コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

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2025.11.24
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カテゴリ: コミック感想




これはわりと…ひどいです…なんつーか、漫画というか物語の形にすらなってないです。
絵も微妙で…下手とまでは言いませんが、やはり動きのある絵はかけないようですし、それ以上に漫画として「説明」することすらできていません。

絵で、何が起きているかわからない、と最初の方でわかることがいくつかあるんですが、婚約破棄した後クズカップルが部屋から「退室」しているはずのシーンですら、足とドレスの裾が描かれていて、「出ていく」のか「入ってくる」のかわからないんですよ

よくわからん部屋で婚約破棄のつまらんくだりがありまして、とつぜん現れた暖炉にブローチをポーイして、そこからクズカップルがヒロインをあざ笑って…部屋を出ていく?らしい後に、ヒロインがその場に膝から崩れ落ちて…というシーン、その「膝から崩れ落ちる」シーンすらありませんからね?手が描かれているだけ。

絵についてはまあ、ところどころで語りますが。


もうね、婚約破棄のくだりとかつまんないんですが、それ以前の問題なんですよ。

「今世」とタイトルにある通りヒロインのマリーシャは突然「前世」の記憶がよみがえってくるんですが、そこもほんとひどくて、まったく説明になってないんですよ。


いきなり見知らぬ男…元クズ婚約者?みたいな男がなんか言ってて、ヒロインの前世女らしい「黒聖女」?がなんかわめいていて、利用されて処刑されたひどい裏切られたガーンみたいなシーンなんですが…

まずね?
「この国」ってどこ?
現在マリーシャが生きている国の過去、つまり同じ国なのか、それとも別の国なのか。
そして皇太子?とかいうのが言ってる国を大国にするため聖女を利用したって、何をどう利用したのかがわかんらないんですよ。戦争があってそこに「武器」として聖女をつかったのか。侵略戦争するための情報収集のために聖女をつかったのか、それとも内乱とかでもあったのか王位継承のもめごとに利用したのか?
そういったことがまったくわからないまま、聖女は「利用されたあげく処刑された」というんですが、処刑ってことは罪を着せられて殺されたのか、それとも皇太子が独断で「私刑」にしたのか。
とにかく、なにひとつ事の説明がないんですよ。

わかったのは、ヒロインのアリーシャが前世では「黒魔女」と呼ばれた優れた魔術師だってことくらい。

さらに悪いことに「魔力」と「魔術」をべつに扱っているのはいいとして、「魔力」は膨大にあるのに「魔術」として顕現できない。つまり「魔力」を外にだしてなんらかの効果をもたらすことができない、それもわかるんですが。

どうすれば「魔力」を「魔術」として放出されるのか、その過程や行程をいっさい「絵」で説明されないものだから、妹が優れた力をもっていようが、よくわかんないんですよ。
だって魔法陣らしい円形を手から放出してるだけの絵しかないんだから。


気合でだすならだすでいいんですが、なんか魔術ならってるとか練習とかしてるみたいだし、魔法陣を手書きしちゃだめなんですかね?


まあそれはいいとして。
魔術を使える人間がなんで国で優遇されるか、その理由も明らかではないんですよ。
ただ「魔術が使えるから」だけで優遇されるってことなんですか?
でも国を運営するのって「魔術」ではどうしようもないでしょ?

でもそれで貴族として優遇されるのっておかしいんですよ?
市井の民は魔術つかえないの?貴族だけの特権?
でもこの世界には「魔族」というか「獣人」?みたいな魔物っぽいものもいて、それと戦ってる辺境地では貴族まるごと蔑視されているんですよ。

ここらの設定がぺらっぺらで呑み込めないってのに、ヒロインの設定自体もぺらいんですよ、困ったことに。

前世で裏切りに合い殺され、そのトラウマで魔術がつかえなくなったってのも、へんでしょ。

だってトラウマというのは「裏切られた」「利用された」ことに対してですよね?
なら、人を信じられない、という形で出てくるはずでは?
そこは百歩譲って魔術使うこと自体が嫌になった、怖くなった、というのもわからないでもないんですが、前世の記憶がよみがえった時点で「もう利用されたくない」と思うのなら、ポッと出の男をなんであっさり信じるの?

