全28件 (28件中 1-28件目)
1

なにげなく多チャンネルTVの旅番組にあわせたら、福島県南会津の会津鉄道沿線にある奇観「塔のへつり」を映しだしていた。懐かしい、というか、私にとっては53年ぶりに見る景色である。 阿賀野川流域のその一帯は、川面を見下ろす数十メートルの高さに、岩壁を洞穴のように穿った河岸が数百メートルにわたってつづいている。「へつり」とは、東日本の岨道や、絶壁や川岸などの嶮岨な路をいう。漢字で山カンムリに弗と書く。広辞苑には例として、「福島県会津に〈塔のへつり〉という名勝がある」と出ている。昔は、湯の上温泉江川村塔のへつり、という地名であったが、現在はなんと称するのだろう。 私が懐かしく思ったのは、荒海小学校4年生の遠足でここを訪れたからだ。昔のアルバムをひらくと、昭和30年(1955)4月27日と記されている。木村君や阿久津君や安部君、りんごを齧っている吉本君等といっしょに写っている。木村君は私の左肩に手をかけている。御元気でいることを、先年、人づてに聞いた。 テレビ番組を見たのは、もう終りのころで、「塔のへつり」もわずか1,2分映し出されただけであった。しかし、私にはそれだけで充分である。たちまち記憶の深みから、吊り橋にいたるまでの林のなかの細道がうかんできたのだった。 下に掲載する写真は、その遠足のときに私が撮影したもの。左下の隅に誰かクラスメートの登山帽が写っている。
Feb 29, 2008
コメント(0)
春のおとずれの早さは三日四日と言っていられない。紅梅白梅が咲そろい、連翹(れんぎょう)の黄が鮮やかに垣に傾(なだ)れ、水仙も咲いた。地植のシンビジュームの雪除けを取り除くと、気のせいでもあるまい、葉の緑がいきいきと一層濃い。 きょうの東京は、コートを着ているとやや汗ばむほど。乳母車に赤ちゃんを乗せたお母さんたちの列が行く。なんだか雛をつれて歩く親鴨のようで、顔がほころぶ。 八百屋に独活(うど)がならび、フキノトウも出ている。みずみずしい春大根も積まれている。それらを買い、魚屋で帆立の小貝を一盛り買った。味噌汁にすると旨い。そして、三陸からの蛸と、びんちょう鮪の刺身。これに彩り豊かな春らしい五目散らし寿司で夕食は決まり。 というわけで今日の献立。 五目散らし寿司。刺身。大根と蛸の煮物。独活とフキノトウの酢みそ和え。帆立貝の味噌汁。デザートは苺。
Feb 28, 2008
コメント(2)
先日、数多い飛行機映画のなかで私の好きな映画的シーンを三つあげた。『北北西に進路を取れ』のケーリー・グラントが複葉機に襲撃されるシーンについて述べながら、じつはある別な映画を思い出していたのだったが、題名を思い出せなかった。アマチュア・コメディアンが、『北北西に進路を取れ』のこの有名なシーンの物真似をする場面があるのだ。ケーリー・グラントの仕種の特徴をなかなかよく模写していた。 その映画の題名を思い出した。『パンチ・ライン』(1988年、デヴィッド・セルツァー監督・脚本)。トム・ハンクスとサリー・フィールドが主演している。この映画、私はひどく退屈で、映像もみるべきところがない。それかあらぬか、日本では劇場公開されていず、DVDだけが発売されている。 スタンダップ・コメディアン、いわゆるピン芸人をめざす、おちこぼれの医大生(トム・ハンクス)と、同じく主婦(サリー・フィールド)とが、コメディー・バーのコンテストに出演するうちに、しだいに恋心をいだくようになるというストーリー。あえて映画のジャンル分けをすれば、バック・ステージ(楽屋・舞台裏)もの、ということになろうか。 『北北西に進路を取れ』の物真似芸は、このコメディー・バーで演じられた。私にとっては、主人公ふたりの芸よりずっと面白かったのだ。 ところで、私は「お笑い芸」が大好きで、テレビでもその種の番組を良く見る。家人をそっちのけにして、ひとりで声をあげて笑いながらテレビを見ているのだ。どちらかというと、「話芸」が好き。奇妙な仕種で笑いをとる芸は、特別言い立てるほどでもない。「子供の芸」と、思っているのだ。もちろん鍛えられているのではあるが・・・。まあ、私が年齢を重ねてきて、世の中の滑稽もたくさん見聞きしてきたので、ワザトらしい仕種には動じないのだ、と思っていただきたい。 「お笑い芸」というのは、ことのほか難しいものだ。『パンチ・ライン』が、私には退屈きわまりない映画だったのは、たぶん私が英語ではなく日本語の字幕を見ているせいでもあろうが、コメディアンの芸にちっとも笑えなかったからだ。映画のなかで、コメディアンとして成立していない、と私は見た。トム・ハンクスやサリー・フィールドや、その他の俳優たちが、いくらコメディアンを演じようと、「芸」としての笑いを本当にさそいだすほどに巧みではないのだ。 こう言いながら、私はロビン・ウィリアムズやジャック.レモンのおのずと笑いをさそいだす見事な芸を思い出している。ジェームズ・リプトンが司会をするアクターズ・スタジオ・インタヴューにロビン・ウィリアムズが出演したとき、彼は、お客を前にすると何かを演らずにはおれない、タオル一本あればお客を楽しませ笑わせることができる、と言っていた。そして、その場で、即興のお笑い芸をやってみせたのだった。それはテレビを通してさへ、伝わってきた。見ていた私は思わず拍手したほどだった。 映画のなかで演じられる「お笑い芸」のシークエンスが、概して退屈なのは、俳優がコメディアンを演じることの難しさと同時に、映画台本として書かれた「お笑い」が、じつは本当の鍛えられた「お笑いネタ」からはほど遠いものだと指摘できるかもしれない。このことは、外国映画ばかりではなく、日本映画のなかでも言えることだ。あるいはテレビ・ドラマも含めて、だ。厳しい批評になるが、ほとんどが失敗作、と私は思っている。つまり、「お笑い芸」がいかに難しいかということの逆証明みたいなものだ。 日本のテレビを中心とした芸能は、いま、「お笑い」が何度目かのブームなのだそうだ。この数多いコメディアンの芸が、なにがなんでも笑ってやろうという観客たちではなく、いわばシラフの観客を思わず笑わせてしまうような、そんな芸を見たいものだと、『パンチ・ライン』を思い出しついでに日本のコメディアンの顔を思い出していた。
Feb 27, 2008
コメント(0)
桜、咲く。 と、いっても何処かの学校の入試に合格したのではない。正真正銘の桜が咲いているのだ。 我家の近所の寺の境内に、ひともとの枝垂れ桜がある。それが、いま、満開なのである。先日、梅がちらほらなどと書いたが、桜が咲いているのには驚いた。 たしかに、枝垂れ桜の開花は一般的に早い。染井吉野に先立って咲く。それでも大抵は、3月下旬だ。あと数日で3月になるけれど、それでもまだ2月は2月。こんなに早い開花を、私は見たことがない。 梅や桃に「枝垂れ」があるのだろうか。そんな種類は聞いたことがない。やはり桜だろう。 シダレザクラはウバヒガンの変種である。ウバヒガンはエドヒガンあるいはアズマヒガンともいい、「江戸彼岸」「東彼岸」と書く。このエドヒガンをしばしば単に「ヒガンザクラ」というが、これは間違いなのだそうだ。「江戸彼岸」とは、東国(関東)のヒガンザクラという意味だそうで、ヒガンザクラは別に「ヒガンザクラ」としてある。 桜は、暖冬では咲かない。厳寒を経て、気の温むころにパッと花をひらく。気温に敏感なようで、例年の寒暖が狂うと、開花も狂ってしまうようだ。 今年は、東京も二年ぶりの雪にみまわれたので、寒さを経験した枝垂れ桜は、ここにきてようやく暖かくなってきたので、一気に開花したのかもしれない。 枝垂れ桜は、なぜか、寺院や神社の境内に植えられていることが多い。我家の近所の寺も例外ではない。まだいずれの家の庭にも花咲く木々は見えないが、いま、この寺の境内だけが薄紅色の艶やかさにつつまれている。
Feb 26, 2008
コメント(2)
きょうも強い風が吹き、寒い一日だった。日本海側は大雪だったとか。大事がなければ、と思っている。 ところで、昨日は映画のDVDを整理して過したのだが、ふと、飛行機映画をリスト・アップしてみようかと思った。私は飛行機旅行が好きなのだ。記憶をたぐると、10本20本と思い出す。 が、データが不確かな作品についてインターネットで検索していると、すばらしい飛行機映画リストを発見した。Tony Hara氏の『航空映画』というサイトである。これはもう、私の貧しい記憶をたどっていても仕方がない。出る幕がないと観念した。興味のあるかたは次のサイトを御覧下さい。全242作品がリスト・アップされています。 http://www.wetwing.com/movie/index.html Tony Hara氏のリストは、しかし、飛行機が主体の映画なので、たとえばヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』などは入っていない。見渡すかぎりのトウモロコシ畑の真中をハイウェイがつらぬき、バス停留所にケーリー・グラントが立っている。と、遥か彼方に飛行機の影。その複葉飛行機がまっすぐケーリー・グラントに襲いかかる。例の有名なシーン。 このように、映画の主体ではないにしろ、飛行機が「いい味つけ」になっている作品をリストに入れるか入れないかは、私も迷うところだ。入れなかったTony Hara氏は、一つの見識であろう。 そんなわけでリスト・アップは降参してしまったので、Tony Hara氏のリストには入らず私がことのほか気にいっている飛行機シーンを2,3あげておこう。やや斜に見た飛行機映画、しかし、じつに映画的なシーンであると私は思っている。 一つは、ジム・ジャームッシュ監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)。白黒映画である。まず、飾り気のないすっきりしたタイトルがでる。そして監督の名前。ごく短い黒の空(カラ)コマがあって、そこに低くゴーッという音がかぶさり、ファースト・シーン。寒々しい地方の飛行場のはずれに、黒いロング・コートを着た若い女が背を向けてたたずんでいる。左奥に旅客機が見え、と、画面右から着陸姿勢の飛行機が入って来て左に消える。ゴーッという音は、この到着機のエンジン音だったのだ。女はこちらに向く。スーツケースとペイパーバッグを両手に持って。女が手前に歩いて画面から消え、同時に駐機していた飛行機がゆっくり動きだす。すぐに画面は黒字に白抜き文字のタイトル・ロールになる・・・ じつは若い女は、たったいま、ハンガリーのブタペストからアメリカに移住している伯母や従兄をたよって飛行機から降り立ったばかりなのだ。陽気なアメリカというイメージからはほど遠い、荒涼感さえただよう飛行場のはずれ。離着する飛行機。画面を横切る大きな飛行機、その映像のすばらしさ! 似たようなシーンが、ヴィム・ヴェンダース監督の『パリ、テキサス』にある。この邦題は、原題そのままなのだが、原題の発音は「パリス テキサス」である。アメリカはテキサス州のパリスという町での物語。カラー作品。 青空の遠くを、飛行機が横切ってゆくシーンがある。ストーリーには何の関係もないのだが、これは撮影中にとらえた偶然の産物ではない。ヴィム・ヴェンダースは狙いさだめているのだ。その画面作りを、私は堪能する。 次は、スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』。昨夜、NHK・BSで放映していたので御覧になったかたがおいででしょう。その御記憶のあたらしいところで、「えっ?」と思われたかたもいらっしゃるかもしれない。『シンドラーのリスト』に飛行機なんか登場したっけ?と。 そのとおり、登場しません。飛行機の姿は見えないのです。しかし、その機体の影が、画面を通過して行きました。映画が始まって間もなく、シンドラーが登場し、工場のあたりをややのんびりと歩いている場面です。巨大な翼の影が建物の壁面をおおい、シンドラーの上を通過して行きました。 この場面はロケ・セットかスタジオ・セットかは分かりませんが、いずれにしろ、映画的に飛行機の影をつくっているわけです。じつにおもしろい効果です。お気付きになりましたでしょうか? 近年の映画、『エアフォース・ワン』のように、まさに映画だから見られるすごい飛行機のシーンもあって、航空映画は映画の魅力満載である。
Feb 24, 2008
コメント(0)
一日中、強風が荒れ狂っていた。 せっかくの週末だが、どこへも出かけず、半日かけて資料整理をする。特に映画関係。約800本以上のDVDを、いったい何を所持しているか「アイウエオ」順にリスト・アップする。 ビデオ・テープ(ビデオ・テープはロッカーいっぱいになって、何がなんだかわからない)より始末しやすいとはいえ、800本ともなれば見やすい取りだしやすい収納は無理。ダンボール箱に詰めたままである。当然、見ていない作品もあることに気がつくしまつだ。 昔、オリジナル映画フィルム・コレクターとして世界的に有名なサミー・デイヴィス・Jr.の著書『ハリウッドを鞄につめて』を読んで、羨ましさに溜息もでなかったものだ。しかし、オリジナル・フィルムでこそないが、いまや書籍同様に映画作品を所持できるようになったのだから、映画ファンの私としてはあれも欲しいこれも欲しいとなってしまう。これは、やはり物欲なのだろうか? ウ~ン、まあ、そんなことどうでもいいや。死ぬまで映画を見続けようと思っているのだ。
Feb 23, 2008
コメント(2)
