コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

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2025.04.20
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カテゴリ: コミック感想


これもまた懐かしい作品です。愛蔵版も買ったほど大好きなお話です。
これっていまだとなんやかんや言われそうな内容ですよね…少女を「観賞する」って話ですから。
一応は少女漫画に分類されると思いますが、恋愛がメインの話ではなく、「ちょっとふしぎなヒューマンドラマ」的な内容でしょうか。
とにかく少女のイラストが可愛いし綺麗です。これだけでもかなり惹かれますよ!

主軸に、「プランツドール」がいる、という物語です。


「観葉植物」からとったであろう「観用少女」は人間の少女ではなく、観賞するためにつくられた「植物」的な存在です。「プランツ・ドール」と呼ばれています。

基本一話読み切りなので、その点も読みやすく、どの話から入ってもOKという作品ですが、特徴的なのは、登場人物に固有の名前がない、ということでしょうか。名前が与えられているのは「少女」だけです。

登場する人間はあくまで記号的なキャラとでもいうのでしょうか。
どのキャラクターも個性的で魅力があるのですが、名を与えないことが物語に深みを与えているように感じます。

が、その少女は基本的に言葉を発しません。植物的な存在なので。
何しろ摂取するのは「砂糖菓子」と「ミルク」、それと「愛情」なんですから。
人間のようですが、人間ではない。
植物的な存在なので「枯れて」しまうこともあり、逆にひどく長命だったりすることもあります。それでもずっと「少女」の姿のままです。

感情は…ないとはいいきれません。「心」はあるかのような描写ですし、実際そうなのでしょう。
愛情が栄養ですから


この作品は、オカルトホラーの雑誌に掲載されていた、というのも特徴的です。
日常系のほんわかあったかいお話…もあるんですが、根本にあるのはやはりオカルトチックなホラーというか、得体のしれない怖さがあり、実際、そういった系の話もいくつか含まれております。


ちなみにこのプランツ、お値段が身上をつぶすレベルの高額商品で、貴族のお楽しみ的な存在です。なので基本、金持ち連中しかこのプランツを購入しない…のですが、まれにそうではない人間も買わざるを得ない状況になったりします。
というのも、プランツが買ってくれる人を選ぶからです。

この点もうまい話づくりだなと思うんですよ。

買ったあげくに堕落してしまう人間もまれに登場します。

が、基本的にはプランツを買えた人間はすばらしいラッキーを手に入れることになるわけです。
少女に選ばれる、というのが幸運のひとつとして描かれます。

少女を手元に置けなかったとしても、出会えたことそのものに物語がある。

誰が言ったのかわすれてしまいましたが、
「少女とは、女の思い出の中と、男の幻想の中にしか存在しない」


わたしはこの言葉がすごく好きで、この「観用少女」にぴったりの表現だと思うんです。
このコミックで使われた言葉ではないんですが。

本作は巻数にすると、4巻。すでに廃刊となってますが、かつてのコミックだと4巻で、愛蔵版(ぶっとい)だと2冊だけです。

話数としては多くないですので、その点でもお勧めしやすいかな。電子しかなさそうですが、これは紙の本で読んでほしいかな……

愛蔵版では昔のコミックに収録されていなかった話もはいっていたのがうれしかったです。

わたしの好きなプランツちゃんて誰かなーと考えてたんですが、絶望を栄養にしてる「オランピア」はけっこう好きだったなぁと。
あとは名前は出てこなかったけど「ブルードール」のプランツちゃんも好きかな。これは借金取りのおっさんの下で働いてた青年がその後どうなったかちょっと気になっちゃう。成功して、悠々自適な生活してるのかしらねぇとか。

プランツドールは結局のところなんなのか、その点は謎のままです。そしてそれでよいのだと思う物語の仕上がりになっています。
プランツちゃんにもいろいろ亜種があって、あんなことやそんなことに…って展開もあったりしますが。その点についての謎も別段解き明かされはしませんし、その必要はないと思われます。

これはプランツドールを取り扱っている店の店主に関しても同様で、とってもいいキャラなんですが、やはり名もないし、謎多き店主です。
この店主は客に対して非常に慇懃丁寧というか、うさんくさい人物として描かれます。つねに敬語で丁寧で、という。
が、プランツにだけはフランクな話し方をするんですよ。
このギャップもひとつの「謎」っぽいです。べつに謎として提示されているわけではありませんが。

一話完結型なので話を超えたところでキャラ同士のかかわりがあるわけではないのですが、ふたりだけ、特別出演しているキャラもいます。


やりようによっては、けっこうな長期連載物になりえたと思うんですが、まあやはり、ちょっと物足りないな、というところで終わるのが一番ですね。


古き良き少女漫画のひとつとして、これもおすすめできるお話です。





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最終更新日  2025.04.20 19:00:09
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