ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

May 19, 2006
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「五月病」

 ピアノのセスさんとソナタを練習した。いつもはモーツァルトで練習を始めるのだけど、彼が譜面を 別荘 に置き忘れてきたとのことで、過去に練習した曲のなかから、ベートーベンの「春ソナ」を弾くことになった。

 自分としては、この曲は特に4楽章を好む。 変奏ごっこ が楽しい。三連符が楽しい。
 春を思わせる1楽章の爽やかで健やかな音楽ももちろん好きだし、3楽章(スケルツォ)も、短くてシンプルだけど実はスゴイ曲のような存在感がある。

 が、唯一どうしても好きになれないのが2楽章のアダージョ。去年も何度か挑戦してみたけど、いつも冷静で落ち着いている仏のようなセス氏ですら、「あー、かったるい!」「つまんねー!」などと発狂なさって、途中で投げ出してしまった経緯がある。

 全然難しい譜面づらではないので、弾こうと思えば弾けなくはないはず。でも、あんなに美しい1楽章の直後だから、なおさら気だるく感じてしまう。
 春が来たあとの「五月病」みたいなものか。五月の天候のように暑くもなく寒くもない快適で完璧な音楽なのに、なぜか演奏しようという意欲が湧いてこない。

4番 6番 も全部で三楽章しかなかったし。 このアダージョ、ほんとに必要? とさえ思えてくる(笑)。

 で、いつまでも駄々をこねて、この楽章のみ演奏拒否を続けるのも大人げないので、今日こそはこの 五月のアダージョ 、最後まできちんと通すことにした。

 はたして、案の定、思いっきり疲れた。早く終わってくれと願いながら弾いてたかもしれない。
 でも、弾いてみたら何となくすっきりした。この曲この楽章に対して長いこと抱いていた罪悪感のようなものが、ついに解消されたような気がした。

 僕は、どちらかと言うと、好きな曲の好きな楽章だけを選んで重点的に練習する つまみ喰い派 だけど、それぞれの楽章をきちんと平等に弾くのもやっぱり大切かも、と改めて思い直した。





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最終更新日  Mar 29, 2021 01:10:15 AM
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