ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Aug 17, 2008
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「人のゼクステットを笑うな」

 夏の風物詩(in なめりか)と言えばバーベキュー。今日招かれたBBQは、「音楽関係者がいっぱい来るので必ず楽器を持ってくるよーに」と主催者からの事前の通達。

 あんまり深く考えず、言われたとおりに楽器を抱えて森のほうへと向かったら、そこに聳え立っていた豪邸には、すんごい経歴の人びとが集まっており。

house0817.JPG100人は余裕で収容できそうな邸宅

 プロとして現役でご活躍の方、なかにはヨーヨー・マと共演しただの、エフゲニー・キーシンとマブダチだだの。あんたら一体何者?っていう人たちばかり。バーンスタインのことを気安くレニー呼ばわりしちゃってるし。

 場違いな集いに足を踏み入れてオロオロと慌てる自分。
 そうこうしてるうちに、じゃぁ何か弾こうという話になってしまい、いくつかの組に分かれることに。譜面の蔵書はヨダレが垂れるほど充実してる。

 招待客のなかには親しい顔ぶれも何人かいて、彼らと六重奏をすることに決定。選ばれた曲は、こういう祭りでは定番、ど派手ゼクステット「フィレンツェの思い出」。Vn1 自分、Vn2 ピーター、Va1 ジム、Va2 カリン、Vc1 ボブ、Vc2 マシュー。



1楽章 : 冒頭のフォルテの和音があまりに唐突。不協和音ではないと思うけど、意表を突かれる。
 それにしても、やかましくゴチャゴチャしてる。気が狂いそう。

2楽章 : またもや強引な和音で曲が始まる。弦セレ?
 このアダージョは第1バイオリンと第1チェロが絡みまくる。そして、最後の最後でやっと第1ビオラが高音カンタービレ!

3楽章 : こってりしてて、弾いてて恥ずかしくなるような旋律。実際、みんな赤面しながら弾いてるし。
 イ短調で書かれてて、開放弦使いまくりの効果音大合戦。特に第2バイオリンは、フラジオも駆使してアクロバティックな合いの手をご披露。
souvenirdeflorence.JPG

4楽章 : お約束のフーガも出てきて、ますますゴチャゴチャしてくる。どんちゃん騒ぎ。

*****

 それにしても、これ、ほんとに名曲?
 演奏する側がうまぁーく調理しないと、単なる高脂肪の音楽になってしまう。



 真の名曲を弾くときの爽快感とは別の意味で弾き応えがある。疲れる曲だけど、わざとらしい旋律やリズムが出てくるたびに、みんなで爆笑したりしながら、結果的には和気あいあいと楽しく(?)練習できた。

 第1バイオリンを弾く立場としては、とにかく音量で負けないように弾くので精一杯だった。ほんと言うと、「お前ら黙れぇー!」と思わず他の五人に叫びそうになったほど。
 でも、そもそも曲がすっきり書かれてないのがマズいわけであって、僕はさっさと開き直って、部分的に出てくるおいしい旋律を満喫して弾くことを心がけた。

 改めて思ったのは、チャイコ氏みたいな人と友だちにはなりたくないなー、ということ。天才だとは思うけど、気まぐれかつ自己チューな人だったに違いなく。
 彼特有の「押し付けがましい」音楽は、苦手な人は苦手なんではないかと。この曲がいい例……。







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最終更新日  Aug 18, 2008 10:34:43 AM
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