます。お互いに対立することもありましたが、著者は、基本的には共存関係にあり、対立は一時的であったことを強調しています。

 イタリアではフミリアティに関する研究も多いのでしょうが、邦語や英語ではフミリアティに関する詳しい研究はあまりないような印象です。本書は、背表紙の内容紹介では、フミリアティに関する英語での大部の研究としては初と評されています。具体例も豊富で、興味深い一冊です。





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Last updated  2025.02.18 22:52:02
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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