またまた寒波が来るとか来ないとか。しかし今日は終日おだやかな日射しにつつまれていた。もう、梅がちらほら咲き始めている。あちらの木に一輪、こちらの木に二つ三つ。それだけでも枯草色の景色のなかに、おやっと思わせる彩りである。旧友の田中君が、「もう少し暖かくなれば、また畑です」といっていた。家庭菜園がなかなか盛業のようだ。 梅といえば、梅を詠んだ句には良い句が多い。 春もやゝけしきとゝのふ月と梅 芭蕉 むめ一輪一りんほどのあたゝかさ 嵐雪 二もとの梅に遅速を愛すかな 蕪村 月の梅の酢の蒟蒻のとけふも過ぎぬ 一茶 崖急に梅ことごとく斜なり 子規 それぞれの人柄がたくまずして現れている。5人が5人とも、「人間」の味がちがう。一句一句をあじわうもいいが、こうして並べてみると、作者の個性がそれぞれに屹立しておもしろい。 私は子規の句に驚嘆する。崖にはえている梅がみな揃いも揃って木立が斜になっている、という、見た目の風景をあるがままに素直に詠んでいる。いや、そういって良いかどうか。墨の一刷毛で風景を截然と切り取って差し出したような、ひりひりするような神経の鋭敏さがある。しかしその緊張感は、太く、雄々しい。感覚が幾何学的だ。 蕪村も好きだ。あちらの梅が咲いた、こちらの枝が咲いた、ふたつ並んだ梅の木に、開花の早い遅いがある。なぜだか知らん。だが、その遅い早いの間合いを愛さなくては、なんの春よ来いだ。
Feb 22, 2008
コメント(0)
創造的表現活動の一端に関わる者として、おおきな関心をもたざるをえない、最高裁の判決が出た。アメリカの写真家、故ロバート・メイプルソープ氏の写真集について、「芸術的観点で構成されており、全体としてみれば社会通念に照らして風俗を害さない」と、その猥褻性を否定したのである。 これは東京の映画輸入会社の浅井隆社長が99年にアメリカから持ち帰った同写真集が、成田空港税関によって関税定率法で輸入が禁じられている「風俗を害すべき書籍、図画」、いわゆる「猥褻物」に当るとして没収された。問題になったのは同写真集に掲載されている幾何学的ともいえる造形感覚に裏打ちされた男性器を強調した18作品だった。それに対して浅井氏は処分取り消しを求めて提訴し、02年の第一審・東京地裁判決は処分取り消し、国に対して浅井氏に70万円の賠償金支払いを命じた。しかし03年、第ニ審・東京高等裁判所は猥褻物に当るとして原告浅井氏の逆転敗訴の判決を下した。そして、今回、最高裁判所は高裁の判決を破棄し、当該写真集の猥褻性を否定する判断を示したのである。 じつは、浅井氏は同写真集の没収を見込んで、猥褻概念の新たな判例をもとめて成田税関に自己申告をしていたのだった。当時、ロバート・メイプルソープ氏の男性器を撮った作品をふくむ写真集は、浅井氏の会社が販売権を取得して、日本国内で芸術的な書籍として流通販売されていた。00年までに937册が販売されたという。かくいう私も、国内の洋書店で購入し、所持していた。したがって、99年に起された訴訟は、いまさら何故?という思いもあった。 いずれにしろ最高裁の判決は、性表現に関してきわめて大きな意味をもつ、かつ意義ある判決であると言うべきだろう。 性表現が歴史的に変遷するものであることは今さら言うまでもない。世界的に見て、大きなうねりをみせ、あきらかに変ったと思われたのは70年代に入ってからである。もっとも特徴的なことは、アーチストたちの意識が自己の身体・自己の性に深くそそがれたことだろう。欲望の対象としての性というよりは、欲望する自らの性である。当然、問題となってくるのは自らの性器である。あるいはホモセクシャルの問題をふくめて、みずからが属する性の性器、あるいは自己認識と身体性との間でゆれうごく性器である。そこに露呈されたのは、たんに機能としての男・女性器ではなく、個性としての意味をもった性器であった。 むき出しにされた性器は、それぞれの個人のアイデンティティとしての顔をそなえた性器であり、「猥褻」などと言っている場合ではなかった。 1993年のヴェネツィア・ビエンナーレ展に出品されたオリヴィエロ・トスカニーニの巨大写真群は、老若男女の性器を真正面から撮影したものであった。それはまさに性器だけを撮影したものだが、われわれはその写真群によって、あらためて千差万別の個性を確認することとなった。それは性表現の歴史におけるひとつの記念碑であったといってもよいだろう。 「猥褻」は、そこに猥褻があらかじめ存在するのではない。あくまで観念である。しかし、「猥褻な状況」はつくられうる。力(権力)によって縛られ、無力化されて晒された肉体、その力と無力化された肉体との関係性である。某刑務所における受刑者に対する医務官による肛門虐待が報じられているが、これこそが典型的な「猥褻」といってよい。
Feb 19, 2008
コメント(0)
つい今まで(23時~0時30分)、NHK教育テレビで先日亡くなられた映画作家市川崑監督をしのぶインタビュー・ドキュメンタリー番組『映像美の巨匠 市川崑』を見ていた。これは9年前、平成11年に放映された番組の再放送である。当時、市川監督は『どら平太』を撮影中であったが、監督へのインタビューおよび過去の作品に出演した俳優、またスタッフへのインタビューを、作品の一部をまじえながら製作されたものだ。 私は見ていなかったので今回初めて見たのだが、撮影現場で演出中の姿を興味深く見た。ほんの一部ながら、昔スクリーンで見ただけで、その後ビデオやDVDでも見る機会がなかった作品に懐かしい再会ができた。安井昌二主演の『ビルマの竪琴』や、船越英二・山本富士子主演『私は二歳』、岸恵子・川口浩主演『おとうと』等々。 岸恵子さんの率直なインタビューも素敵だった。「まな板の鯉になれる監督は、市川崑監督と小津安二郎監督だけだった」などと。 安井昌二さんが『ビルマの竪琴』に出演できたことに感謝のことばをのべ、水島上等兵(安井)の書いた手紙を、日本への帰還船の船上で三國連太郎さんが兵士たちに読み聞かせる場面は、いつ見ても涙がこぼれるのだと言っているのが印象的だった。 私がこの映画を見たのは小学6年生のときだったが、今日テレビに映し出されたシーンを、ことごとく鮮明に記憶していた。 この作品の撮影について監督が次のように述べられていた。封切予定日が迫っているのに、ビルマのシーンが撮れていなかった。会社側は、イラワジ河にロケーション撮影するかわりに多摩川で済ませろとか、ビルマの仏塔のかわりに築地本願寺の塔でまにあわせろなどと言うのだ、と。・・・会社側の言いなりになっていたなら、日本映画史上に残る名作は生まれなかっただろうと思うと、私は映画ファンとして胸をなでおろしたい気持だ。この作品、近くNHK・BS2で放映するそうだ。楽しみだ。50年ぶりに見ることになる。できることならスクリーンで見たいものだが。
Feb 17, 2008
コメント(0)
散歩がてら電車で他の街にゆき、ぶらぶら歩きをした。花屋の店先にはもうチューリップが並んでいる。ケーキ屋さんで苺がたっぷり入ったケーキを買った。魚屋さんで春先においしい真鯛の刺身を買った。氷を詰めてもらったが、後回しにすればよかった、あまり長い散歩もできない。 S古書店に寄る。この店は、ある種の文学的貴重書があつめられていて、中には「あっ!」と思うような本がみつかることもある。30代の私なら垂涎の本なのだが、いまや私はその分野を卒業してしまった。私はコレクションのためのコレクションはしない。つまり本をハトロン紙に包んで、本箱のガラス扉の奥に飾る趣味はまったくないのだ。 そんなわけで高価な古書の棚は素通りし、数十年前の文庫本をあつめた棚に行く。2册発見。 河竹繁俊『歌舞伎・文楽史話』(初版、昭和30年、河出文庫) ナット・ヘントフ著、木島始訳『ジャズ・カントリー』(初版、昭和51年、講談社文庫) レジで支払いを済ませ、ふと振り返るとレジ前の細長い書棚の1册に目がとまった。それも追加購入。 ミドルトン・マリ著、山室静訳『ドストエフスキー』(初版、昭和28年、鎌倉書房) この本は、J. MIDDLETON MURRY: FYODOR DOSTOEVSKY; A CRITICAL STUDY の翻訳で、著者マリの処女作であるが、ドストエフスキー論としては世界的に定評あるものである。あとがきによれば、訳者の山室氏は翻訳にあたり直接マリ氏と交渉し、快諾を得たとある。 きょうの古書は、いつもの大型古書店で買う100円均一ではないのだが、それでも安価な買い物。帰りの電車のなかで、待きれずに封を切って、さっそく読みはじめた。
Feb 17, 2008
コメント(0)
小学校時代の同級生田中君としばらくぶりのメール交換をした。 田中君と私は、福島県の八総鉱山小学校が一緒。数年前、ひょんなことからお互いの消息がわかった。小学校時代の写真を見ると、ふたりはいつも隣同士で写っている。中学校は別々になり、私は会津若松に行った。高校に入学すると、田中君も父の会社の子弟のための学生寮にやってきた(つまり父親同士が会社の同僚だった)。私は一ヶ月ばかり後に学生寮を出てアパート暮らしをはじめたので、じつは田中君とはそれ以来なのだった。42,3年ぶりということになる。しかし、田中君についての私の記憶は鮮明で、映画のように動く映像として甦って来る。声さえ聞こえるのである。 とはいえ、40数年ぶりで送ってくれた写真に小学生の田中君の面影はみつけられなかった。当然といえば当然、私たちは還暦を過ぎたのだから。むしろ私のほうが、一層面変わりしているだろう。たぶん私の今の顔には、少年時代の面影はどこにもないにちがいない。 きょうのメールには、会津若松の学生寮周辺のことが書かれていた。私が忘れてしまっていた隣家の名前を知らされて、あっ、そうだったかと思ったのは、昨年その辺りを訪れたときに、同じ並びの会社の名前が田中君の指摘した名と同じだったことを思い出したからだ。その家のイチジクの樹。たしか塀をめぐらしたその内側にあった。田中君は学生寮の非常階段から、そのイチジクを取ったことがあると書いている。 私が中学2年のときに、同じ中学の上級生のK君を、二階の自室にこっそり招き入れたのがその非常階段だった。管理人室からは見えにくいのだ。非常階段の裏側が、例の藩校日新館の水練場の名残りの池に面していた。寮の敷地との境に竹の粗垣が結い巡らしてあった。 田中君は、左隣との境にそびえていた大銀杏のことも書いていた。その樹は今は失われてないが、私は寮生たちと銀杏の実をぶつけっこして、その汁にカブレてオチンチンが真っ赤に腫れ上がってしまったことがあった。田中君が入寮する前のことだ。二階の窓から手をのばせば、銀杏の実が採れたのである。 それから、銭湯のこと。・・・中学校のグラウンドの前方、若松商業高校のグラウンドの後方、製材所の近くにそれはあった。学生寮に浴室がなかったので、寮生はその銭湯にかよった。 銭湯の前に小さなラーメン屋があった。ときどき寮の夕食がその店から運ばれるラーメンのことがあった。当時、一杯50円。シナチクと鳴門と茹でた菠薐草と焼き海苔がのっかっていた。ラーメンの夕食、おいしかったなー。 寮の食事は、時間になるとベルが鳴った。食堂は廊下より1尺(30cm)ばかり低くい、細長い八畳ほどの部屋で、長いテーブルふたつと4脚の長椅子がそなえてあった。寮生は17,8人が定員。男女が別々のテーブルだった。食堂の入口に一間幅の戸棚があって、その中に、人数分のお菜がならべられていた。テーブルには御飯を入れた御櫃(おひつ)と大きな薬缶にお茶が入っていた。 私の写真アルバムにはある日の食事風景を撮った写真が残っている。残念ながら、田中君が入寮する1年前の写真だ。そこには田中君の隣家のSさんが写っている。寮生としては私のほうが先輩なのだが、学年は1年上級である。きょうのメールで田中君は、やはり同級生だったY君のお姉さんからお汁粉を御馳走になったことを書いていたが、そのY君のお姉さんも寮生として食事の写真に写っている。私もY君のお姉さんに親切にしてもらったものだ。 考えてみれば、田中君と私が時間空間を共有して友として交わっていたのは、わずか4年有余なのだ。しかし、私の記憶には忘れがたく生き生きとしている。子供の「時」というのは、大人のそれとは比べ物にならないほど深く大きいのかもしれない。少なくとも私の感受性は、満開の花のように、友との時間空間に開いていたようだ。
Feb 16, 2008
コメント(0)

詩人の井上摩耶さんがチョコレートを添えた第一詩集『Look at me. ―たとえばな詩―』を贈ってくださった。彼女が14歳のころから少しずつ日記帳に書きためた詩集である。 昨年の7月、A氏邸のパーティで紹介された、私のもっとも若い友人。そのとき、彼女の飾らない素直な詩に感じた私は、お客さんたちに朗読してお聞かせしたのだった。 私の居場所 この世に 私の居場所ってあるのかな 私が立って 生きて 話して 笑って そんな 居場所があるのかな ここでいいのかな 私はここで育っていいのかな 大きくなったら 居られなくなっちゃうのかな 抜け出せなくなっているのかな 先のことなんて わからない 予測だってしたくない いつだって 今を生きていたい だから 教えて 私はここで育っていいの 子供には わからない 大人の世界と 大人には わからない 子供の世界と 私は今 どこの世界の人なの 数えきれないほどある 世界の中 私が居ていい 世界ってあるの もっと もっと 知りたい もっと もっと 見てみたい もっと もっと 聞いてみたい 私は乾いたスポンジだ でも 本当にここの水を吸収していいの もし汚水だった時に 誰がしぼってくれるの 私は今 自分の足元さえ見えなくなっている どこで 立って 生きて 話して 笑っているのか わからない井上摩耶著『Look at me. ―たとえばな詩―』定価:本体2000+税発行:ミッドナイト・プレス / 電話03(5968)3905発売:星雲社 / 電話03(3947)1021
Feb 14, 2008
コメント(2)
