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カテゴリ: カテゴリ未分類
路面から拾ったキク科の舌状花。
分類学者である澤木は【都忘れ】だと同定した。
点々と散っている薄紫の花びら。
この早朝に、誰が何のために花を摘み、毟りながら歩いたのだろうか?

植物分類学の助手である澤木敬。
そして友人の樋口陽一も植物生理学の助手である。
この二人が、日常の何でもないような事柄を独自の視点でみつめ、事件の真相にたどりついてしまう、という連作ミステリーである。

一番上の文だけみると、日常の謎系?(北村薫が書くような)といった趣であるが、この話ではきちんと(?)刑事事件も起こる。実際に警察などが出てくるわけではないが、二人の植物学者がいわば探偵役となる。

『いざ言問はむ都鳥』

『飛び立ちかねつ鳥にしあらねば』
『むすびし水のこほれるを』

という4作からなる。いずれも【植物に関すること】が重要な意味をもつ。
この設定が私には新鮮で興味をもって読めた。
(例によって植物のこともよく知らんけど)
自らを「即物的な人間だ」という澤木。その植物に接する態度は一貫している。

「花というのは、買ってみるものではない。」
「ゴルフ場というのは醜悪な環境だ。 ~ ただ一種の生物の娯楽のために、どれほどの生命が消費され、どれほどの生物が生活の場を奪われているのだろう。」

連作ということで、謎が次の話に絡んできたりもする。
各話とも、些細な出来事や発見から、意外な真相、予想もつかない結末に結びついていく。充分面白い要素はあるはずなのに、ミステリーとしてはどうも爽快感がない。なんかまどろっこしい感じがする。

でも、この話は好きだ。植物との繋がり方というか、全体の落ち着いた雰囲気が。なんとなくこの文章の合間合間が、澄んだ空気が漂っているような印象をもってしまう。



この人の文章と雰囲気は好きなのだが、この作品のほかに名前を目した事がない。
もっと読みたいのだけれど、ほかに書いていないのでしょうか?






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最終更新日  2003年07月24日 09時10分48秒
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