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お母さんは若くして亡くなられた、 この10年、 お父さんとの2人暮らしだった、 教育者のお父さんは、 私立高校の元校長で、 定年退職後、 私大の講師になり、 第2の人生を歩み始めた矢先に、 アルツハイマー型を発症した、 貴方は3年前に女子大を卒業して、 食品会社勤務なのだね、 大学講師になってから、 お父さんは時間的な余裕ができて、 全国の城址巡りを始めた、 貴方も連休を利用してつきあうことがあった、 他人から羨ましがられて当たり前の父娘だった、 貴方には恋人がして、 お父さんが認知症にならなければ、 そろそろ紹介しよう、 と思っていた、 その恋人はお父さんの認知症のことを知って、 何て言ってるの? 貴方と結婚する気持ちに、 まったく変わりはない、 ときっぱりか、 いい恋人じゃないか、 ところで、 お父さんはどんな状態かな、 物忘れがひどい、 今日が何月何日か解らないことが多い、 そんな程度なのだね、 アルツハイマー型は、 今は薬で進行をゆったりしたものにできるのだよ、 何…お父さんは自分で病院に通い、 その薬をもらって飲んでいるって、 認知能力はまだまだ充分じゃないか、 貴方は自分の結婚の行方も含め、 認知症の行きつくところに思いを馳せ、 どうしていいか解らない状態に陥っている、 今どうすべきかなのだよ、 3年後のお父さんの状態がどうなっているか、 だったら、 そのときにどうしてあげるのが最善か、 ということなの、 いずれは貴方を娘だと認知できなくなる、 その覚悟だけはしておく、 いずれにしても、 彼氏を明日にでもお父さんに紹介することだ、 結婚もなるべく早くしたほうがいい、 今は介護のサービスも多様化している、 最終的にはグループホームのようなところに、 お世話になったほうがいいと思う、 でも、 それまでは結婚生活で得られる幸せは、 お父さんの在宅介護の苦労と、 充分両立できる、 無論、 工夫と努力は必要だ、 今心配なのは、 貴方が止まっていることなのだよ。
2014.10.15
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世田谷区の弦巻で、 民家の床下から、 高放射線量を検出する、 ラジウムが発見されて、 騒ぎになったが、 同じ今月に、 同じ世田谷区内で、 今度は八幡山の、 住宅街の歩道地表から、 毎時110マイクロシーベルトの、 放射線量が検出された、 毎時110マイクロシーベルトなら、 24時間で2640マイクロシーベルト、 1週間で18・48ミリシーベルト、 1年で963・6ミリシーベルト、 ゆゆしき数字ではないか、 被曝量が100ミリシーベルトを、 超えれば、 発がんのリスクは、 0・5%上がるという、 何が埋まっているのか、 知らないが、 また福島原発の、 爆発事故とは無縁、 かもしれないが、 親爆弾から子爆弾が、 無数に飛散し、 地中に潜り込んだようで、 物騒なことだ、 道行く人が、 線量計を必携品とするような、 時代はきて欲しくないなあ。 劇場はこちら◆志茂田景樹のホームページ・ 本
2011.10.29
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道を歩いていていて前を見たら、 いじめっ子たちが待ちかまえていてね、 いけね、と後戻りしようとしたら、 後ろから1度いじめられたことがある、 別の学校のいじめっ子たちがやってくる、 これって、 進むも地獄退くも地獄だろ、 とっさにそれなら、 進んでやろうと思ったよ、 進むとね、 きたきたって感じで、 笑いやがる、 愉楽を前にした笑いで、 こっちにとっては、 残忍にしか思えないけど、 「A校のあいつらが、 喧嘩を売りにきたみたいだよ」 リーダー格に耳打ちしたら、 「何?」 と、緊張して後ろを見たのだよ、 他の連中も表情を変えて、 他校の連中に視線を走らせたの、 こうしてガンを飛ばされれば、 他校の連中だって、 そのつもりはなかったのに、 やる気になるさ、 僕はゆうゆうその場から離れることができた、 どうせ地獄なら進んだほうが、 開き直れて知恵も出る、 態度も堂々とする、 退くと前も後ろもトラがいる状態で、 狼狽し進退窮まるの、 獲物だと見なされれば、 前と後ろのトラは、 分けあって食べるだろう、 つまり、強ほうが先にいじめて、 弱いほうも後からいじめる、 よってたかっていじめられる、 このときの経験が、 大人になってもね、 進んでも退いてもどうせ地獄という局面なら、 進むという選択をさせたの、 80%は打開できた、 20%は打開できなかったけど、 不屈の心を養えたかなあ、 たとえ八方塞がりでも、 1点に絞って突き進む、 大体は突破できるよ。