市川崑監督が13日午前1時55分に亡くなった。92歳だったという。 市川監督は映画作家としてはちょっと不思議な方で、スタイルというものがなかった。もちろんこれは私の意見であるが、言葉をかえれば題材にあったスタイルでつくりつづけたということにもなろう。 私は少年時代から市川崑作品をずいぶんみている。『若い人』(1952)、『処刑の部屋』(1956)や新旧の『ビルマの竪琴』(1956、85)や、『炎上』(1958)、『満員電車』(1958)、『鍵』(1959)、『おとうと』(1960)、『ぼんち』(1960)、『私は二歳』(1962)、『大平洋ひとりぼっち』(1963)、『東京オリンピック』(1965)、そして『雪之丞変化』『股旅』『細雪』『犬神家の一族』等々。ざっと思い出してもこれだけある。たぶんもっと見ているはずだ。 なかでも私が好きなのは『雪之丞変化』である。長谷川一夫と山本富士子が主演している。何が好きかといえば、白黒のめりはりのきいた美しい画面。白と黒との様式という表現が一番ふさわしいかもしれない。娯楽時代劇なのだが、モダンな感覚がすみずみまで冴えわたっている。ずいぶん昔に観たのに、いまだに画面が彷佛する。 『ビルマの竪琴』を観たのも小学6年生のとき。新版より旧版のほうが格段に優れている。たぶん新版の俳優たちは、もう戦争経験などから遠く、観ているこちらに伝わる存在感がない。時代を背負っている、何と言おう、空気感だろうか、そういうものがまったく感じられないのだ。ドンパチがある戦争映画ではないし、竹山道雄の原作小説の映画化とはいえ映像表現としては、物語るだけでは済まない虚無感さえただよう無惨さが俳優の肉体から滲みでてこなければばるまい。旧版の、北林谷栄演じるビルマの物売りの老婆のインコが言う、「ミズシマー、ミズシマー、イッショニ、ニッポン ニ カエロウヨ」という声が、50年以上経ついまでも耳にこびりついている。水島上等兵に扮した安井昌二もよかったなー。 そうそう、『四十七人の刺客』もある。原作小説の映画化だが、ただこの映画の吉良上野介義央邸の趣向は、惜しむらくは、私はどうしても1963年の工藤栄一監督作品『十三人の刺客』を連想してしまう。工藤作品がすばらしいだけに、市川崑監督に軍配をあげるわけにはゆかないのだ。 最後の作品となったのは『犬神家の一族』のリメイクだった。なぜこの作品を再び取り直してみようと思ったのだろう。私にひとつの謎を遺して巨星は墜ちた。
Feb 13, 2008
コメント(0)
スイス・チューリッヒのビュールレ・コレクション美術館が強盗に襲われ、モネの「ベトゥイユ近辺のひなげし」、セザンヌの「赤いチョッキの少年」、ドガの「ルピック伯爵と娘たち」、そしてゴッホの「花咲くマロニエの枝」の計4点の絵が盗まれたという。10日のことである。 報道によれば、同日夕刻、覆面をした3人組が美術館に侵入、1人が武器で職員を床にねじふせ、その間に2人が壁から絵をはずし、車で逃走した。夕刻とはいえ、まさに白昼の強盗事件だ。 この美術館は、ちょっと特異なもので、ドイツ出身の実業家だった故エミール・ビュールレ氏が生前収集したヨーロッパ有数の名画の数々を、その自邸とともに一般公開しているのである。印象派コレクションとしては世界的に有名で、その作品群は各作家の代表作として、ごく普通の画集にも掲載されている。盗まれた4作品もまた然りで、地元警察の被害額試算によると1億8千万スイスフラン、日本円にして約175億、美術館盗難事件として過去最高額ではないかという。 しかし、世界中に知れわたっている名画だけに、売り捌くことは不可能だろうとも。 それはそうだろう。よほど美に淫した孤独な大金持ちのコレクターでなければ、到底、所有しきれまい。もしそのような人物がいたとして、3人組の強盗がこのようなコレクターに接触できるかどうか。・・・そうなってくると、話は小説か映画のようになってくる。私はたまたま8日のブログに「泥棒映画リスト」を掲載した。そのなかには『トプカピ』や『おしゃれ泥棒』や『トーマス・クラウン・アフェアー』のような美術館泥棒の映画もはいっている。私が書いたのがつい5日前、今回の盗難事件の2日前ということになるので、何も因縁などないが、事件報道に目をみはったのだ。
Feb 13, 2008
コメント(0)

実在人物モデル映画リスト(5)昨日からのつづきです。●アンドレイ・ルブリョフ ANDREI RUBLYOV(ANDREI ROUBLEV) 第1部 動乱そして沈黙 第2部 試練そして復活1967年、ソヴィエト、モス・フィルム監督:アンドレイ・タルコフスキー、脚本:アンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー、アンドレイ・タルコフスキー、撮影:ワジーム・ユーソフ、美術:エフゲニー・チェルニャーエフ、音楽:ヴャチェスラフ・オフチンニコフ、出演:アナトリ-・ソロニーツィン、イワン・ラビコフ、ニコライ・グリニコ、ニコライ・セルゲエフ、ニコライ・ブルリャーエフ。 15世紀のロシアで活躍した聖像(イコン)画家アンドレイ・ルブリョフを描く。ただしこの驚異の天才画家は、こんにちモスクワのトレチャコフ美術館等に作品のみが残っていて、その人物履歴を知るてがかりになるものは何もないといわれている。したがってこの映画は、アンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキーとアンドレイ・タルコフスキーという当時のソヴィエト連邦映画界の両巨匠による自由な想像といってよい。 この映画は69年度カンヌ映画祭で上映され、ソ連映画の質の高さを西側に知らしめた。上映に尽力したのはフランス文化相アンドレ・マルローといわれる。日本では1974年に東京の三百人劇場で公開された。ついでながら、日本公開時の映画製作者クレジットに、上記とはことなるものがあるので、参考までに以下に記しておく。監督:ガブリール・エギャザーロフ、脚本:ユーリー・ボンダレフ・エフゲニー・グレゴリュフ、ガブリエール.エギャザーロフ、撮影:フョードル・ドブロヌラーボフ、音楽:アルフレッド・シュニトケ、出演:ゲオルギー・ジェノフ、アナトリー・クズネツォフ。〈参考図版〉アンドレイ・ルブリョフの聖画部分●ルードウィヒ 神々の黄昏 Ludwig1972年、伊・西独監督:ルキノ・ヴィスコンティ、原案・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、エンリコ・メディオーリ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ、撮影:アルマンド・ナンヌッツィ、美術:マリオ・キアーリ、マリオ・シッシ、衣装:ピエロ・トージ、音楽:リヒャルト・ワーグナー、ジャック・オッフェンバック、演奏:サンタ・チェチリア国立音楽院管弦楽団、編集:ルッジェーロ・マストロヤンニ、出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、トレヴァー・ハワード、シルヴァーナ・マンガーノ、ゲルト・フレーべ、ヘルムート・グリーム、イサベラ・テレジンスカ、ウンベルト・オルシーニ、ジョン・モルダー・ブラウン、ソニア・ペトロヴァ、フォルカー・ボーネット、マルク・ポレル。●オーソン・ウェルズのフェイク Veite et mensonges1974年、仏・イラン・独監督・脚本:オーソン・ウェルズ、製作総指揮:フランソワ・レシャバック、撮影:クリスチャン・オダッソ、ゲイリー・グレイヴァー、音楽:ミシェル・ルグラン、出演:オーソン・ウェルズ、オヤ・コダール、ジョゼフ・コットン、ロ-レンス・ハ-ヴェ、エルミア・デ・ホーリー、クリフォード・アーヴィング、フランソワ・レシャンバック。 地中海のイビザ島に住み、ピカソやマチス、モディリアーニやルノワール等々の贋作をまたたくまに描く実在の贋作画家エルミア・デ・ホーリーと、彼の伝記『贋作』を書いた伝記作家クリフォード・アービングをめぐり、オーソン・ウェルズ自身が案内役となって進行する、虚虚実実の摩訶不思議な映画。見ているうちに、何が何だか分からなくなることうけあい。面白いこともうけあい。それにしても、贋作者って、いったい何だ?●ジュリア Julia1977年、米、20世紀フォックス監督:フレッド・ジンネマン、製作:ルチャード・ロス、原作:リリアン・ヘルマンの回顧録『ジュリア』、脚色:アルヴィン・サージェント、撮影:ダグラス・スローカム、特殊メーキャップ:ジョージ・フロスト、音楽:ジョルジュ・ドリュー、美術:ジーン・キャラハン、ウィリー・ホルト、カーメン・ディラン、編集:ウォルター・マーチ、出演:ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ジェイソン・ロバーズ、マクシミリアン・シェル、ハル・ホルブルック。 アメリカの劇作家リリアン.ヘルマンの回顧録にもとづく。彼女におおきな影響を与えたジュリアという女性との友情、そして作家ダシール・ハメットとの愛が描かれる。●ダントン DANTON1982年、仏・ポーランド監督:アンジェイ・ワイダ、原作:スタニスヴァ・プシェビシェフスカ『ダントン事件』、脚本:ジャン=クロード・カリエール、撮影:イゴール・ルター、美術:アラン・スタルスキ、衣装:イヴォンヌ・サシノー・ド・スネル、音楽:ジャン・プロドロミデス、編集:アリナ・プリュガル=ケトリング、出演:ジェラール・ドパルデュー(ダントン)、ヴォイチェフ・プショニャック(ロベスピエール)、パトリス・シェロー(カミーユ・デムーラン)、ロジェ・ブランション(フキエ=タンヴィル)、アンゲラ・ヴィンクレル、ボグスワフ・リンダ(サン=ジュスト)、タデウシ・フク、セルジュ・メルラン。 フランス革命の1973年から1974年にかけてのパリ。人民の人気だけを頼りにしてロベスピエールの恐怖政治に対抗するダントン。しかしロベスピエールはこれを圧殺し、逮捕し、新法を制定してダントンの口を封じ、ついに断頭台に送り込む。 映画は徹底した考証で厚い画面をつくりだしている。私は画家ルイ・ダヴィッドの姿を興味深く見た。●メフィスト MEPHISTO1982年、独、マ・フィルム、マンフレッド・ドルニオクプロダクション監督:イシュトヴァーン・サボー、原作:クラウス・マン、脚本:イシュトヴァーン・サボー、ペーテル・ドバイ、撮影:ラヨッシュ・コルタイ、音楽:ゼンコ・タマシ、衣装:アグネーシュ・ギャルマシ、編集:ツザ・チャーカニ、出演:クラウス・マリア・ブランダウアー、クリスティナ・ヤンダ、イルディコ・バンシャーギイ、カーリン・ボイド、ロルフ・ホッペ、クリスティ-ネ・ハルボルト。 クラウス・マンの小説『メフィスト』の映画化であるこの作品を、モデル映画とすることに異論があるかもしれない。映画はゲーテの『ファウスト』の演出と、そのメフィスト役で名優とうたわれ、ナチスの庇護を受け、利用されるヘフゲンの栄光と苦悩を描く。芸術家が時の政治権力の操り人形になってゆくさまを、しかも一方で、国を捨てるのではなく自国で芸術活動をつづけることの決意があって、芸術家の内心の分裂をこれほど明瞭に描いた映画はないかもしれない。 この主人公ヘフゲンに重なって見えるのが、ナチス・ドイツで最高の名優といわれた実在の人物グリュントゲンスである。クラウス・マンの小説は、あまりにもグリュントゲンスを彷佛とさせ、しかも彼がナチ体制の恩恵に浴していることを痛烈に批判するものであったので、政府はこの本を発禁処分にした。これがもとで、クラウス・マンは自殺した。●ナポレオン NAPOLEON1927年(フランシス・コッポラ修復版日本公開1983年)、仏監督:アベル・ガンス出演:アルベール・デュードンヌ、ウラディミール・ルーデンコ、エドマンド・ヴァン・ダエレ、アレクサンドル・クービツキー、アントナン・アルトー、アベル・ガンス、ジナ・マネ。(以下つづく。このまま下のページへスクロールしてください)
Feb 12, 2008
コメント(0)
実在人物モデル映画リスト(6)●アマデウス AMADEUS1984年、米、ソウル・ゼインツ・カンパニー監督:ミロス・フォアマン、製作:ソウル・ゼインツ、原作・脚本:ピーター・シェファー、撮影:ミロスラフ・オンドリチェク、編集:ネーナ・デーンビック、マイケル・チャンドラー、衣装:カレン・サーニー、オペラ舞台デザイン:ヨゼフ・スボボダ、美術:P・フォン・ブランデンシュタイン、振付:トウィラ・サーブ、音楽監督:ネビル・マリナー、出演:F・マーリー・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、サイモン・キャロー、ロイ・ドートリス、クリスチーヌ・エバーソール、ジェフリー・ジョーンズ。●ラウンド・ミッドナイト Round Midnight1986年、米、ワーナーブラザーズ監督:ベルトラン・タヴェルニエ、製作:アーウィン・ウィンクラー、脚本:デイヴィッド・レイフィール、ベルトラン・タヴェルニエ、撮影:ブルーノ・ド・ケイゼル、音楽:ハービー・ハンコック、衣装:ジャックリーヌ・モロー、編集:アルマン・ペスニー、出演:デクスター・ゴードン、ハービー・ハンコック、ボビー・ハッチャー、ジョン・ベリー、フランソワ・クリュゼ、ガブリエル・アケル、クリスチーヌ・パスカル、サンドラ・リーヴス・フィリップス、ロネット・マッキー。 1959年のパリ。アメリカのテナー・サックス奏者デイル・ターナー(デクスター・ゴードン)がブルーノト・クラブに出演するためにやってきた。大歓迎の昔の仲間達。その演奏を雨のなかで漏れ聞く若者があった。・・・ この映画は全体的にはフィクションなのだが、主人公のテナー・サックス奏者デイル・ターナーは、ジャズ・ピアニストのバド・パウエルがモデルであり、彼を崇拝するグラフィック・デザイナーのフランシスという青年は、フランスで有数のジャズ・レコード・コレクターのフランシス・ボードラスがモデルであるといわれる。 1950年代も末になるとアメリカでは次第にジャズが衰退し、多くのプレイヤーがフランスへ移住した。彼の地には〈黒人〉のジャズという偏見がほとんどなかったからである。主演しているデクスター・ゴードンもバド・パウエルも、チェット・ベイカーやルー・ドナルドソン、マル・ウォルドロン、アート・ファーマー等々。 そうした時代のジャズ・メンの交流を描くこの映画は、出演者にデクスター・ゴードンをはじめ、ハービー・ハンコックやジョン・ベリーなど実際のブルーノート系のジャズ・プレイヤーを迎えたことで、作品に一層のリアリティーをあたえることに成功した。