ちょっと前のコマで、わたしはもう誰も信じない、とドヤっておきながら、すぐさま見知らぬ男を信用するんですよ。
助けるまではわかるんですよ?
ひととして見過ごせないと思ったってことでしょうからね。
そこで男が語られる話をなんで鵜呑みにしちゃいますかね?
少しは警戒しなさいよ。心配してくれたのねキューンじゃねぇよ。
それ元婚約者にも同じ件やってたやん?表面上だけでもクズ婚約者は励ましてくれて、それにときめいていたのに「裏切られた」じゃないの。

つまりね、前世のトラウマがちっともトラウマになれてないんですよ。
ほんとに前世のトラウマが魔術を使えなくするほどにおもたいのなら、会ったばかりの「男」を安易に信用するはずないんですよ。どんなに優しい言葉をかけられても。いやむしろ、優しい言葉をかけられればかけられるほど疑ってしまうってのが、トラウマってもんで、そんな簡単に払しょくされるようなもんじゃないでしょ

そしてタイトルに偽りもちょっとだけあって、
ひとりで生きようなんて、これっぽっちも思ってないんですよ、このマリーシャ
口だけは自活しよう、自立しようなんて言ってますが、ほんとに口先だけです。

だってめっちゃ魔術つかえるんなら、いったん家にかえって金目の物持ち出して、それこそ公爵家の権利すべてを返還する旨を伝え、それでも強引にへんな男と結婚されそうになったら魔術で叩きのめしてとっとと家を出りゃいいんですよ。
「ひとりで生きたい」んですよね?
魔術を「利用されたくない」とかいってごまかしてますが、つよい魔術つかえるんなら、利用されないようこてんぱんにやっちまえばいいんですよ。意趣返しに。

わたしはもうこれだけの魔術を使える、それでもあんたたちのいいなりになんかならない、もう侯爵家とはおさらばよ。こんな国出て行ってやると啖呵きって出て言ってこそ「ひとりで生きてやる」という言葉に重みが加わるんですよ。

ところがなに、偽装婚約で男のところに寄生します?
何言ってんだ、としかならんでしょ。



ヒロインの性格が悪いどうこうではなく、設定がブレすぎているし、展開というか話の流れが雑すぎるんですよ。
そしてこれ、物語になってないと感じるのは、ただの「説明」でしかないこともさることながら、その説明が片手落ちだからなんですよ。説明もすっとばして、なんか展開だけが先に進んでいるというか。

絵自体もそうなんですが、「描きたいことだけを描いている」であって、「描かなければならないこと」をいっさい描いてないんですよ。
文章でも絵でも、です。

その場その場の説明があるものの、その説明もかなりざっくりしているので、説明になってないんですよ。

絵もそれで、冒頭の呪いかけられ男セオドアとの邂逅シーンもひどいもので、なんか「どおん」と擬音だけ描かれていて、どうやら爆発?暴発?があったようなんですが、それがどこのどんな場所でおこったのかわからないし、セオドア一人だけがたたずんでいて、そこに「何かしら」があったようなんですが、それいっさい描かれていないんですよ。
わけわからんすぎる。

台詞回しもおかしいというか。

冒頭婚約破棄シーンで
「婚約破棄してくれないか」
という日本語も実はちょっと変で。
これだとヒロインの方に婚約を破棄「してくれるよう」促しているともとらえられるんですよ。

まあ、ここはいいとしても。
ヒロインが妹に対し
「カノリアだって! 私の婚約者であるハインリヒ様と一緒にいるなんて非常識じゃない」
と文句をつけるんですが…
言葉が足りなさすぎじゃない?
別に「一緒にいる」くらいええやんけ?非常識か、それ?
そりゃ「寝取った」んなら文句つけてもいいけど、一緒にいるくらいで「非常識」なんてさすがにちょっと言い過ぎじゃない?


