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2016.09.24
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ジャクリーヌ・アメス他編『聖書講話から説教へ―中世における説教活動の歴史―』

Jacqueline Hamesse et Xavier Hermand (eds.), De l’homelie au sermon. Histoire de la predication medievale , Louvain-la-Neuve, 1993

今回は、西洋中世の説教活動や説教史料を対象とした論文集、ジャクリーヌ・アメス他編『聖書講話から説教へ―中世における説教活動の歴史―』を紹介します。
本書の構成は次のとおりです(訳は例によって本当に拙いですが拙訳。章番号はのぽねこ補足)。

―――
まえがき(L. Carruthers)

[01]初期中世の説教とその聴衆(Th. Amos)
[02]改革と抵抗―後期アングロ・サクソンイングランドにおける説教様式(J. Hill)
[03]誰がAdmont説教集を書いたのか―院長ゴットフリードか、その兄弟イランベールか、あるいは修道女か?(St. Borgehammar)
[04]ジャック・ド・ヴィトリ―伝記(M. Sandor)
[05]ジャック・ド・ヴィトリの『週日・通聖人説教集』―テクストと文脈(C. Muessig)

[07]枢機卿ユード・ド・シャトルー(1190?-1273)による説教活動の発展―ひとつの統計的アプローチ(A. Charansonnet)
[08]Paradisus anime intelligentisの編纂と使用に関する研究(B. Hasebrink)
[09]De huiusmodi sermonibus texitur omnis recta predicatio : 神の言葉に対する態度の変化(S. Tugwell)
[10]13世紀ポルトガルの二人の著作家による聖書注解と説教活動―聖アントニヌスと修道士ペラギウス(M. C. Pacheco)
[11]あるシトー会修道士の仕事道具―ジャン・ド・ヴィレル(1336/1346没)について(Th. Falmagne)
[12]Rex praedicans : ロベール・ダンジューと説教活動の政治(D. Pryds)
[13]ピサでの説教活動―ドミニコ会士シモネ・ド・カッシーナ(1345-1420頃)の事例(M. Soriani Innocenti)
[14]説教活動に有用な物語とイメージ―小ジャン・ゴビ(1350没)の『天国の階梯』(M. A. Polo de Beaulieu)
[15]中世ドイツ語説教活動の類型(A. M. Valente Bacci)
[16]説教研究のための多様な方法(M. De Reu)
[17]中高ドイツ語説教のコンピュータ化(H. J. Schiewer, C. M. Samson-Himmelstjerna)


現代著作家索引
引用写本索引
―――

 今回も全ての論考には目を通していませんが、ざっとでも読んだ論考についてメモしておきます。

 [01]は初期中世(特にカロリング期)の説教活動の研究を進めているアモスが、文化人類学の成果も援用しつつ、初期中世説教を、識字層と非識字層のコミュニケーションの観点から見つめ直しており、非常に興味深い論文です。



 [04][05]は対になっています。[04]は、『ジャック・ド・ヴィトリの民衆説教活動The Popular Preaching of Jacques de Vitry』という博士論文(1993年)を著したモニカ・サンダーが、著名な説教師ジャック・ド・ヴィトリの生涯を略述した後、『週日・通聖人説教集』第8番の紹介を行っており、[05]の前座的レポートとなっています。[05]では、博士論文で『週日・通聖人説教集』の一部の校訂を行ったムエシックが、『週日・通聖人説教集』の写本の概要を示した上で、その説教集の歴史的意義を指摘します。また、[04]で概要が紹介された説教8番の校訂版が付録として掲載されています。

 [06]は、後に2000年にブレポルス社より西欧中世史料類型叢書の1冊として刊行される『説教The Sermon』の要約となっています。特に、『説教』の中でキエンズル自身が担当している12世紀修道院説教の概要に重点が置かれています。

 [07]は枢機卿をつとめたユードが大量に残した説教について、説教自体の精読ではなく、標題を中心とした統計的調査により、説教のテーマなどの変化を探る論考です。本来は、説教自体を精読した上で議論を展開する方が説得的なのでしょうが、膨大な説教史料を全て読み解くのは困難ですから、このような手法も有効なのかもしれません。

 [09]はドミニコ会の総長もつとめたロマンのフンベルトゥスの説教における聖書の意義を分析し、聖書が第一の地位を占めているわけではないことを示す興味深い論考です。本稿とは関係ないですが、著者のTugwellは、様々なドミニコ会士の著作の英訳アンソロジーを刊行していますが、その中に本稿で扱われるフンベルトゥスによる『説教師の教育について』という著作も収録されているようで、こちらもぜひ読んでみたいと思っています。

 [11]は、中世後期のあるシトー会士について、その説教の構造分析や、彼やシトー会士たちが典拠にした諸著作の提示を行っていて、こちらも興味深いです。

 [14]は、中世の「例話」に関する研究を精力的に進めているポロ・ド・ボーリューが、彼女が校訂版も刊行しているジャン・ゴビの『天国の階梯』について、その主な典拠、例話の主題の分類、具体的な例話の提示とその中でいかにイメージが作用しているか、といった点を示しています。中でも面白かったのは、内容をアルファベット順に分類した著作の歴史が略述されていることです。

 [16]は、説教研究の主なテーマを説教史料自体、聴衆、説教師、社会の4つに分類し、それぞれについて考察すべき問題を示した論考です。ただし短く、社会というテーマは興味深いのですが、あまり具体例や先行研究が紹介されていないのが残念でした。

 2009年に購入していながら、ここまで読むのに6年以上もかかってしまいました…。が、いろいろ興味深い研究にふれることができて良かったです。

*2018.06.02、一部追記しましたが、別の文献の内容とすぐに気づき修正しました。一部修正の際にご覧いただいた方には申し訳ございませんでした。





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Last updated  2018.06.02 22:28:26
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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