●ゴシック Gothic1986年、英監督:ケン・ラッセル、製作:ペニー・コーク、脚本:スティーブン・ヴォルク、撮影:マイク・サウソン、音楽:トーマス・ドルビー、美術:クリストファー・ホッブス、衣装:ヴィクトリア・ラッセル、編集:マイケル・ブラッドセル、出演:ガブリエル・バーン、ジュリアン・サンズ、ナターシャ・リチャード、ミリアム・シル、ティモシー・スポール。 1816年6月16日。スイスのバイロン卿の屋敷、ディオダディ館に、詩人のシェリーとその愛人メアリー、彼女の義妹クレアが訪ねてきた。バイロン卿の侍医ポリドリをまじえてのディナー。その席でバイロン卿は、みんなで怪談をつくることを提案する。やがて彼等全員がそれぞれに思惑をふくんだ幻想世界に没入してゆく。 ゴシック文学史上有名になった一夜。メアリーはこの夜の幻想をもとに、のちにあの『フランケンシュタイン』を執筆したのである。●カラヴァッジオ CARAVAGGIO1986年、英監督・脚本:デレク・ジャーマン、製作:サラ・ラドクリフ、原案:ニコラス・ワード・ジャクソン、撮影:ガブリエル・ベリスタイン、音楽:サイモン・フィッシャー・ターナー、出演:ナイジェル・テイー、シーン・ビーン、デクスター・フレッチャー、スペンサー・レイ、ティルダ・スウィントン、マイケル・ガウ。 16世紀、イタリア・ルネッサンス最後の巨匠ミケランジェロ・ヴォナロティが亡くなって7年後、もうひとりのミケランジェロが誕生した。ミケランジェロ・メリシ、通称カラヴァッジオ(1571-1610)。野卑にして崇高、そして美術史上ただ二人の殺人者画家のひとりである。 映画はこの画家のスキャンダラスな生涯を時代を超越したきわめて特異な手法で描いてゆく。●サロメ SALOME'S LAST DANCE1987年、米、ヴェストロン・ピクチャーズ監督・脚色:ケン・ラッセル、原作:オスカー・ワイルド、撮影:ハーヴィー・ハリソン、美術:マイケル・ブキャナン、舞台デザイン:クリストファー・ホッブス、衣装:マイケル・アラルス、振付:アレーヌ・フィリップス、編集:ティモシー・ギイ、出演:イモジェン・ミライス=スコット、ストラットフォード・ジョーンズ、グレンダ・ジャクソン、ニコラス・グレース、デニス・ウル、ラッセル・リー・ナッシュ、アルフレッド・ラッセル、ケン・ラッセル、イモジェン・クレア、リンジ・ドゥルー。 オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』上演をとおしてオスカー・ワイルドの姿も描く。●ゴッホ Vincent & Theo1990年 英・仏・オランダ監督:ロバート・アルトマン、製作:ルディ・ボエケン、脚本:ジュリアン・ミッチェル、撮影:ジャン・ルプラン、音楽:ガブリエル・ヤレド、出演:ティム・ロス、ポール・リース、ウラジミール・ヨルダノフ、イブ・ヴィンガールデン。●JFK1991年、米、ワーナーブラザーズ監督:オリヴァー・ストーン、製作:A・キットマン・ホール、脚本:オリヴァー・ストーン、ザカリー・スクラー、撮影:ロバート・リチャードソン、音楽:ジョン・ウィリアムズ、出演:ケヴィン・コスナー、シシー・スペイセク、ジョー・ペシ、ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズ、ウォルター・マッソー、ジャック・レモン、エド・アズナー、ドナルド・サザーランド、ケヴィン・ベーコン、ブライアン=ドイル・マレー、サリー・カークランド、ジェイ・O・サンダース、マイケル・ルーカー、デイル・ダイ、グレン・フォード。●アポロ131995年、米監督:ロン・ハワード、製作:ブライアン・グレイゼス、原作:ジム・ロヴェル、ジェフリー・クルーガー、脚本:ウィリアム・ブロイラーJr.、アル・レイナート、ジョン・セイルス、撮影:ディーン・キュンディー、SFX:デジタル・ドメイン、音楽:ジェイムス・ホーナー、美術:マイケル・コレンブリス、編集:マイケル・ヒル、ダニエル・ハンレイ、衣装:リタ・リアック、出演:トム・ハンクス(ジム・ロヴェル)、ケヴィン・ベイコン(ジャック・スウィガート)、ビル・パクストン(フレド・ヘイズ)、ゲイリー・シニス(ケン・マッチングリー)、エド・ハリス、キャサリン・クィニアン、ローレン・ディーン、トレイシー・レイナー。 宇宙飛行士ジム・ロヴェルの自伝をもとに、大事故を起したアポロ13号の地球への帰還を描く。事故の模様が世界中にテレビ放送されていただけに、NASA指令室と宇宙飛行士たちのきわめて冷静な判断と行動は、無事帰還を祝福する喝采に迎えられた。 この映画のSFXは迫真的で、特にロケット発射のシーンの映像を見たNASA関係者が、NASAから実際映像が流出したと勘違い騒動になったという逸話が伝えられている。●エリン・ブロコビッチ 2000年、米、ジャージー・フィルムス監督:スティーブン・ソダーバーグ、製作:ダニー・デ・ヴィート、マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シャー、脚本:スザンナ・グラント、撮影:エド・ラクマン、美術:フィリップ・メッシーナ、音楽:トマス・ニューマン、衣装:ジェフリー・カーランド、編集:アン・V・コーテス、出演:ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカート、ピーター・コヨーテ、マージ・ヘルゲンバーグ、チェリー・ジョーンズ。まだまだありますが、とりあえず順不同でタイトルだけならべておきます。●「不滅の恋」ベートーベン、●「炎の人ゴッホ」ファン・ゴッホ、●「荒野の決闘」ワイアット・アープ、●「赤い風車」ロートレック、●「星に想いを」アインシュタイン、●「奇跡の人」ヘレン・ケラー、●「タイム・アフター・タイム」H・G・ウェルズ、●「アンタッチャブル」アル・カポネ、●「チャーリー」チャップリン、●「ガンジー」マハトマ・ガンジー、●「シャーロック・ホームズの冒険」ジグムント・フロイト、●「ラストエンペラー」溥儀、●「セヴン・イヤーズ・イン・チベット」ハインリッヒ・ハラーとダライ・ラマ、●「パットン大戦車軍団」ジョージ・パットン、●「ライト・スタッフ」チャック・イエーガー、●「アンネの日記」アンネ・フランク、●「追憶」皇女アナスタシア、●「バスキア」バスキア、●「エド・ウッド」エド・ウッド、●「エビータ」エバ・ベロン、●「アヴィエイター」ハワード・ヒューズ、●「オスカー・ワイルド」オスカー・ワイルド、●「バード」チャーリー・パーカー、●「マルコムX」マルコムX、●「レイジング・ブル」ジェイク・ラモッタ、●「レニー・ブルース」レニ-・ブルース、●「サバイビング・ピカソ」ピカソ、●「シンドラーのリスト」オスカー・シンドラー、●「戦場のピアニスト」ウワディク・シュピルマン、●「ニクソン」ニクソン元大統領、●「ドアーズ」ジム・モリス、●「レイ」レイ・チャールズ、●「恋におちたシェイクスピア」ウィリアム・シェイクスピア、●「ヒットラー 最後の12日間」アドルフ・ヒットラー、●「アドルフの画集」アドルフ・ヒットラー、●「エリザベス」エリザベス1世、●「アリ」モハメド・アリ、●「アラバマ物語」ハーバー・リーとその父親、●「仮面の男」ルイ14世、●「カラミティ・ジェーン」カラミティ・ジェーン、●「ジャンヌ・ダルク」ジャンヌ・ダルク、●「ジャンヌ・ダーク」ジャンヌ・ダルク、●「ジェームズ・ディーンのすべて」ジェームス・ディーン、●「バグジー」ベンジャミン・バグジー・シーゲル、●「バラキ」バラキ、●「リリアン・ギッシュの肖像」リリアン・ギッシュ、●「アガサ 愛の失踪」アガサ・クリスティ、●「イサドラ・ダンカン」イサドラ・ダンカン、●「裸足のイサドラ」イサドラ・ダンカン、●「エイブ・リンカーン」エイブラハム・リンカーン大統領、●「マルキ・ド・サドの演出によるシャラントン精神病院の患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺(マラー/サド)」ドナチアン・フランソワーズ・ド・サド、●「神の道化師、フランチェスコ」アッシジの聖フランチェスコ、●「ブラザ-・サン シスター・ムーン」アッシジの聖フランチェスコ、●「ザ・ハリケーン」ル-ビン・‘ハリケーン’・カーター、●「ラリー・フリント」雑誌HASSLER創刊者ラリー・フリント、●「レンブラントへの贈物」レンブラント・ファン・レイ、●「真珠の耳飾りの少女」ヨハネス・フェルメール、●「レンブラントの夜警」レンブラント・ファン・レイ、●「ポロック 二人だけのアトリエ」アメリカ現代抽象画家ジャクソン・ポロック。
Feb 12, 2008
コメント(0)
一昨日、釈迦楽さんのブログを拝見したところモデル映画が幾本かリストアップされていた。なるほどこういうテがあったかと思ったら、私もたちどころに20本ばかり思いうかんできた。じっくり記憶をさぐればもっと思い出せそうだった。 さて、それから後のこと、釈迦楽さんがそのアイデアで私のリストを楽しみにすると言ってくださった。よしそれならアイデアを御借りしてリストをつくってみよう。そうして出来上ったのが以下の〈実在人物モデル映画リスト〉である。じつはまだ未完成だ。思い出してメモした作品がまだ30本ほども残っている。それについては、また後に追加することにして、いったんアップしておく。(1)~(6)まで、とりあえずタイトルのみ紹介するのも含めて全121作品。〈実在人物モデル映画リスト(1)〉●アントニイとクレオパトラ1914年、伊、チネス監督:エンリコ・ガッツオーニ、脚本:ピエトロ・コッサ、出演:ジアンナ・テリビリ、アムレット・ノヴェリ。●キーン Kean, Au d市ordre et g始ie1925年、仏、アルバトロス監督:アレクサンダー・ヴォルコフ、原作:アレキサンドル・大デューマ、脚本:アレクサンダー・ヴォルコフ、ケネルム・フォス、イヴァン・モジューヒン、撮影:J・マンヴィル、ド・ボアゴソフ、出演:イヴァン・モジューヒン、ニコライ・コリン、ナタリー・リセンコ、マリー・オデット。 19世紀初頭のロンドン演劇界で一代の名優とうたわれたエドマンド・キーンの物語。上流社会の社交場だった劇場での恋の鞘当て。ついには名声を失って、病の床にシェークスピアの台本を胸に抱いたまま孤独に死んだキーン。●ビリー・ザ・キッド Billy the Kid1931年、米、MGM監督:キング・ヴィダー、原作:ウォルター・ノーブル・バーンズ、脚本:ワンダ・タショク、ローレンス・ストレングス、撮影:ゴードン・エヴィル、出演:ジョン・マック・ブラウン、ウォレス・ビアリー。 本作品は、その後数多く製作されるビリー・ザ・キッド映画の、おそらく最も初期の一本と思われる。●マタ・ハリ Mata HAri1932年、米、監督:ジョージ・フィッツモーリス、脚本:ベンジャミン・グレーザー、レオ・ビリンスキー、撮影:ウイリアム・ダニエルス、出演:グレタ・ガルボ、リュイス・ストーン、ラモン・ナヴァロ。 パリで絶大な人気をはくしていた舞姫マタ・ハリは、じつは連合国側の大スパイだった。命を受けた彼女はロシア陸軍将校ロサノフに接近し、密書を入手した。しかしそのとき突然のようにマタ・ハリの女心がめざめたのである。その気持を情報部長に察知された彼女は、ロサノフ殺害を命じられる。彼女はもはや冷酷な女スパイではなくなっていた。彼女はロサノフを飛行機で逃亡させる。が、その飛行機は撃墜され、重症を負ったロサノフは失明した。駆けつけたマタ・ハリだったが、正体もバレてしまった。 軍事法廷に引出された彼女は、ロサノフを救うために、責任を一身に負って刑場の露と散った。●ヒットラー青年1934年、独、ウーファ監督:ハンス・シュタインホフ、原作:シェンチンガー、脚本:シェンチンガー、B・E・リュトケ、撮影:コンスタンチン・チェット、出演:ロルフ・ヴェンクハウス、クラウス・クラウゼン、ハインリッヒ・ゲオルゲ。 この映画が日本で公開された1934年の前年、1933年にナチ党は権力掌握、ドイツは日本とともに国際連盟を脱退した。1936年には日独防共協定を結んだ。●クレオパトラ Cleopatra1934年、米監督:セシル・B・デミル、脚本:バートレット・コーマック、脚色:ウォルデマー・ヤング、ヴィンセント・ローレンス、撮影:ヴィクター・ミルナー、音楽:ルドルフ・G・コップ、衣装:トラヴィス・バントン、出演:クローデット・コルベール(クレオパトラ)、ウォレン・ウィリアムス【ジュリアス・シーザー)、ヘンリー・ウィルコクスン(マーク・アントニー)、ガートルード・マイケル(カルパーニア)、ジョセヒ・シルドクラウト(ヘロド)。●チャパーエフ Chapaev1934年(日本公開1966年)、ソヴィエト連邦監督:ゲオルジー・ワシーリェフ、セルゲイ・ワシーリェフ、原作:ドミトリー・フールマノフ、脚色:ゲオルジー・ワシーリェフ、セルゲイ・ワシーリェフ、撮影:アレクサンドル・シガエフ、A・クセノフォント、音楽:ガブリエル・ポポフ、出演:ボリス・バーボチキン(チャパーエフ9、ボリス・ブリノフ(フルマノフ)、ワルワーラ・ミャスニコワ、レオニード・クミット。 ロシア革命時に実在した赤軍師団長チャパーエフをめぐり、白軍壊滅までを描く。1935年度モスクワ映画祭第一賞受賞作。●未完成交響楽 Leise flehen meine Lieder1935年、オーストリア、ツイネ・アリアンツ監督・脚本:ウイリー・フォルスト、撮影:フランツ・プラナー、音楽:シュミット・ゲントナー、出演:ハンス・ヤーライ、マルタ・エゲルト。 無名時代のフランツ・シューベルト。おもいがけない幸運から、侯爵夫人のサロンでピアノ演奏する機会を得た。彼は自作のロ短調交響曲のモチーフを演奏した。サロンはそのすばらしさに水を打ったように静まりかえった。第三楽章が始まった矢先だった、若い女の無遠慮な高笑いがひびきわたった。シューベルトは侮辱されたと思い、憤然として演奏を中止した。 やがてその女と意外な再会をし、あの笑いは彼に対する侮辱ではなかったと知る。