後にセオドアと婚約する流れのとこでも。
「俺の婚約者という立場であればほかの男との婚約も無効にできる」
「無効」とは?
断ることができるとかそういうことなんでしょうが、「無効」ってなに?

セオドアといっしょ食事するマリーシャとのシーンは噴飯ものなんですが。
クリームが頬についていたから指でぬぐってペロッと舐める流れね。さすがにこれ古すぎやろ…こんなんさして仲良くもない男にやられたらキモいだけなんですけど、イケメン無罪にしても陳腐すぎる…のはいいんですが、そこでのセオドアの台詞がおかしいんですよ。
「意外とお転婆なんだな」
???
なんぞこれ?
お転婆の意味わかってます?
というかこれ、下手すると「行儀悪いな」って意味になるんですけど、大丈夫ですかね?
頬にクリームがついていた=お転婆
??意味わからんすぎて。


そしてなんで
「俺と一緒に逃げよう」
とかドヤ顔なんですかね、セオドア。
自分の領地に帰るだけやん?
なんかうまいこと言ったつもりなんでしょうか?
いたいたしいし、マリーシャも笑顔で「はい」じゃないんですわ


こういった日本語というか会話のおかしさが散見され、読んでいて「???」となってしまうんですよ。


あとは漫画家さんの絵でひとつ言いたいのは、クズキャラを描くときのクズ顔、もうちょっとなんとかならんかしら?
下手とかいうのではなくすごく「妖怪顔」なんですよ。
クズキャラだからってなんであんな顔のデッサンが崩れたような顔にしてしまうんでしょう。
悪いこと思いついちゃった顔とかもそうなんですが、これってつまりね、表現のバリエーションがすくないってことでもあるし、表情をうまく描けないってことでもあるんですよ。

婚約破棄したクズ王太子がセオドアの命を狙ってるとかいうのを後だしされても、最初にそれらしい布石がなかったから、ぜんぜん面白みがないし、クズ仲間の妹もなんでそこまでマリーシャを嫌いなのか、過去背景がないので共感できないんですよ。

敵対するキャラクターにも、ちゃんと人間味を与えてもらわないと、物語に厚みが出ないんですよ。

つまり、誰一人、そして世界観そのものに、なんの説明もなく、その場しのぎでなんかやってる風をだしてるだけで、これって「漫画」でもないし「物語」としての形にもなってない。
イベント抽出してるだけの挿絵ですらないんですよ。…こればっかりは絵があまりお上手とは言えないから、なんですが。

「描きたいものだけを描いている」ですらなくて、「描けることだけ描く」なんですよ。
だからヒロインの笑顔とかはちゃんと可愛いんですが、ほんとにそれだけです。


いっそね、
前世で男にこっぴどく裏切られてムカついたんで、今世では逆に男を利用しまくって生き抜いてやる、にしてくれたらよかったんですよ。
男に寄生して金をチューチュー吸い取って逞しく生きていく女、として描く方がよほどいいんですよ。
利用されたことがトラウマなんだからね?
それでもなかなかうまいこと「利用してやんぜ」ができなくて、あげくひとりで生きてやろうにも男に粘着されてどーすればっていうコメディにしてやれば、「ひとりで生きてやる。…のはずが」のタイトルも回収できると思うんですよ。

でも、とにかくヒロインを「不遇」「かわいそう」にしたい、しかも「いい子ちゃん」「有能」にしたいがために、物語自体をヒロインのためのものにゆがめ、結果「物語」にならないんですよ。

惜しい、と感じる間もなくて、ほんとにこれはひどいなぁ…と感じた作品でした。





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最終更新日  2025.11.26 20:23:33
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