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2015.02.07
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Michel Pastoureau, Les emblemes de la France
~Editions Bonneton, 2001年~


ミシェル・パストゥロー(石井直志/野崎三郎訳)『ヨーロッパの色彩』(パピルス、1995年) と同じシリーズの、事典形式の1冊です。
 約40の項目が収録されていて、とても全ては紹介できませんので、興味深いところだけメモしておきます。

 フランスの標章といえば、なんといっても三色旗ですね。もともと、オランダ海軍は青、白、赤が水平に並んだ旗を使っていたこと、1790年6月10日に三色旗が国旗として制定されたとき、順番は今と逆で竿に近い方から赤・白・青だったことなどが紹介されます。
 ちなみに、本書を読むのにあわせて、菅原真「フランス国旗の『青・白・赤』の由来について」『人間文化研究(名古屋市立大学大学院人間文化研究科)』15、2011年、125-134頁という論文を読んでみました。この論文も、ミシェル・パストゥローの本書を参考文献に挙げているのですが、「青・白・赤」がそれぞれ「自由、平等、友愛」を意味するという「解釈」は、日本の一部に存在するだけで、フランスではそんな解釈はないということが強調されていて、興味深いです。

 動物に関する項目も、興味深く読みました。
 特に長いページが割かれているのが「鶏」の項目です。フランスの古名ガリア、そこに住む人々ガリア人はラテン語でGallusといいますが、鶏もまたgallusで、その言葉遊びから、古来よりフランスと鶏は結びつけられていました。貨幣など、多くのものに鶏の図像が見られるそうですが、鶏はアポロンなど神のアトリビュート(属性、持ち物)とされていたそうです。
 中世では、隣国(イングランドやドイツ)から、フランス=鶏ということで、悪いイメージの動物として見られるという、政治的な意図も現れてきます。中世の寓話などでは、鶏は好色、虚栄などの否定的な面も見られます。
 面白いのは、フランスの方では、鶏の良い面が強調されるということです。鶏は明け方に鳴き、夜の悪魔を追い払い、闇の罪にとらわれた信徒を起こす、というのですね。



 分からない単語の方が多いくらいですが、辞書をひかずに通読してみました。フランス語の本でこの手法をとるのは初ですね…。





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Last updated  2015.02.07 13:16:05
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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