ふたりの心は急速に接近するが、かたや領主・伯爵の令嬢、かたや貧しい無名の音楽家、しょせん結ばれるはずはなかった。彼女の結婚披露宴に招かれたシューベルトは思い出のロ短調交響曲を演奏する。そしてあの第三楽章にさしかかったとき、花嫁は声をあげて失神した。曲はまたもや中断してしまった。・・・永遠に。 この映画が日本で公開されると、多くの若者に感銘を与えたようだ。そのことを青春時代の大切な思い出として語っているエッセーに出会うこともある。私が見たのは、もちろんずっと後年だ。さしたる感銘も受けなかったのは、残念というべきか。●別れの曲 La Chanson de L'Adieu1935年、仏、トビス・ボストン監督:ゲツァ・フォン・ボルヴァリー、脚本:エルンスト・マリシェカ、台詞:ジャック・ナタンソン、音楽:アロイス・メリハル、出演:ジャン・セルヴェ、ジャニース・クリスパン、リュシェンヌ・ルマルシャン、ダニエル・ルクルートア。 1830年のポーランド。若きピアニストのショパンは、ピアノを捨てて剣を取り、ポーランド独立のために身を投じるべきではないかと思う。しかし彼の才能を惜しむ教師は、パリへ行くことを勧める。恋人コンスタンティアに一時の別れを告げて旅立つショパン。 花の都パリで演奏中に、故国に独立革命がおこった知らせに興奮した彼は、思わず演奏中だったモーツァルトの曲をやめて自作の練習曲『軍隊ポロネーズ』を弾いてしまう。観客は喝采した。その中に男装の小説家ジョルジュ・サンドがいた。サンドは、たちまちショパンの豊かな才能を認めた。そして彼を巨匠フランツ・リストに紹介した。 ショパンは二人の偉大な芸術家の庇護をうけることになった。サンドとショパンが恋の炎に焼かれるのは当然の成行きだった。その恋によって、ショパンの音楽は一層豊かになっていった。 ポーランドからショパンを慕ってはるばるパリまでやってきたコンスタンティアは、いまや彼の心がすっかりサンドに傾いていることを知る。そして淋しく分かれを決心したのだった。(以下つづく。このまま下のページへスクロールしてください。)
Feb 12, 2008
コメント(0)
実在人物モデル映画リスト(2)●ロスチャイルド The House of Rothchild1935年、米、ユナイテッドアーティスツ監督:アルフレッド・ワーカー、原作:ジョージ・ヘンバート・ウェストリー、脚本:ナナリー・ジョンスン、撮影:ベヴァレル・マーレイ、出演:ロレッタ・ヤング。 プロシャの首都フランクフルトのユダヤ人ゲットーで、迫害のなかで蓄財したマイヤー・ロスチャイルドであったが、志を遂げることなく病で世を去った。その死の床で、ネーサン、アムシュル、ソロモン、カール、ジェームズの五人の息子に欧州五ヵ国に銀行を開くことを誓わせた。金こそがユダヤ民族を救う唯一の手段だ、と。 やがてナポレオン戦争を巧みにかいくぐって、ネーサンは連合国からユダヤ人の自由を勝ち取る。英国の宮廷に招かれた彼はつぶやく。「ユダヤ人は威厳をもって商売をし、威厳をもって暮らし、威厳をもって世界を歩んでゆくのだ」と。●科学者の道 The Story of Louis Pasteur1935年、米。ユニヴァーサル・ピクチャーズ監督:ウィリアム・ディターレ、製作:A・コスモポリタン、脚色:シェリダン・ギブニー、ピエール・コリングス、ジーン・ルイス、撮影:トニー・ゴーディオ、出演:ポール・ムニ、ジョセフィン・ハッチンスン、アアニタ・ルイズ、ドナルド・ウッズ、フリッツ・ライバー、ヘンリー・オニール、ポーター・ホール、レイモンド・ブラウン、エイキム・タミロフ、ハリウェル・ホッブス、フランク・ライヘル、ディッキー・ムーア、ルーす・ロビンソン、ウォルター・キングスフォード、ハーバート・コーセル、イフィゲニー・キャスチグリオーニ。 葡萄酒やビールの貯蔵法を発見し、また炭疽病の病原菌を発見したルイ・パスツールの伝記映画。●ジャンヌダーク1936年、独、ウーファ監督:グスタフ・ウチッキー、原作・脚本:ゲルハルタ・メンツェル、撮影:ギュンター・クラムプ、出演:アンゲラ・ザローカー、グスタフ・グリュントゲンス。●マルコ・ポーロの冒険1939年、米、ユナイテッド・アーチスツ監督:アーチ・メイヨ、原作:N・A・ポグスン、脚本:ロバート・E・シャーウッド、撮影:ルドルフ・マテ、アーチ・スタウト、出演:ゲイリー・クーパー、ラナ・ターナー。●偉人エーリッヒ博士 DR. EHRLICH'S MAGIC BULLET1940年、米監督:ウィリアム・ディターレ、脚本:ノーマン・バーンサイド、ジョン・ヒューストン、ハインツ・ヘラルド、撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ、音楽:マックス・スタイナー、出演:エドワード・G・ロビンソン、ルース・ゴードン、オットー・クルーガー、ドナルド・クリスプ、マリア・オースペンスカヤ、モンタギュー・ラブ、シグ・ルーマン、ドナルド・ミーク、アルバート・バッサーマン。 ドイツの細菌学者で、秦佐八郎とともに梅毒の化学療法薬サルバルサン(Salvarsan)を発見したパウル・エールリッヒ(1854-1908)の伝記映画。エールリッヒは1908年にノーベル医学・生理学賞を受賞している。●イワン雷帝(第1部、第2部) Ivan Grozni1944年、ソヴィエト連邦監督・脚本:セルゲイ・M・エイゼンシュテイン、撮影:アンドレイ・モスクヴィン、エドゥアルド・ティッセ、音楽:セルゲイ・プロコイエフ、美術:イサク・シュピネル、出演:ニコライ・チェルカーソフ、リュドミラ・ツェリコフスカヤ、セラフィマ・ビルマン、パーヴェル・カドチニコフ、ミハイル・ジャーロフ。 16世紀中頃のロシアに君臨したイワン皇帝は、国内の政敵を倒し、ロシア統一に向けて外敵との戦いを神に誓う。 陰影深い映像がすばらしい。戴冠式での皇帝の頭上に金貨が降り注がれる場面、そのロシア・イコンに埋め尽くされた大聖堂内部等々、珍しく、興味深い。一部分がカラーである。●キューリー夫人 Madame Curie1946年、米、MGM監督:マーヴィン・ルロイ、原作:イーヴ・キューリー、脚本:ポール・オズボーン、ポール・ラモー、撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ、音楽:ハーバート・ストサート、出演:グリア・ガースン、ウォルター・ピジョン。●ゾラの生涯1948年、米、ワーナーブラザーズ監督:ウイリアム・ディターレ、脚本:N・R・レイン、ハインツ・ヘラルド、G・ヘルツェグ、撮影:トニー・ゴーディオ、音楽:マックス・スティナー、出演:ポール・ムニ、ジョセフ・シルドクラウト。 フランスの文豪エミール・ゾラの伝記映画。●打撃王 The Pride of the Yankees1949年、米、RKO監督:サム・ウッド、原作:ポール・ガリコ、脚本:ジョー・スワーリング、ハーマン・マンキウィッツ、撮影:ルドルフ・マテ、出演:ゲイリー・クーパー、ウォルター・ブレナン、テレサ・ライト。 アメリカ野球史上に輝く偉大な強打者ルウ・ゲーリッグ(本名ヘンリー・リュイル・ゲーリッグ)の物語。彼はニューヨークに生まれ、1923年から39年までニューヨーク・ヤンキースの一塁手として活躍した。17年間に、連続試合出場2530回、ホームラン494本(うち満塁ホームラン23本)、終身打率3割4分1厘、最高殊勲選手賞2回。 ニューヨークの貧民街に生まれたルウは、やがて大学に進み、スポーツで非凡な活躍する姿をスポーツ記者に認められてニューヨーク・ヤンキースのヒギンズ監督に紹介される。2,3年後にはレギュラー・ポジションを獲得、一躍人気者になる。そして球界最高の名選手と尊敬されるまでになるが、とつぜん病魔が彼を襲った。小児麻痺であった。1937年7月4日、ときあたかも合衆国建国記念日、62,000人の大観衆は去り行く打撃王に惜しみない拍手をおくった。●甦える熱球 The Stratton Story1949年、米、MGM監督:サム・ウッド、脚本:ダグラス・モロウ、ガイ・トロスパー、撮影:ハロルド・ロッスン、出演:ジェームス・スチュワート、フランク・モーガン、アグネス・ムアヘッド、ジューン・アリスン。 『打撃王』を撮ったサム・ウッド監督がおなじ年に製作した野球映画。片脚の名投手モンティ・ストラトンの物語。 草野球をしているところへ、一人の浮浪者がやってきた。かつて名投手といわれたバネイ・ワイルの酒に身をもちくずした姿だった。しかし彼の野球に対する眼力は鋭かった。投手のモンティ・ストラトンの素質を見抜き、プロ入りをすすめたのだ。農場を営む母の反対をおしきって、バネイは彼を連れてシカゴのホワイトソックスに売り込みにゆく。売り込みは成功し、バネイもモンティのトレイナーになった。 しかし、マウンドに立つ機会はおとずれず、ようやく先発を命じられた試合は対ニューヨーク・ヤンキース戦。さんざんに打負かされたあげくに二軍落ちになってしまう。そして故郷で狩猟をしていたとき、猟銃が暴発、片脚を失ってしまった。もう野球はできないと一時はあきらめた。が、幼いわが子が一生懸命ヨチヨチ歩きするのをを見たモンティは、義足での投球練習をはじめる。そしてついに奇跡のカムバックをはたしたのだ。(以下つづく。このまま下のページへスクロールしてください)
Feb 12, 2008
コメント(0)
実在人物モデル映画リスト(3)●ヴァレンチノ VALENTINO1952年、米、コロンビア監督:リュイス・アレン、脚本:ジョージ・ブルース、撮影:ハリー・ストラドリング、音楽:ハインツ・ロームヘルド、出演:トニー・デクスター、エリナ・パーカー。 ハリウッド草創期のスター、ルドルフ・ヴァレンチノの伝記映画。●グレン・ミラー物語 The Glenn Miller Story1954年、米、ユニヴァーサル・スタジオ監督:アンソニー・マン、脚本:ヴァレンタイン・デーヴィス、撮影:ウイリアム・ダニエルス、音楽:ジョセフ・ガーシュイン、出演:ジェームス・スチュワート、ジューン・アリスン。 スイング・ジャズの創始者グレン・ミラーの伝記映画。●翼よ! あれが巴里の灯だ The Spirit of St. Louis1957年、米、ワーナーブラザーズ監督:ビリー・ワイルダー、原作:チャールズ・A・リンドバーグ、脚本:ビリー・ワイルダー、ウエンデル・マイヤー、撮影:ロバート,バークス、ベヴァレル・マーレー、音楽:フランツ・ワックスマン、出演:ジェームズ・スチュワート。 チャールズ・A・リンドバーグの自伝にもとづく映画。 1926年、ニューヨーク…パリ間、無着陸飛行の最初の成功者に賞金25,000ドルのオーテーグ賞が設定された。24才の郵便飛行士リンドバーグは挑戦を決意する。サンディエゴのライアン航空会社が飛行機を提供してくれることになった。1927年3月、彼より早く大西洋横断飛行に乗り出した二人組がいた。しかし間もなく二人の行方不明が伝えられた。リンドバーグの後援者たちは、不安になった。リンドバーグの計画が無謀ではないかと、飛行中止を迫った。 5月20日の早朝、おりしもニューヨークは雨が降りしきっていた。彼は愛機スピリット・オブ・セントルイス号に乗込んだ。そして前人未到の空の旅に飛び立った。5食分のサンドウイッチ、水筒の水、そして重量ギリギリの425ガロンの燃料だけを積み込んで。無線機さえ持たなかった。・・・襲いくる睡魔との闘い。危ういところを救ったのは、出発直前に一人の少女が手渡してくれた小さな手鏡だった。朝陽が鏡に反射して眠りに落ちそうな彼の目を鋭く射たのだ。二日目の朝が明け、やがて日が沈むころ、下界に街の灯りがまたたいている。リンドバーグは叫ぶ。「翼よ! あれがパリの灯だ!」 飛行時間33時間39分20秒。群集の歓呼のなか、リンドバーグはただただ眠りたいだけだった。 この作品は、殆どが狭いコクピットの中だけで進行する。とても映画になりそうにもないところを、さすが巨匠ビリー・ワイルダー監督はみごとに映画にしてしまっている。私はDVDで何度も何度もカメラ割りを見てみたものだ。●OK牧場の決斗 Gunfight at the O.K. Corral1957年、米、パラマウント監督:ジョン・スタージェス、脚本:レオン・ユリス、音楽:ディミトリ・ティオムキン、出演:カーク・ダグラス、バート・ランカスター、ロンダ・フレミング。 ワイアット・アープとドグ・ホリディ、クライトン兄弟との因縁深い関係が、ついに O.K.牧場における決闘となる。西部開拓時代の伝説的ガン・マンの物語。この決闘を題材にした西部劇は数多いが、その代表的作品。バート・ランカスターがワイアット・アープを、カーク・ダグラスがドク・ホリディを演じている。●モンパルナスの灯1958年、仏、フランコ監督・脚本:ジャック・ベッケル、原作:ミシェール・ジョルジュ・ミシェール、撮影:クリスチャン・マトラ、音楽:ポール・ミスラキ、出演:ジェラール・フィリップ、リリー・パルマー、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチェラ。 画家モジリアニの伝記映画。●アラビアのロレンス Lowrence of Arabia1963年、英、サム・スピーゲル監督:デーヴィッド・リーン、製作:サム・スピーゲル、原作:T・E・ロレンス『砂漠の反乱』、脚本:ロバート・ボルト、撮影:フレッド・A・ヤング、音楽:モーリス・ジャール、出演:ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン、アレック・ギネス、ジャック・ホーキンス、ホセ・ファーラー、アーサー・ケネディ。 トーマス・エドワード・ロレンスの自伝にもとづく作品。 オックスフォード大学出身のメソポタミヤ・シリア等を専門とする考古学者だったT・E・ロレンスは、第一次世界大戦が勃発すると、英国陸軍情報部に招聘され、将校として中近東の諜報活動に従事した。