ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Aug 17, 2008
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「18禁」

 本日の音楽愛好家懇親会(バーベキュー)では、参加者たちと妙に意気投合、とことん六重奏をやろうということになり、ブラームス B dur も弾くことになってしまった。いやはや、嬉しいやら焦るやら。

 1楽章と2楽章のみ。Vn1自分、Vn2ピーター、Va1ジム、Va2カリン、Vc1マシュー、Vc2ボブ。

 名曲中の名曲。なにより作品番号が18番っていうのが嬉しい。ベートーベンの作品18(弦楽四重奏曲集)と並んで、室内楽オタクのあいだでは神格化されてる番号(たぶん)。交響曲における9番みたいなもん。

 これぐらい有名な曲だと、みんな必ずどっかで弾いたことがあって、今日の面子のなかにもレパートリーにしてる人が何人もいた。
 ただ、裏を返せば、みんな自分の弾きたいテンポというのが定まってるみたいだったし、曲への思い入れも深く、いざ合わせると、六人の弾きかたがなかなか揃いにくかったのは誤算(笑)。

 自分としては、 去年の秋にこの曲を弾いている 。以来、あんまり聴いたりさらったりはしてないものの、今日は不思議と「あっさりと弾きたい」と思った。

 ブラームスって、渋くて気難しくて「大人の音楽」という印象があったし、一生かかっても近づけない作曲家として崇めるべきなのは事実。でも、よく考えたらこの曲は彼が20歳半ばに書いてるわけだし、今の僕らのほうがずーっと年上。


 具体的には、あんまり遅めに弾くよりは、むしろルバートも最小限に抑え、爽やかにまとめたいということ。
 例えば、1楽章だったら、各自のエントランスは多少強調しつつも、流れを保つように弾きたい。

 2楽章の変奏曲もそう。今までは円熟系、懐古系音楽だとばかり思ってたけど、清純派で攻めたほうが味わい深いような気もしてきた。たまには「ニ短調の青春」ってのもいい。
 16分音符とか32分音符だって、これぐらい遅い曲だと全然パ二クる必要などない。変な小細工はせずに、インテンポで前進。

*****

 思い起こせば、僕がこの曲と出会ったのは20年前。
 当時の僕ってば、ブラームスのアダルトな世界にあこがれ、べっとりねっとり、不倫でもしてるオトナの男女が奏でるようなワケありの濃い演奏が好きだったのに、今になって「あっさり爽やかに弾きたい」なんて言葉が自分の口から出るなんて、我ながら驚き。

 人の好みって、歳月とともにどんどん変わるわけで。←オレだけ?





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最終更新日  Aug 19, 2008 10:06:31 AM
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