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タブロウ・ゲート(1) (プリンセスコミックス) [ 鈴木理華 ]
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あまり知られていないような気がするのですが、けっこうおもしろいのですよ!
少女漫画なんですが、現代ファンタジー活劇、かしらね?
内容としては主人公が散らばったカードを集めていく、という某有名作のカードキャブターのようなんですが、まあ、似ているようでやはりまったく違います。
あらすじ説明するとどうしても似ちゃうっていう。
恋愛要素はありますが、それはメインではなく、話の要素に取り込まれている、といった感じかな
「タブロウ・ゲート」で登場するカードは「タロット」をベースにデザインされています。
なのでタロットカード好きにはいいかもしれません、実際わたくしめがそうでした。
この漫画家さん、もとはイラストレーターなのですよね、たしか。詳しくは存じませんが…
それもあってイラストがとても美麗です。
イラストレーターは「漫画」がうまくない人もけっこういると思いますが、こちらに感じはそういった感じはうけませんでした。苦なく読み進めていけます。
物語の主人公は「サツキ」というイギリス出身の少年です。
たったひとりきりで日本にやってきて生活することになるわけですが、そんなある日一冊の画集らしきものを手に入れ、それを開いてしまいます。そこからカードが逃げ出して…という導入です。
そしてもうひとり主要キャラのレディという少女も登場。
サツキとレディがカードの主人「マスター」となるわけですが、さらに別の「マスター」が現れて、しかもその「マスター」には大いなる謎が秘められているようで、と話が展開していきます。
こちらの物語、キャラクターが多いので大変だなーと読みながら思ってますが、みんな個性的で素敵なんですよ。
タロットカードから作られたキャラなので、正位置・逆位置的なカードのキャラの違いがあります。
どちらが正位置とかではなく、サツキがマスターになった時、レディがマスターになった時、でキャラデザも性格も変化します。
主要なカード、キャラは「太陽」と「月」でしょうか。
「太陽」のカード…この場合カードは「タブロウ」といいます。
「太陽のタブロウ(カード)」、名はアレイスター。
「月」はエリファス。
オカルト系好きには上記二人の名前だけでにんまりしちゃいますよね。
タブロウにはそれぞれ固有の名を持っていて、だいたいが人型です。そして特殊能力を持ち、当然個性も感情もあります。また性格はマスターのよって変わるので、実質キャラ数はタロットの枚数のさらに倍っていう…
さらにいえば、「タブロウ」を作った「創造主(グランドマスター)」の時の性格もあるし、初代タブロウの持ち主のマスターの性格もあるので…しかもキャラデザもかわる…で、キャラの数だけで言えば膨大…
物語的にはタブロウの所持をめぐっての争いがあったりして、それなりにバトルもあったりします。
小さな謎を解決して先へ進み、その先には大きな謎が待ち構えていて、しかも絶望的な終焉を迎えることになるのだけれど、それをサツキがどう乗り越えていくか…ー
主人公のサツキは性格がネガティブで後ろ向きなんでイライラさせられることもあるんですが、ちゃんと主人公として闘い成長していくから許容できる「後ろ向き」さです。
めそめそしてんじゃないよ!と読者的に思っていると、代わりにレディちゃんが叱咤してくれます。
レディちゃんがかなり乱暴少女で暴れ牛と呼ばれたりもするんですが、そのレディが「あたしああいうヤツ大っ嫌い」と言ってくれるのがいいんですよ。サツキのことをね。
もちろん大嫌いと言いながらも手を差し伸べてくれるし、助けられれば礼も言いますよ。
基本的には仲間として尊重しあっています。
サツキとレディはふたりでひとつ的な主人公です。
どちらかだけだと多分いらっとして読み進められないだろうというバランスの良さがあります。
サツキとレディ、どちらも出生に謎がありますしね。
たくさんいるキャラクター、だれもみんな魅力的なので、そういったキャラの魅力を楽しむという読み方もありだとは思います。
完結はしたのですが、実は納得のいっていないところもありまして、それが「グランドマスター」について、です。
グランドマスターは結局どういった生まれのどういった人間なのかはよくわからないまま終わってしまいました。
名前もないままなんですよ…これは仕方ないかもしれませんが。
途中で、自分の生まれ…源を知りたいようなことを言っていたのに、結局そこは調べないままおわってしまったよグランドマスター…
いわゆる「魔法使い」みたいな力をもっていて、時間移動ができる能力者なんですが、それがなぜ、いつどのように身についたものなのかが謎のままでした。
「タブロウゲート」の「ゲート」はなんなのか、という謎は解き明かされましたが、なぜその力をグランドマスタが持っていたのかがわからないんですよ
また、なぜ「タブロウ」に特殊能力を授けたのかも曖昧です。
タブロウを人型化…顕現させたときにたまたまそういう特殊能力が付与されたのかもしれないけれど、そのあたりが明確ではないので判別できないんですよね
「星」のタブロウの真の性格がああなってしまったり、なぜあんな物騒なピアスを持っていたのかもわからん…
「星」の話はほんとに気の毒すぎて…
実はこれ、サツキの母も同じで、サツキの母親…ヤヨイは結局どういう素性の女性だったのか、根本がわからないんですよ。
いえ、養女になったところは説明されましたがサツキのおじい様がなぜ養女のヤヨイに執着したのかも希薄なんですよね…
いわば根っこのさらに根っこ部分の謎が未解決のまま完結してしまったので、そこだけ別に一冊だしてほしいかなーと思うんですよ。
このタブロウ・ゲートは連載される前に一度、試作のように二冊完結で単行本が出ているようですが、わたくしめはそれを有しておりません。もしかしてそこに謎の答えがあるのか…?
なんにせよ26巻できちんと完結しているので、その点は安心しておすすめできます。
ちなみに、
タロットカードで好きなカードは「死神」なんですが、その「死神」がこちらのコミックでもかっこよくてうれしかったなぁ…
あとこれ結構派手な展開もあるし、アニメ向きだと思うんだけどな!
アニメで見てみたい作品のひとつかもです。
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