そして、学者肌のかげにおそらく生来あったのであろう荒々しい冒険心が目覚め、やがて〈アラビアのロレンス〉と呼ばれる異名をあげるようになる。彼は大英帝国のアラビア政策のために身を粉にして働き、骨の髄までしゃぶられ、捨てられたのである。●クレオパトラ Cleopatra1963年、20世紀フォックス監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ、製作:ウォルター・ウェンジャー、原作:プルターク、スエトニウス、アピン、C・M・フランエウェロ、脚本:シドニー・バックマン、ラナルド・マクドゥーガル、ジョセフ・L・マッキーウィッツ、撮影:レオン・シャムロイ、音楽:アレックス・ノース、美術:ジョン・デ・キュア、ジャック・マーティン・スミス、ヒルヤード・ブラウン、ハーマン・A・ブルメンタル、エルベン・ウェッブ、ボリス・ジュラガ、モーリス・ベリング、衣装:アイリーン・シャラフ、出演:エリザベス・テイラー、リチャード・バートン、レックス・ハリソン、パメラ・ブラウン、ジョージ・コール、ヒューム・クローニン、チェザーレ・ダノヴァ、ケネス・ヘイグ、アンドリュー・キーア、ロディ・マクドウォール、グレゴワール・アスラック・グエン・ワトフォード。●市民ケーン Citizen Kane1966年、米、RKO監督:オーソン・ウエルズ、脚本:オーソン・ウエルズ、ハーマン・J・マンキーウィッツ、撮影:グレッド・トーランド、音楽:バーナード・ハーマン、出演:ソン・ウエルズ、ヘルス・ウォリッツ、ウイリアム・オランド、ジョージ・クールリューズ、ジョセフ・コットン。 大新聞王ランドルフ・ハーストをモデルにしていると、公開当時アメリカで物議をかもした。映画史上の金字塔的作品といわれ、いまに至ってもベスト・テン投票では1,2位に入る。新聞王と称されてマスコミ界を牛耳り、莫大な財産を所有し、孤独のうちに死んでいった男。この男はいったいどのような人間であったのか。世間の理解をこばむかのような男の生涯を、映画はみごとな技法を駆使して鋭く描いてゆく。●わが命つきるとも A Man for All Seasons 1966年、英、コロンビア監督・製作:フレッド・ジンネマン、原作戯曲・脚本:ロバート・ボルト、撮影:テッド・スカイフ、音楽:ジョルジュ・ドリュー、主演:ポール・スコフィールド(トマス・モア)。オーソン・ウエルズ(ウォルセイ枢機卿)、レオ・マッカーン(クロムウェル)、ウェンディ・ヒラー、ロバート・ショウ(ヘンリー8世)。●ゲバラ 1969年、米、20世紀フォックス監督:リチャード・フライシャー、脚本:サイ・バートレット、マイケル・ウイルソン、撮影:チャールズ・ホイヤー、音楽:ラロ・シフリン、出演:オマー・シャリフ、ジャック・バランス。 キューバの革命戦士チェ・ゲバラを描く。●明日に向って撃て! Butch Cassidy and the Sundance Kid1969年、米、20世紀フォックス監督:ジョージ・ロイヒル、脚本:ウイリアム・ゴールドマン、撮影:コンラッド・ホール、音楽:バート・バカラック、出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、サム・エリオット、ジョ0ジ・ロイ・ヒル。 19世紀末のアメリカ西部史のなかに実在する二人組の銀行強盗、ブッチとサンダンスの逃避行。●ウイズ・ジョー・コッカー Joe Cocker: Mad Dogs and Englishmen1970年、米、A&Mフィルム監督:ピエール・アディジ、製作総指揮:ジェリー・モス、製作:ピエール・アディジ、ハリー・マークス、ロバート・エイベル、撮影:デーヴィッド・マイアーズ、編集:シド・レヴィン、出演:ジョー・コッカーと彼のバンド、その家族、ガール・フレンド、犬一匹。 ロック歌手ジョー・コッカーと彼のバンドを含む総勢43名が、1970年3月19日から5月16日までの59日間、アメリカの20都市でおこなった演奏旅行の記録フィルム全62時間分を1時間59分に編集したもの。モデル映画というには相応しくないかもしれないが、一応入れておく。●クロムウェル Cromwell1970年、英、コロンビア監督・脚本:ケン・ヒューズ、製作:アーヴィング・アレン、撮影:ジェフリー・アンスワース、音楽:フランク・コーデル、美術:ハーバート・ウェストブ、衣装:ニーノ・ノヴァレーゼ、編集:ビル・レニー、出演:リチャード・ハリス(オリヴァー・クロムウェル)、アレック.ギネス(カールス1世)、ロバート・モーレイ(マンチェスター伯爵)、ドロシー・テューティンア(ヘンリエッタ・マリア女王)、フランク・フィンレイ(ジョン・カーター)。●ジョーン・バエズ 心の旅 Carry It On1971年、米、クリストファー・G・ナイト監督:ロバート・ジョーンズ、製作:クリストファー・G・ナイト、撮影:ジェームズ・コイン、出演:ジョーン・バエズ。 歌手ジョーン・バエズが夫デビッド・ハリスを牢獄から解放させるために企画した全米縦断コンサートの模様を彼女の私生活の様子をまじえて克明に追った記録映画。●アントニーとクレオパトラ1972年、米、ピーター・スネル・プロダクション監督・脚本:チャールトン・ヘストン、撮影:ラファエル・バチェコ、音楽:ジョン・スコット、出演:チャールトン・ヘストン、ヒルデガード・ネール。●ドク・ホリディ1972年、米、フランク・ベリー・プロダクション監督:フランク・ベリー、脚本:ピーター・ハミル、撮影:ジェラルド・ハーシュフェルド、音楽:ジミー・ウェッブ、出演:スティシー・キーチ、フェイ・ダナウェイ。●シューベルト物語1972年、伊、モンディアル・フィルム監督:エットレ・M・フィザロッティ、脚本:ジョバンニ・グリバルディ、撮影:マリオ・カブリオッティ、音楽:フランチェスコ・ラバニーノ、出演:アル・バーノ、ロミナ・パワー。●ヨハン・シュトラウス 白樺のワルツ1972年、ソヴィエト、レン・フィルム監督:ヤン・フリード、脚本:アナトリー・グレブネフ、撮影:オレーグ・クホワレンコ、音楽:V・チスチャコフ、出演:ギルト・ヤコブレフ。●フランツ・リスト 愛の夢1972年、ソヴィエト・レン・フィルム、ハンガリー・マ・フィルム監督:マルトン・ケレチ、脚本:レオニード・デリイムレ・ケシ、撮影:イシュトバン・ヒルデブラント、音楽:ブルノ・ニコライ、出演:ニーニョ・デル・アルコ、バオロ・ゴッリーノ。●ヘンリー・ミラーの性生活 クリーシーの静かな日々1972年、デンマーク、メリー・フィルム監督・脚本:イエンス・ヨーゲン・トールスン、撮影:イエスパー・ホム、音楽:カントリー・ジョー、ベン・ウエブスター、出演:ポール・ヴァルジャン、ウエイン・ジョン・ロッダ。●情熱の生涯・ゴヤ1972年、ソヴィエト・レン・フィルム、東独・テファ・フィルム監督:コンラート・ウルフ、脚本:アンジェル・ワゲンシュテイン、撮影:コンスタンチン・ルイジョフ、ウェネル・ベルクマン、音楽:カーラ・カラエフ、ファラッシ・カラエフ、出演:ドナタス・パニオニス、オリベラ・カタリナ。●ビリー・ホリディ物語・奇妙な果実1973年、米、モータウン・ウエストン=フューリー・プロダクション監督:シドニー・J・フューリー、脚本:テレンス・マックロイ、クリス・クラーク、スザンヌ・ド・パッシー、撮影:ジョン・アロンゾ、音楽:ミシェル・ルグラン、出演:ダイアナ・ロス、ビリー・ディー・ウイリアムス。(以下つづく。このまま下のページへスクロールしてください)
Feb 12, 2008
コメント(0)
実在人物モデル映画リスト(4)●ビリー・ザ・キッド 21才の生涯 Pat Garett and Billy the Kid1973年、米、ワーナーブラザーズ監督:サム・ペキンパー、製作:ゴードン・キャロル、脚本:ルディ・ウーリッツアー、撮影:ジョン・コキロン、美術:テッド・ハワーす、音楽:ボブ・ディラン、出演:ジェームス・コバーン、クリス・クリストファーソン、ジェイソン・ロバーズ、ジャック・イーラム、リチャード/ジャッケル。 1881年、ならず者のビーリー・ザ・キッド(クリス・クリストファーソン)は、その前年に犯した罪で元は相棒だった保安官パット・ギャレット(ジェームス・コバーン)に逮捕された。しかしビリーは、ギャレットの隙をみつけて守衛を殺害して脱走する。二人の執念の追走と逃走のはじまりだった。●デリンジャー Dillinger1973年、米、AP監督・脚本:ジョン・ミリアス、撮影:ジュールス・ブレンナー、音楽:バリー.デホーゾン、出演:ウォレン・オーツ、ベンジョンスン、リチャード・ドレイファス、スチーブ・カナリー、ジョフリー・ルイス、ハリー・ディーン・スタントン。 1933年から4年にかけてアメリカでもっとも有名な銀行ギャングの首領ジョン・ハーバート・デリンジャーと、その一味、‘ベビーフェイス’ことネルソン、‘プリティーボーイ’ことフロイド、そしてハリー・ピアポンとホーマー。彼等はまるで兄弟のような友愛で結ばれていたという。そして最新流行のスーツに身をつつみ、ストロー・ハットをちょっとアミダにかぶり、まるで映画スター気取りだった。またなぜか市民に人気があり、中には英雄視する者もいた。それに対して合衆国政府は凶悪犯の英雄化を必死になって食い止めようとした。1934年7月、デリンジャーはシカゴの映画館でメロドラマ『男の世界』を観て、出て来たところを待ち構えていたFBIに射殺された。●ダアラスの熱い日 Executive Action1973年、米、ナショナル・ゼネラル監督:デトヴィッド・ミラー、原作マーク・レーン、ドナルド・フリード、脚本:ドルトン・トランボ、撮影:ロバート.ステドマン、音楽:Rンディ・エデルマン、出演:ロバート・ライアン、バート・ランカスター、ウイル・ギア。 この映画をモデル映画として扱うかどうか迷うところだ。ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を描いているが、その事件の周辺的群像がモデルである。原作者のふたりはルポ・ライターで、彼等は、事件後に大統領に就任したジョンソンが命令してつくらせた全米最高裁長官ウォーレンを座長とするいわゆるウォーレン調査委員会の報告に対する抗議として、独自調査の結果を発表した。それが、この映画の原作である。●コーザ・ノストラ Lucky Luciano1973年、伊・ヴィデス・チネマトグラフィカ、米・シルヴァースタイン・インターナショナル監督:フランチェスコ・ロージ、脚本:リノ・ヤヌッツィ、フランチェスコ・ロージ、撮影:パスカリーノ・デ・サンティス、音楽:ピエロ・ヴィッチオーニ、出演:ジャン.マリア・ボロンテ、ロッド・スタイガー、マグダ・コノプカ。 映画の邦題になっている〈コーザ・ノストラ〉とは、「我等のもの」あるいは「我等の国」という意味で、1930年代にアメリカに実在したイタリア・マフィアの一つの組織名である。その首領がラッキー・ルチアーノ。彼は合衆国政府の権力の中枢部にまで手をのばし、コーザ・ノストラをつかって意のままに操ろうとした。●バレンチノ Nureyev is Valentino1977年、米、ユナイト監督:ケン・ラッセル、製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ、脚本:ケン・ラッセル、マルディク・マーティン、撮影:ピーターシャシスキー、音楽:ファーディ・グロフェ、スタンリー・ブラック、音楽演奏:ザ・ナショナル・フィルハーモニック・オーケストラ、美術:フィリップ・ハリソン、衣装:シャーリー・ラッセル、振り付け:ジリアン・グレゴリー、編集:スチュワート・ベアード、出演:ルドルフ・ヌレエフ、レスリー・キャロン、ミシェル・フィリップス、キャロル・ケイン、フェリシティ・ケンドール。 ハリウッド映画の草創期に活躍し絶大な人気を得ていたルドルフ・ヴァレンチノの伝記映画。ヴァレンチノが活躍したのは僅か5年間であったが、14本の作品に主演し、31才で世を去った。1926年8月23日、彼の葬儀には数万の人々が押し寄せた。
Feb 11, 2008
コメント(0)
土曜日の午後、ちらりほらりと小さな雪片が舞っていたが、5時過ぎに本格的に降り出した。2時間ほどで4,5cmも積った。東京としては大雪である。 そんな中を厚手のコートをはおって傘をさし、隣市まで出かけた。自治会の代表としてある儀典に参列するためである。夜の街は霏々として降る雪におおわれて遠くが霞んでいる。木々もすっかり雪をかぶり、あたりの風情がちがって見えた。靴の下で雪が鳴る。 8時少し前に帰宅すると、隣近所は夜の雪掻きをしていた。路傍に雪の小山ができている。「こんばんは、こんばんは」と私は挨拶しながら通り過ぎるが、我家の前もすっかり片付けられていた。 居間に落着いたところで、テレビが『レイ』を放映しはじめた。レイ・チャールズの伝記的映画である。2004年の作品で、たしか同年に彼は亡くなっている。レイ・チャールズに扮したジェーミー・フォックスがあまりにも素晴らしいので嬉しくなってしまう。 私はレイ・チャールズが好きで、学生時代にはゴールデン・アルバムのLPレコードを持っていたし、来日コンサートを新宿厚生年金会館へ聞きにいったりもした。私が夏休みなどで両親のもとへ帰宅したおりなど、「アンチェイン・マイ・ハート」とくちずさむので、父も覚えてしまい「アンチェイン・マイ・ハート」と歌っていた。 ジェーミー・フォックスの演技は、まざまざと昔のコンサートを思い出させた。ステージに登場するときの、音楽にとりつかれたような身体の動き。ピアノをひくときのあの動き。こういう映画は、本人とそっくりでなくては安心して見ていられない。特に音楽映画、数々のコンサート・シーンを演じなければならない映画は。 映画のなかで、無名時代の彼がひとたびピアノを弾きはじめると、たちまち人々は身体をゆらして踊りだしていたが、彼のコンサートはまさにそのとおりだった。初めの一音が、絶対的な音楽性をもっていた。こころに響くというよりも、身体に響くのである。 音楽というのは不思議なもので、演奏がすべて音楽的であるとは言えないのだ。奇怪な言い方だが、音楽的な音楽と、非音楽的な音楽とがあるのである。音楽というより、「音が苦」といったほうがいいような演奏だ。プロフェッショナルな演奏家にだってそれは言えることがある。 しかし、レイ・チャールズの演奏を聞いて、これほど音楽性にあふれた一音一音はめったに出会うものではない、と私は思ったものだ。 私はこれまで彼の伝記的なことはまったく知らなく、ただその音楽だけを聞いていた。きょうこの映画によって初めて彼の深層にあるものを知った。それによって、私がもっているレイ・チャールズ音楽観は変わりはしないだろうけれど。
