読書の部屋からこんにちは!

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2007.03.05
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カテゴリ: 小説
なんていったらいいのかな。

心が満たされて、あったかくって、ほんわか良かったなあ・・・
そんな読後の充実した気持ち。




それが「ミーナの行進」の感想です。
小川洋子さんの小説はクール系とあったか系に分かれる(と勝手に思っている)のですが、
これはもちろん、究極のあったか系。
朋子が家庭の事情から預けられた親戚のおうちは、神戸の山の手にある洋館でした。

使用人の米田さんも庭師の小林さんも、とてもすてき。
そして家族の一員、ペットのポチ子。
ミーナの秘密のコレクションと、小さな恋。
朋子がこの家で暮らした一年間が、あたたかく流れていきます。


文章は、繊細なガラス細工をそっとテーブルに置くように、
柔らかな表現で過不足なくつづられていて、
私は日頃のがさつな日常が、なんだか恥ずかしくなってしまうほど。

ミーナが読書をする場面では、こういうふうです。
「ブラウスがスカートからはみ出すのも気にせず精一杯背伸びをし、目指す本を引っ張り出し、か細い腕で抱きとめる。クッションを胸に当て、ソファーに寝転がって本を開けば、ミーナはもう遠いどこかへ旅に出ている。」

パン生地が発酵して膨らむところは、こうです。
「たちまちそれはボウルからあふれんばかりに膨らんだ。十分に発酵したかどうか確かめるため、私たちは人差し指で真ん中に穴を開けた。生地は中に小さな生き物が隠れていることを証明するかのように、恥ずかしげに震えた。」


それは、「ミーナの行進」の意味がはじめて分かる場面なんですが、
どう考えたってこの行進の図、この本に似合わず、滑稽にすぎるような気がします。
どうしてここだけ冗談みたいにおかしいんだろう。
どこからこんな発想が来たんだろう。
そう思いながら読みましたけれど、読み終わってみれば、

楽しくて懐かしくて、そしてせつない場面です。

そして、もうひとつ、気になったことは、
ミーナの家族は一人残らず、ポチ子までもステキな人々なんだけど、
唯一、朋子と血のつながりのある伯母さんだけが、理解できなかった。
この伯母さん、寡黙でタバコとお酒が好きで、印刷物の誤字を探して出版社に手紙を出すのが趣味なんです。
なんでこんなキャラなんだろう。
それが私にはよく分かりませんでした。





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Last updated  2007.03.05 17:01:49
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