ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 22, 2007
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「歌に生き、故意に弾き」

 モーツァルトのバイオリン&ピアノのためのソナタが意外に弾きにくいのは、その華奢というか可憐な性格に起因する。ちょっとぶつければ壊れてしまいそうなこれらの楽曲を、いかに芯のある骨太な演奏にするかが個人的には課題。それを前面に出すかどうかは別として。

 今日はピアノ弾きと一緒にヘ長調K376の終楽章(3楽章)ロンドに取り組んだが、案の定、地に足のついた演奏をする難しさを痛感。最初の部分からして難航。

376.JPG

 これ、instrumental な旋律として弾くよりは、むしろモーツァルトの歌劇に出てくるアリアみたいに vocal な感じで弾くべきか。なんとなくバリトン歌手に歌わせたい旋律線。フィガロ氏とかドンジョバ氏あたり。パパゲーノ氏はちょっと違うか。

 さらに悩ましいことに、この時代のこうゆう曲、強弱記号も楽想指示も、なにもかもが例えばペータース版とベーレンライター版では全く違うし、必ずしも譜面どおりに弾けばいいってもんでもない。
 ところどころに潜んでいる要注意箇所、リタルダンドするのかしないのか、クレッシェンドするのかしないのか、奏者間の口頭による再確認が絶対に必要。それはピアニスト氏も同様に感じてたみたいで、最初はお互いどんな風に弾きたいのかを探りながら消極的に弾いてしまった。相手の出方を見ながら少しずつ調整していってもいいのだけれど、やっぱりどこか限界がある。

 譜面に書いてあることを忠実に音にすることは基本中の基本。でも、譜面に書いてないことを敢えて故意にやる勇気や度胸も大切なんだと、今さらながら考えさせられた曲でございました。

*****

 ちなみに、今日一緒に弾いてくれたピアノ弾きのローレンス、いつもは独りでピアノソナタとかを弾くことが多いとのこと。今日はいきなりバイオリンが加わったことで「自分が弾きたいように弾けないもどかしさ」に驚き、苦しんでたみたい。こっちも妙に責任を感じてしまった次第。





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最終更新日  Dec 24, 2007 05:44:50 AM
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