Feb 9, 2008
コメント(2)
先日テレビの深夜映画劇場でジュールス・ダッシン監督の『トプカピ』を放映していた。ずいぶん昔に見たきりなので懐かしかった。メリナ・メルクーリ(1925-94)が出ている。彼女の主演作品は他に『日曜はだめよ』が記憶によみがえってくる。私が大学1年か2年で、「コラソン・デ・メ、ソン・デ・メ、メロン、メロン、メロン」という主題歌をくちずさんだものだ。ほんとうの発音はたぶん全然ちがうはずだが・・・。彼女はのちにギリシャ文化大臣を務めた。 『トプカピ』は泥棒映画だが、そう思うと、つぎつぎと泥棒映画が思い出された。意外に傑作が多い。 で、ことのついでとばかり泥棒映画をリストアップしてみた。まだまだありそうだが、とりあえず思い出した作品をならべてみる。名付けて〈泥棒映画リスト〉。【泥棒映画リスト】●大列車強盗 The Great Train Robbery1903年、米監督:エドウィン・S・ポーター(彼はトーマス・エジソンのカメラマンであった)、出演:ブロンコ・ビリー、A・C・エイバディ、ジャスタス・D・バーンズ。 この映画は、アメリカ合衆国国立フィルム登録簿の保存対象となっていて、現存する世界最初の西部劇映画といわれている(註)。全1巻750フィート、上映時間は約10分。映画創成期の当時としては長尺であった。出演者のブロンコ・ビリーはマックス・アンダソンという名の寄席芸人だったが、この映画出演で人気が沸騰し、ブロンコ・ビリーと名乗るようになった。その後主演映画がつぎつぎと製作され、367本にのぼるという。 ストーリーは、1900年に実際に起ったワイオミング列車強盗事件を題材にしている。乗客から金品を強奪した一味は逃走するが、追跡隊との激しい銃撃戦によって全員が射殺される。ラストシーンで、強盗がスクリーンのなかから観客に向って銃をつきつけ、発砲する。観客はショックを受けて、そのことが一層人気をあおったといわれる。(註)Tony Thomas『THE WEST THAT NEVER WAS』によれば、『大列車強盗』前後に製作された西部劇映画がどれほど存在したか、正確な数はまったく分からないという。●怪紳士1930年、米監督:ジョージ・フィッツモーリス、出演:ロナルド・コールマン、ケイ・フランシス。●宝石泥棒 LEWEL ROBBERY1933年、米、ワーナー・ブラザーズ監督:ウイリアム・ディターレ、原作:ラディ・スラウス、脚本:アーウィン・ゲルセイ、撮影:ロバート・カール、出演:ウイリアム・ボウエル、ケイ・フランシス、ヘレン・ヴィンソン、アラン・モーブレイ、ハーディ・オルブライト、アンドレ・リュゲ、ヘンリー・コルカー。●現金に手を出すな Touchez pas au Grisbi1953年、仏・イタリア監督:ジャック・ベッケル、原作:アルベール・シモナン、脚色:ジャック・ベッケル、アルベール・シナモン、モーリス・グリッフ、撮影:ピエール・モンタゼル、セット美術:ジャン・ドーボンヌ、音楽:ジャン・ヴィーネ、編集:マルグリット・ルノワール、出演:ジャン・ギャバン、ルネ・ダリー、ジャンヌ・モロー、ドラ・ドル、リノ・ボリニ、ポール・フランクール、マリリン・ビュフェル、ドニーズ・クレール。 パリの裏町。マクス(ジャン・ギャバン)とリトン(ルネ・ダリー)は篤い友情でむすばれた遊び人。二人はオルリー飛行場に運び込まれる五千万フランの金塊に目をつけ、その強奪に成功した。そして、秘密の場所に隠しておいた。いずれほとぼりが冷めたら現金にかえるつもりだった。ところがリトンは、つい口をすべらせてナイトクラブの女ジョジ(ジャンヌ・モロー)に金塊の秘密をしゃべってしまった。ジョジは麻薬密売のボス、アンジェロ(リノ・ボリニ)の情婦だった。秘密はアンジェロに筒抜けになってしまった。マクスとリトンを捕まえて金塊をまきあげようとするが、マクスはアンジェロの動きをいち早く察知、贓物故買商の伯父に金塊の処置をたのみにゆく。その留守中、若いリトンは己の失敗を挽回するかのようにジョジに報復をしにゆく。が、アンジェロ一味に打ちのめされ、拉致されてしまう。その行方を必死にさがすマックスのもとへアンジェロから電話がかかってきた。五千万フランの金塊と引き換えにリトンを渡す、と。金か友情か、・・・迷ったあげくマックスはリトンを救出することにする。そして・・・●現金に体を張れ The Killing1955年、米監督:スタンリー・キューブリック、製作:ジェームズ・B・ハリス、原作:ライオネル・ホワイト、脚本:スタンリー・キューブリック、台詞:ジム.トンプソン、撮影:ルシアン・バラード、音楽ジェラルド・フリード、出演:スターリング.ヘイドン、コリーン・グレイ、ヴィンス・エドワーず、ジェイ・C・フリッペン、マリー・ウィンザー、テッド・デ・コルシア、エライシャ・クック、ジョセフ・ソーヤー、ティム・ケイリー。 刑務所から出て来たジョニー(スターリング・ヘイドン)は人生は太く短くときめ、一獲千金を夢見て競馬場の売上金強奪を計画する。彼は旧知の5人をこの大仕事の仲間として引き入れた。当面の軍資金を出すマーヴィン(ジェイ・C・フリッペン)、競馬場馬券売場の出納係ジョージ(エライシャ・クック)、競馬場のバーのバーテンダー、マイク(ジョセフ・ソーヤー)、競馬場整備担当の悪徳警官ランディ、元レスラーのコーラ。そしてもう一人、射撃の名手ニッキを雇った。彼等の計画は綿密だった。しかし・・・・ セミ・ドキュメンタリー・タッチが鮮やかな、スタンリー・キューブリックの監督第2回作品。●マダムと泥棒 The Lady Killers1955年、英監督:アレクサンダー・マッケンドリック、製作:マイケル・バルコン、脚本:ウィリアム・ローズ、撮影:オットー・ヘラー、音楽:トリストラム・ケイリー、出演:アレック・ギネス、ピーター・セラーズ、セシル・パーカー、ハーバート・ロム、ダニー・グリーン。 ウィルバーフォース夫人は30年前に夫を亡くし、今やロンドンのチャリングクロスに3羽の鸚鵡と共に暮らす。彼女にはちょっと奇癖があり、奇想天外な犯罪事件を警察に通報して、署員を辟易させることがあった。 さて、夫人が二階の部屋を貸すことにすると、マーカス教授と名乗る男が弦楽五重奏団の練習場として借りたいと言ってきた。夫人は承知したが、じつは弦楽五重奏団とは真っ赤な嘘、五人組の泥棒だった。練習にことよせての悪事の相談。そしてある日の白昼、彼等は現金輸送車を襲った。大金を奪った五人組は、もう夫人の家に用はないとばかり部屋を引き払うことにしたのだが・・・●紳士同盟 The League of Gentlemen1960年、英監督:バジル・ディアデン、製作:マイケル・レルフ、脚本:ブライアン・フォーブス、撮影:アーサー・イベットソン、音楽:フィリップ・グリーン、美術:ピーター・トルード、編集:ジョン・ガザリッジ、出演:ジャック・ホーキンス、ナイジェル・パトリック、ロジャー・アッテンボロー、ブライアン・フォーブス。 人員削減のあおりをくって軍を退役させられたハイド中佐は、軍の人事記録から七人の免官軍人を選び、仲間として呼びあつめた。目的は「金の羊毛作戦」と名付けた銀行強盗である。七人は怪し気な過去をもつとはいえ、元軍人。トレーニング期間を経て、綿密な作戦計画のもとに、いざ銀行強盗とはなった・・・●スリ PICKPOCKET1960年、仏監督・脚本:ロベール・ブレッソン、撮影:レオンス・アンリ・ビュレル、音楽:ジャン・バティスト・リュリ、出演:マルタン・ラサール、マリカ・グリーン、ピエール・レマイリー、カッサジ。 ソルボンヌの貧乏学生ミシェルは、指先の器用さを利用してスリで金を得ている。やがてそれが病みつきになり、練習に練習を重ねてスリの技術を磨いてゆく。 ロベール・ブレッソン監督はドキュメンタリー・タッチで驚くべきスリのテクニックを次々に見せてゆく。出演者は全員が素人で、スリの頭目を演じているのは魔術師カッサジである。彼がスリのテクニックの指使いを指導した。 この映画が日本で公開されたとき、私は中学生だった。映画好きの高校生T君が、いち早く見て来て、仰天するテクニックの数々について私に話してくれたことを思い出す。●オーシャンと11人の仲間 Osean's Eleven1960年、米、ワーナー・ブラザーズ製作・監督:ルイス・マイルストーン、原作:ジョージ・クレイトン・ジョンソン、脚本:チャールズ・レデラー、ハリー・ブラウン、撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ、音楽:ネルソン・リドル、タイトルデザイン:ソウル・バス、出演:フランク・シナトラ、ディーン・マーティン、リチャード・ベネディクト、ピーター・ローフォード、リチャード・コンテ、ヘンリー・シルヴァ、サミー・デイヴィス・Jr。、シーザー.ロメロ、アンジー・ディッキンソン、ジョージ・ラフト、レッド・スケルトン、ジョーイ・ビショップ、エイキム・タミロフ、イルカ・チェイス、バディ・レスター、ジーン・ウィルス。●地下室のメロディー Melodie en Sous-sol1963年、仏監督:アンリ・ヴェルヌイユ、原作:ジョン・トリニアン、脚本:アルベール・シモナン、ミシェル・オーディアール、アンリ・ヴェルヌイユ、撮影:ルイ・パージュ、音楽:ミシェル・マーニュ、出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ヴィヴィアーヌ・ロマンス、モーリス・ビロー、カルラ・マルリエ。●マーニー MARNIE1964年、米、ユニヴァーサル監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック、原作:ウィンストン・グレアム、脚本:ジェイ・ブレッソン・アレン、撮影:ロバート・バークス、美術:ロバート・ボイル、ジョージ・ミロ、音楽:バーナード・ハーマン、編集:ジョージ・トマシニ、出演:ティッピ・ヘドレン、ショーン・コネリー、ダイアン・ベイカー、マーティン・ガベル、ルイーズ・レーサム、ボブ・スウィーニー、アラン・ネーピア。 この作品については、私は別サイト『山田維史の画像倉庫』の「映画の中の絵画」において書いているので、〈あらすじ〉は省略する。(以下、このまま下のページにスクロールしてください。Part3まであります。)
Feb 8, 2008
コメント(2)
泥棒映画リストつづき(2)●トプカピ Topkapi1964年、米、ユナイテッド・アーチスツ監督・製作:ジュールス・ダッシン、原作:エリック・アンブラー、脚本:モンヤ・ダニシェフスキー、撮影:アンリ・アルカン、音楽:マノス・ハジダキス、出演:メリナ・メルクーリ、ピーター・ユスティノフ、マクシミリアン・シェル、ロバート・モーレイ、エイキム・タミロフ、ギルス・セガール、ジェス・ハーン、ティトス・バンディス、エッジ・エルナート、ジョセフ・ダッシン。 エメラルドに魅せられている美貌の女盗賊エリザベス(メリナ・メルクーリ)は、宝飾品偽造の名人でもある。彼女は狙いをつけた宝飾品を盗むとき、自分の作った偽物と摺り替えておくのだ。いま、エリザベスを魅了しているのはイスタンブールのトプカピ王宮博物館に陳列されている飛切り素敵なエメラルドで飾られたスルタンの短剣である。彼女は愛人のウォルター(マクシミリアン・シェル)に盗みの話をもちかけた。ウォルターもまたベテランの泥棒だった。彼は大乗り気になるが、仕事仲間は警察に名が知られていない〈アマチュア〉を使うという。風変わりな伯爵で発明狂のセドリック、力持ちのフィッシャー、ブランコ乗りの軽業師ジュリオ。 彼等は観光客を装ってまずギリシャに行き、イギリス人のしがない観光案内人シンプソン(ピーター・ユスティノフ)を雇った。彼に高級車をトルコまで運ばせるためだが、じつはその車には万一に備えた武器が隠されていた。そうとは知らぬシンプソンは国境の検問所でたちまち武器を発見されてしまう。彼をテロリストの一味と思い込んだ警察は、逆スパイとして働かせることにする。 さて、エリザベスたち泥棒一味の計画とは・・・。スルタンの短剣を展示する博物館の床は、ほんのわずかな重みがかかっただけで反応する防犯センサーが仕組んであった。その床にまったく触れることなく短剣を盗むためには、ドーム天井からロープを降ろしてそれにぶらさがればよい。軽業師ジュリオの活躍である。・・・・。●黄金の七人 Uomini D'Oro1965年、イタリア監督・製作・脚本:マルコ・ヴィカリオ、撮影:エンニオ・グァルニェリ、音楽:アルマンド・トロヴァヨー、出演:ロッサナ・ボデスタ、フィリップ・ルロワ、ホセ・スアレス、ガストーネ・モスキン、ガブリエレ・ティンティ。 近代的防犯設備で厳重に鎧われたジュネーブのスイス銀行。その金庫には時価数百億円の黄金の延棒が眠っている。ある日のこと、道路工事用の黄色の車で乗りつけたオレンジ色の工服に身をつつんだ6人の男が、銀行近い道路に穴をあけ、地下にもぐりこんで行った。彼等がヨーロッパ選りすぐりの泥棒たちであることに気がつく人はいない。向いのホテルの一室から、〈教授〉と呼ばれる一味のリーダー(フィリップ・ルロワ)が、情婦のジョルジア(ロッサナ・ポデスタ)をかたわらに、無線通話機とレーダーを使って指揮をとっていた。