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北野誠「犬神祓い 賢見神社へ」西浦和也の知り合いのA君のつきあっている彼女が犬神の一族であるということ。その彼女と北野誠、西浦和也が合わないようで、特に西浦和也は命に関わるほどの大病をしてしまった。北野誠も身に覚えのない痣が足にできたし、A君が来ると不思議な事が起きたりする。もう、お祓いに行かないと本当にまずい。もう『犬神』の話は終わりにするべく、四国へ飛んだ。しかし、行くと決めたものの、神社までの道が大変なことになった。爆弾低気圧が抜けて快晴のはずが、強風に加え雹が降る始末。そして、カーナビまでも全く違う道を案内して、神社に辿りつけない。賢見神社へ辿りついたのは、お祓いの約束の時間を1時間以上も過ぎてのこと。それでも、お祓いは無事終了した。終わってから神官さんと話をすると、北野誠の痣は犬神の世界ではよくあることなんだと説明された。『あと、柔らかい、こういう所を噛まれます』そう言って示した場所は太ももの内側。そこは、西浦和也が入院するはめになった人喰いバクテリアにやられた場所・・・・
2015.05.30
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平山夢明「銭湯」彼女の実家は銭湯を営んでいた。5月には菖蒲を湯船に入れることもあるだろうが、その銭湯では年中を通して菖蒲を入れている湯船があった。祖父に理由を尋ねると『魔よけ』との答えが返ってきた。ある日のこと、営業時間も残り少なくなった時間帯に父母ともに不在となり彼女が番台に座ることになった。ふと見ると、お客が誰もいないのに湯船に浸かる頭のようなものが見えた。それは数が増え、最後には1つの大きな海坊主へと変化していった。・・・『魔よけの菖蒲を入れるのを忘れていたんです』
2012.07.26
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「知らない」玲華さんが始発電車で発車を待ちながらうとうとしていると男女が言い合う声がした。しつこく言い寄る男性を、女性が言葉少なに拒絶している感じた。ナンパだろうか。『どうしてこうなんですかねえ』『知らない』『どうしてこうなんですかねえ』知らない』そんなやり取りをひたすら反復している。朝っぱらからうるさいなあ。斜め向かいの席。水商売風の女の真横に、スーツ姿の男が腰掛けていた。『どうしてこうなんですかねえ』『だから、私が知るわけねえだろうが!』男の体はスルメイカのように薄っぺらで向こう側が透けていた。そそくさと降車し、次の電車を待ったという。
2023.04.16
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