2013.12.21
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奥さんの香さんも一粒種の魅音ちゃんもこの披露宴にさんかしています。
2009.06.07
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オバケを飼っています1 オバケを飼っています。 そのオバケとの出会いはこうでした。 そろそろ寒くなってきて、外出時にマフラーを使いだして2,3日後のことでした。 僕はスチール製の机を2つ使っています。 1つの机にはパソコンを置いています。 もう1つの机は手紙、はがきを書いたり、何かをメモるときに使っていたつもりですが、 今は雑多なものが収拾がつかない感じでひしめきあっています。 その机の椅子の背もたれにマフラーをかける癖があるのです。 ひと仕事終えパソコンを閉じてそろそろ外出しようと、その椅子の背もたれを見て、 僕は、あれっ、と呟きました。 去年の冬から気に入っているグリーンのモヘヤのマフラーは、 床へ滑り落ちていました。 それはいいのですが、マフラーの代わりに薄気味悪くて、 とてもとても変なものがかかっていたからです。 かたちは…麦わら帽子がグニャグニャ柔らかくなって、 内側と外側に分かれてダラリと垂れているようでした。 色は透明感がある乳白色で、何だかとても生々しいのです。 (何だろう、こいつは?) もっと離れたいのに、僕の手はその変なものに近づいていきます。 指先が触れるか触れないかのとき、 その変なものは物音1つたてず椅子の背もたれから飛び上がりました。 ああ、やはり、かたちは麦わら帽子だぞ、と想いました。 色は透明感のある乳白色のままでした。 変なものはつばを波打たせて、ゆらゆらと天井近くまで上昇し、 すぐにゆらゆらと下降してきて僕の目の高さで静止しました。 彼我の距離は1メートルほど。 そのときに僕は初めて山型の帽子部分に眼と口があるのに気づきました。 両目は本当にちっちゃくて、黒ゴマをくっつけたようでした。 口はこれも小さく直径1センチぐらいの二重丸のようでした。 ごくほんのりと紅色でした。 鼻がないのか、と僕は想いました。 すると、鼻があっていいところが盛り上がりました。 団子鼻で、大きさは大豆ほどでした。 「何だい、お前は?」 僕は思わず訊きました。 「普通に言うと」オバケだよ」 二重丸のおちょぼ口をピクピクさせて彼は答えました。 不思議な発音で、耳を通さず澄んだ声が僕の頭の中で響きました。 それが彼との会話の始まりでした。
2015.11.09
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いつも面接までいくだけ凄いじゃないか、 2次までいったところも5社あるって、 一体、何社受けたの? なに19社、 それっぽっちで、 もう無駄だと投げ出しちゃ、 オテントサマにも大学にも両親にも、 申し訳ないだろうが、 面接で落ちるたびに、 実は喜ぶべきなんだ、 なぜなら、 面接はゴールへ到達するまで、 そうでないところを消去していくことだから、 たとえば、 52社目が貴方のゴールだとしよう、 それまでに51社を消去する必要があるだろう、 昔から面接は根気勝負だったのだよ、 僕の大学同期で2社目がゴールだったのがいた、 成績は特に目覚しくはなかったが、 今で言うイケメンだったし、 人当たりがよかった、 面接官に好感を抱かれたのだろうね、 彼は8年後、 社内で起きた不祥事件に連座して、 退職に追い込まれた、 21社目がゴールだった者がいた、 高度経済成長時代の就活では、 21社目がゴールというのは、 極めて稀な部類だった、 就職氷河期の100社目ぐらいに当たるだろう、 常に仏頂面、 それが素顔だったんだ、 無愛想でお世辞の「お」も言えない奴だった、 取り柄は真っ正直で正義感が強いこと、 「おれを待っているところが必ずある。 1つ落ちるたびにそこへ近づいているんだ」 周りがみんな内定を貰っていたのに、 腐ることもなく、 面接に落ちるたびに元気になった、 そういう彼を21社目のところは、 待ってました、 と取った、 会社側から見れば、 これも駄目あれも駄目と落とし続けて、 ついに意中の者がやってきたということだ、 彼が入った会社は後に苦境に追い込まれた、 そのとき、彼は大働きをして、 会社が持ち直す因を作った、 それから数年してトップに立ったよ、 そういうことだから、 貴方はどんどん消去しているのだから、 喜んでいい、 貴方を待っている会社は、 もう間近じゃないの、 落ちるたびに元気を出そうよ。
2014.04.18
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