特許の思想体系

特許の思想体系

2005.04.15
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こんちくは。

「知財活動 どのレベルですか?」 の「発明することは難しい。そもそも発明がない。(レベル2 その4)」についてで、 前回 の続きです。

発明に気付くことについての参考にしてください。



(私)「発明って、苦労話なんですよ。」


(あなた)「ほんと? なんだか、とってもとっつきやすいなぁ」


(私)「発明になる苦労話と発明にならない苦労話があります。

まず、 発明にならない苦労話 ですが、



そして、自慢話に終始しているもの。発明は、自慢になるようなものがなければなりませんが、それだけでは発明ではありません。もちろん特許にもなりません。

発明になる苦労話 は、以下の通り。

(1)今までは、こんなだった。
  → かなり調査をしていることが分かるレベル。

(2)その場合は、こんな問題があった。
  → この問題の観点が「オッ」と思わせるものだと特許になる確率高いです。

(3)苦労して、こんな工夫をした。
  → いわゆるタネアカシです。今までのものとどこが違うのかがわかり、他の人もできるレベル。

(4)その結果、こんなによい効果がでた。
  → 機能そのものが新しい、より性能が高まった、廉価に作れるようになった、の順番に特許になりやすいです。」


(あなた)「筋道立った苦労話だなぁ。




(私)「実は、このストーリーは、特許出願の明細書に書かなければならないことなんですよ」


(あなた)「この程度のことなら、いくらでもあるよ。どんどん出願できそうだな」




優等生的な「発明」についての説明は以下の通り。


1.特許法第2条には、

この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。




2.審査基準には、「発明」に該当しないものの類型として、以下のものを挙げています。
つまり、これらに該当するものは「発明」ではないということです。

(1)自然法則自体
  例:エネルギー保存の法則そのもの、万有引力の法則そのもの

(2)単なる発見であって創作でないもの ← これについては、また項を改めて説明します。
  例:鉱石等の天然物

(3)自然法則に反するもの
  例:永久機関

(4)自然法則を利用していないもの
  例:ビジネスを行う方法それ自体 ← これについては、また項を改めて説明します。

(5)技術的思想でないもの
  例:技能(フォークボールの投球方法)、情報の単なる提示(録音された音楽にのみ特徴を有するCD)、単なる美的創造物(絵画、彫刻)

(6)発明の課題を解決するための手段は示されているものの、その手段によっては、課題を解決することが明らかに不可能なもの。
  例:中性子吸収物質(例えば、硼素)を溶融点の比較的高い物質(例えば、タングステン)で包み、これを球状とし、その多数を火口底へ投入することによる火山の爆発防止方法。 ← この例、ほんとに審査基準に書いてあります!


3.弁理士試験受験時代に作成したレジメ(「特許法概説」(吉藤幸朔著 有斐閣)参考)です。
専門家が説明するのは、これを省略するか尾ひれ(最近の判決)をつけるかするものでしょう。


「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものであるので、これを分説する。

(1)自然法則を利用
(i)自然法則とは、自然界において経験によって見出される法則である。例えば、水は高所から低所に流れる等である。
 自然界において、一定原因により一定結果生ずる経験則も含む。
(ii)自然法則そのままでは発明にならない。
∵発明はこれを利用した技術的手段によって、その技術的課題を解決して所期の目的を達成するものだからである。
例えば、上記自然法則を利用した水車は、「発明」に該当するが、エネルギー保存の法則等の自然法則自体は、「発明」に該当しない。
(iii)自然法則に反するものは発明でない。
発明特定事項の少なくとも一部に熱力学第二法則等の自然法則に反する手段を利用したものは、「発明」ではない。
例えば、いわゆる「永久機関」である。
(iv)自然法則以外の法則(ex.経済法則)、人為的な取決め、数学上の公式、人間の精神活動を利用、これらのみを利用したものは、「発明」とならない。
∵自然法則利用といえない。
例えば、コンピュータプログラム言語である。
なお、自然法則以外の法則を利用していても、全体として自然法則を利用したものは、「発明」に該当する。
(v)一定の確実性をもって同一結果を反復できることが必要である。
但し、その確実性は必ずしも常に100%である必要はない。
∵発明が開拓的・基本的である場合、確実性低いことが多いからである。
(vi)自然法則を結果として利用すれば十分であり、発明者において正確かつ完全な認識をもつことは必ずしも必要ない。
∵経験上取得したものならば十分だからである。
(vii)失敗例は発明として不成立。
∵自然法則についての認識を完全に欠いているからである。
但し、後人が同一手段を取り上げて目的を達成できることを明らかにした場合、その時点で発明は成立する。

(2)技術的思想
(i)技術とは、一定の目的を達成するための具体的手段であって、産業上であると文化上であるとを問わず実際に利用できるものである。
但し、一般的技術に該当しても自然法則を利用していないものは、「発明」ではない。
(ii)発明は技術的思想であるから、技術そのものである必要はない。
∵発明は技術にまで達しないより抽象的、概念的な手段、即ち思想としての手段であれば十分である点で技術と区別できると解すべきだからである。
(iii)思想とは、抽象的な観念、概念であり、具体的形体と対立するものである。
∵発明の本質はその形体の内に存在する無形の観念である。
但し、同時に目的達成のための手段としての思想であることを必要とする以上、その限度において具体性が必要である。
したがって、課題解決手段は示されているものの、その手段によっては、課題解決が明らかに不可能なものは、「発明」とはならない。
例えば、中性子吸収物質を溶融点が高い物質で包み、それを火口底へ投入する火山爆発防止方法である。
なお、36条4項にも違反する場合、36条4項の適用を優先する。
∵発明の詳細な説明の記載不備に起因することが多いからである。
(iv)技術的思想でないものの具体例
(a)技能:個人の熟練によって到達しうるものであって、知識として第三者に伝達できる客観性が欠如している。
例えば、フォークボールの投球方法である。
(b)情報の単なる提示(提示された情報内容にのみ特徴有、情報提示を主たる目的)
例えば、機械の操作方法のマニュアル、録音された音楽にのみ特徴有するCD、コンピュータプログラムリストが該当する。
但し、情報の提示(提示それ自体等)に技術的特徴があるものは「発明」に該当する。
例えば、テレビのテストチャートである。
(c)単なる美的創造物
例えば、絵画、彫刻である。

(3)創作のうち高度のもの
(i)創作とは、新しさ、作り出すこと、自明のものでないことである必要がある。
(a)新しさとは、従来のものと異なること
発明者が創作時に主観的に新しいと認識すれば十分、その点、新規性と異なる。
(b)作り出すこととは、何ものをも作り出されない発見と区別される。
 → 発明者が意識して何らの技術的思想を案出していない天然物、自然現象等の単なる発見は、「発明」ではない。
しかし、天然物から人為的に単離した化学物質は、「発明」に該当する。
用途発明とは、物の特定の性質を発見し、その性質を専ら利用する発明をいう。
 → 用途の発見に創作的要素あれば発明となる。
(c)自明のものでないこととは、創作時において通常の専門家を基準に「きわめて容易」に考え出すことができない程度をいう。
創作の名に値するためには、単に新しいだけでなく、さらに進んで自明の域(従来のものから当然に考えられる程度)を脱することが必要である。
(ii)高度とは、実用新案法の「考案」と区別をつけるためのものである。


次回に続く。


キーワード 特許、発明

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最終更新日  2005.04.15 10:38:18
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