ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Sep 7, 2007
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「そして誰もいなくなった」

 チャイコフスキーのトリオを練習した。
 年内にこの曲を最後まで弾くことが個人的に目標だったし、今日の練習も楽しみにしながら臨んだ。それなのに、この曲が結局封印されることになろうとは、練習開始の時点では予想だにしていなかった……。

*****

 今日取り組んだのは2楽章の前半。主題と11パターンもの変奏。
思ったより弾きやすかった1楽章a moll とは打って変わり、一気に難しくなる。E durってのもあるかも。

 まず第2変奏の16分音符で早速つまづく(音程やリズム)。

 そして、第5変奏で♯(シャープ)が6つに増殖してピアニストが発狂。



 第7変奏でまたもやピアニスト氏ご発狂。同じことを延々と弾かされてる。

 ……なかなか練習が先に進まない。三人とも既に意識が朦朧としてて、練習を中断しようとの声も出た。「これ、ほんとに名曲なの?」とか言い出すし。
 しかし、自分としては次の第8変奏(フーガ)は絶対に弾いておきたい。気合いを入れてさらってきたわけだし。ほかの二人をなだめながらなんとか練習続行!

 第9変奏Andante flebile。初めて見る単語フレビーレ。何じゃ、それ? ←って誰も予習してきてない。
 譜読みが難しい。「三拍子なんだし、もっと速く弾いてくんない?」とピアノ弾きに申し上げたら、彼はついに逆ギレしてしまった!(言ってはいけないひと言だったかも。反省……。)
op50

 第10変奏はマズルカ風、チョピンChopinのかほり。ピアノ弾きさん、やっとご満悦!

 そして第11変奏、主題が安らかに繰り返され、やっと終わりが見えてきた。ピアニッシモ。バイオリンが消え、チェロが消え、そして最後にピアノが独り寂しげにE durの和音を弾く。静寂のフェルマータ。もの哀しい最期。

*****

 ……今日の練習はここまで。実は曲は2楽章後半(最終変奏とコーダ)へとまだまだ続く。こんな大曲、一年かけても終わんない。

 んでもって、「来月の練習もがんばろうぜぇ!」と僕が言ったら、ほかの二人が顔をしかめる。そして、この曲は断念しようなどとのたまう。

生まれ変わったら一緒に弾こうね 、って、あんたら一体……。

 とりあえず来月の練習日程も決めはしたが、チャイコは予定曲からあっさり外された。2対1で僕の負け。あれよあれよという間に譜面は回収(没収)されるし。

 自分としては是非とも最後まで弾いてみたかった。潔く別の仲間を探すしかないか。

 この曲、ピアノ弾き様のご機嫌を伺いながら弾く必要があることを学んだ。ピアノ譜は100ページ近くあるらしい。 シューベルトの「ます」

*****

 この三人で月一回定期的にトリオを練習してきて一年以上。互いへの遠慮もなくなってきて、最近何かと衝突するようになってきた。

 弾きたい曲のタイプが三人とも違うというのが一因。

 僕はハイドン、モーツァルト、ベートーベンでアンサンブルを楽しむ傍ら、ロマン派もじっくり弾いてみたいと思ってるのに、ピアノ弾きセスは近現代(ラベルとか)あるいは隠れた名曲探しをしたがる。初見大会も大好き。一方、ルース(チェロ)は仲裁役。古典コテンなのはチェロの出番が少ないから嫌がる。それに、彼女はほんとはジャズとかブルースが好きなこてこてのアメリカ人。

 来月の練習がどうなるか、ちょっとだけ不安。
 好きな曲はいっぱいあるけど、自分の弾きたい曲ばかり主張しすぎると仲間が去ってしまう可能性もある。そのへんが難しいなーなどと今さらながら思ったりしたわけで。





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最終更新日  Sep 10, 2007 02:55:22 AM
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