地下にもぐりこんだ男たちは、銀行の大金庫に特製ドリルで穴をあけると、計画どおり、まんまと7トンの金塊を盗みだし、〈銅〉という名目でイタリアへ送りだしてしまう。6人は車で、教授とジョルジアは夜行列車で逃走。落合う場所はローマ。 ところがジョルジュはスイス銀行の支配人と通じて横取りを計っていた。しかしそれを見抜けぬ教授ではない。ジョルジアの計画は失敗におわる。教授は金塊の一人占めを考えるが、6人が黙認するはずはない。早々と分配するに限ると決めたそのときだった。金塊を積んだトラックのブレーキがゆるんで、トラックはそのまま坂を急降下しはじめる。呆然とする彼等を尻目に、トラックは路傍の物売り屋台に激突して、黄金の延棒はあたり一面に散乱した。万事休す! もうこれきり泥棒稼業から足を洗おうか・・・ 数カ月後、ローマ銀行の前に黄色い道路工事用の車が止った。そして、教授とジョルジアが乗ったロールス・ロイスが到着した。●続・黄金の七人 レインボー作戦 Goldenn Seven: Strike Again!1966年、イタリア監督・製作・脚本:マルコ・ヴィカリオ、撮影:エンニオ・グァルニェリ、音楽:アルマンド・トロヴァヨー、出演:ロッサナ・ボデスタ、フィリップ・ルロワ、ガストーネ・モスキン、ガブリエレ・ティンティ、モーリス・ポリ、マヌエル・サルツォ、ジャン・ピエロ・アルベルティーニ、ダリオ・デ・グラッシ。 ローマ銀行の地下金庫に眠る金塊と札束。〈黄金の七人〉が狙いをつけたのがこれだ。しかも、とてつもない計画で。ローマの地下には古代ローマ時代の遺跡である地下道が縦横無尽に走っている。彼等はそれを利用して、列車の路線を敷いた。大金庫の地下に穴をあけ、金庫をそのまま貨車の上にのせると、本線に連結してパリに運んでしまったのだ。 さて、お話はここから新たな展開となる。 ローマ銀行強奪の成功を知った共産圏のZ国が、〈黄金の七人〉に極秘の仕事を依頼してきたのだ。場所は西側のA国。実行のためにはあらゆる近代兵器のみならず原子力潜水艦さえ貸し与えるという。 A国に向った彼等は、Z国の仕事のついでに7,000トンの金塊を略奪することにした。名付けて〈レインボー作戦〉。計画遂行に当ったのはジョルジアだった。仕事は大成功、金塊もせしめてしまった。彼等自身の金塊略奪計画をZ国政府は知って一時は非難したものの、彼等の犯行を公表すれば、逆にZ国政府の謀略を公表することにつながる。かくて〈黄金の七人〉はZ国政府の護衛付きで、7,000トンの金塊を大平洋のとある孤島に運びこんだのだった。 『黄金の七人』シリーズは1968年に第3作『新・黄金の七人 7×7(Seven Times Seven)』がマルコ・ヴィカリオ監督で製作されたが、出演者を一新し、前2作との関連性はまったくない。また、7人の泥棒という設定ながら、泥棒映画のジャンルには入らない作品である。●おしゃれ泥棒 How to Steal a Milion1966年、米、20世紀フォックス監督:ウィリアム・ワイラー、製作:フレッド・コールマン、原作:ジョージ・ブラッドショウ、脚色:ハリー・カーニッツ、撮影:チャールズ・ラング、音楽:ジョン・ウィリアムス、衣装デザイン:ジヴァンシー、出演:オードリー・ヘップバーン、ピーター・オトゥール、イーライ・ウォラック、ヒュー・グリフィス、シャルル・ボワイエ。●パリの大泥棒 The Thief of Paris1967年、仏、ユナイト監督・製作:ルイ・マル、原作:ジャン・ジャック・ポヴェール、脚色:ルイ・マル、ジャン・クロード・カリェール、台詞:ダニエル・ブーランジェ、撮影:アンリ・ドカエ、音楽:アンリ・ラノエ、出演:ジャン・ポール・ベルモント、ジュヌヴィェーヴ・ビジョルド、マリーデュボア、フランソワーズ・ファビアン、ジュリアン・ギオマール。 20世紀初頭。パリの泥棒仲間で知らぬ者とてない大泥棒ジョルジュ・ランダル(J・P・ベルモント)が、そもそも泥棒になったきっかけは、両親亡きあと彼をひきとって育ててくれた伯父が、じつは彼の莫大な遺産を横領したと知ったからだ。そのうえ愛する従妹のシャーロット(ジュヌヴィェーヴ・ビジョルド)までも彼から引き離して金持ちの男と婚約させてしまった。ジョルジュはその男の屋敷に忍び込み宝石を盗む。それが初めての泥棒だった。彼は故郷を捨てて旅立ち、やがて芸術的ともいえる洗練さで盗みをはたらく泥棒に「成長」する。いまや大金持になった彼は、ロンドンでシャーロットと再会し、彼女と一緒になる。何不自由無い暮らしのはずだが、泥棒のスリルはわすれることができない・・・●華麗なる賭け The Thomas Crown Affair1968年、米監督・製作:ノーマン・ジェイソン、脚本:アラン・R・トラストマン、撮影:ハスケル・ウェクスラー、音楽:ミシェル・ルグラン、美術:エドワード・G・ボイル、出演:スティーヴ・マックイーン、フェイ・ダナウェイ、ポール・バーク、ジャック・ウェストン、ヤフェット・コットー、サム・メルヴィル、アディソン・パウェル、シドニー・アームス、ジョン・シャンク、アレン・エマーソン、ハーリー・クーパー、ジョン・シルヴァー。 トーマス・クラウン(スティーヴ・マックイーン)は洗練された紳士だが、泥棒に情熱と才能を発揮する裏の顔をもっている。かねてより計画していた銀行強盗を部下に指令して実行。みごとに成功し、奪った金に自分の金を加えてジュネーブの銀行に預けた。 ボストン警察のマローン警部はなにひとつ手がかりが発見できない。一方、銀行の依頼を受けた保険会社の調査員ビッキー(フェイ・ダナウェイ)は、独自の調査をもとにクラウンに近づき、銀行強盗の犯人を追究していると告げた。クラウンは動じる気配もみせず、逆にビッキーに交際をもとめる。 とかくするうちクラウンはもうひとつの銀行強盗の計画をビッキーに打明け、それを最後に南米に逃亡するので一緒に来ないかと告げた。銀行強盗はまたもや大成功。盗んだ金を部下から受け取るべくクラウンは車でやってくる。待ち構えるマローン警部とビッキー。しかし車に乗っていたのはまるで無関係の男。男はクラウンからのメッセージをビッキーに渡した。そこには南米へ来るようにと記されてあった。ビッキーのこころは複雑だった。犯人を取り逃がしたことと、しかしまた恋人が逃亡に成功したこととの間で。そのころクラウンは・・・ この作品はのちにジョン・マクティアナン監督によってリメイクされている。『トーマス・クラウン・アフェアー』(1999)。●泥棒野郎 TAKE THE MONEY AND RUN1969年、アメリカ監督:ウディ・アレン、製作:チャールズ・H・ジョフィ、エドガー・J・シェリック、脚本:ミッキー・ローズ、ウディ・アレン、撮影:レスター・ショア、音楽:マーヴィン・ハムリシュ、出演:ウディ・アレン、ジャネット・マーゴリン、マルセル・ヒライヤー、ジャクリン・ハイド、ロニー・チャップマン、ルイーズ・ラサー。 もっともらしいナレーションが入るが、喜劇である。宝石がほしくて盗むのではない。懲役というハクがほしいのだ。ハクをつけたい一心で泥棒稼業にせいをだす奇妙な男。ドジばっかり踏んでいるくせに、前科53犯。懲役刑も百数十年になんなんとして、まことにメデタイのです、この男にとっては。 さて、泥棒映画のジャンルに入れるべきか否か。●俺の犬は大泥棒 My Dog the Thief1969年、アメリカ、ウォルト・ディズニー・プロダクション監督:ロバート・スティーヴンソン、製作:ロン・ミラー、原作:ゴードン・バフォード、脚色:マイルズ・ワイルダー、ウィリアム・レイナー、撮影:ウィリアム・スナイダー、音楽:バディ・ベイカー、出演:ドゥエイン・ヒックマン、メアリー・アン・モブリー、ジョー・フリン、エルザ・ランチェスター。 バラバはその名を聖書にとどめる大泥棒。その悪漢と同じ名前をもつセントバーナード犬バラバス。でかい図体のわりにはすばしこく、盗みの名人。彼は犬収容所から脱走して、ハイウェイ交通情報を流すラジオのアナウンサー・ジャックのヘリコプターにもぐりこんだ。ラジオ放送はまったく人気がなく、スポンサー難にあえぐ社長は不機嫌このうえない。折も折り、バラバスが機内で悪戯をはじめ、ジャックとの取っ組み合いの模様が放送で流れてしまった。「即刻首だ!」社長はヘリコプターの帰還をまちかまえるが、あにはからんや、愛犬家の多いこの周辺のこと、この放送が大ヒットしてしまったのだ。人気には勝てず、社長はジャックとバラバスとのコンビを命ずるが、ジャックにとっては大迷惑。そこらじゅうで悪戯をするからだ。 とある日、珍コンビは空地に不時着してしまう。バラバスは、たまたま通りかかった2人組の宝石泥棒からネックレスをかすめ取って、ヘリコプターの機内に隠してしまう。何も知らずに再び飛び立つジャック。・・・・(以下、このまま下のページにスクロールしてください)
Feb 8, 2008
コメント(0)
泥棒映画リストつづき(3)●ホット・ロック The Hot Rock1971年、米、フォックス監督:ピーター・イェーツ、製作*ハル・ランダース、ボビー・ロバーツ、原作:ドナルド・E・ウェストレイク、脚色:ウィリアム・ゴールドマン、撮影:エド・ブラウン、音楽:クインシー・ジョーンズ、出演:ロバート・レッドフォード、ジョージ・シーガル、ロン・リーブマン、ポール・サンド、モーゼス・ガン。 泥棒稼業のジョン・アーチボルト・ドートマンダー(ロバート・レッドフォード)が4年の刑期を終えて刑務所から出てくると、義弟のケルプ(ジョージ・シーガル)が迎えにきていた。彼は表向きは鍵屋だが、裏の顔は金庫破りの名人。彼はさっそくジョンに大仕事があるともちかけた。ブルックリン博物館に〈サハリ・ストーン〉と呼ばれているダイヤモンドが展示されている。アフリカ某国の大使アムーゼ博士(モーゼス・ガン)は、そのダイヤモンドは本来は自国のものだと主張し、ケルプに奪還を依頼してきたのである。成功報酬は一人当り25,000ドル。ジョンにとって断る話ではない。彼は綿密な計画をねりあげ、運転の名手マーチ(ロン・リーブマン)と爆弾作りの専門家アランを仲間に迎え入れた。 さて、計画はみごとに実行に移されたかに思えたのだが、ダイヤを持って捕まりそうになったアランはやむをえずそれを呑み込んでしまった。そして彼はそのままロングアイランドの刑務所に収監されたしまう。一味はアランを取り戻すために刑務所を襲撃するが・・・・●リスボン特急 Un Flic1972年、仏、レ・コロナ・フィルム監督・脚本:ジャン・ピエール・メルヴィル、撮影:ワルター・ウォティッツ、音楽:ミシェル・コロンビエル、出演:アラン・ドロン、リチャード・クレナン、カトリーヌ・ドヌーブ。 オープニング・シーンの雨がすばらしい。銀行襲撃の日。その銀行の立地を見れば、雨の日の閉店まぎわは客も少なかろう。そういうストーリーの奥にひそんでいる事柄が、この雨ですべて説明されている。 しかし、この映画の圧巻は、リスボン特急列車の走行を遥か上空から撮影しているが、すぐにカメラは下降しはじめ、ついに一つの窓をアップで捉えるのだ。ヘリコプターから撮影しているのだろうが、カメラがまったくブレないばかりか、窓のアップまでワン・カットで撮っている。どうやって撮影したのかまったく分からない。現在ではブレなしカメラが開発されているが、70年当時にはなかったはず。すごい!●大列車強盗 The Train Robbers1973年、米、バドジャック・プロダクション監督・脚本:バート・ケネディ、撮影:ウイリアム・H・クロージア、音楽:ドミニク・フロンティア、出演:ジョン・ウェイン、アン・マーグレッ、ロッド・テイラー、ベン・ジョンソン、クリストファー・ジョージ、リカルド・モンタルバン、ボビー・ビントン。 列車強盗の夫を亡くした美貌の夫人(アン・マーグレット)から、その盗んだ金を返したいので在り処を捜索してほしいと頼まれたレイン(ジョン・ウェイン)は、仲間とともに出発する。一方、かつての強盗一味も隠し場所をさがしていた。彼等はレイン一行の行く先々で襲いかかる。そしてその二組のなりゆきを見守る謎の男。・・・・。 このリストのトップにあげた『大列車強盗』(1903)と、バート・ケネディ監督の本作品、そして後のマイケル・クライトン監督『大列車強盗』(1979)と、邦題は同じだが、題材はまったく異なる。本作品の原題は『The Train Robbers』。他の2作はいずれも『The Great Train Robbery』である。●おかしなおかしな大泥棒1973年、米、バッド・ヨーキン=ローマン・レア・プロダクション監督:バッド・ヨーキン、脚本:ウォルター・ヒル、撮影:フィリップ・ラスロップ、音楽:ヘンリー・マンシーニ、出演:ライアン.オニール、ジャクリーン・ビセット。●追跡!ダイヤ泥棒1973年、米、ウォルト・ディズニー・プロダクション監督:ジェローム・コートランド、脚本:ウイリアム・アールイェッツ、撮影:マイク・リード、音楽:ドン・ゴッドウィーン、出演:パトリック・アレン、ピーター・ファース。●パリ・コネクション 宝石強奪1975年、仏、エージン・プロダクション監督:ロジェ・ピゴー、脚本:アンドレ・G・ブルネラン、撮影:ジャン・ツルニエ、音楽:テオ・ウスエリ、出演:ミッシェル・ブーケ、マルセル・ブゾッフィ。●ファミリー・プロット Family Plot1976年、米、ユニヴァーサル監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック、原作:ヴィクター・カニング、脚本:アーネスト・レイマン、撮影:レナード・G・サウス、特殊効果:フランク・ブレンデル、アルバート・ウィトロック、美術:ハリー・バムステッド、ジェームズ・W・ベイン、音楽:ジェームズ・アレクサンダー、ロバート・L・ホワイト、編集:J・テリー・ウィリアムズ、出演:カレン・ブラック、ブルース・ダーン、バーバラ・ハリス、ウィリアム・ディヴェイン、キャスリーン・ネスビット、エド・ローター。 ヒッチコックの53本目にして最後の作品。私はいささか首をかしげる作品で、つまりあまり出来がよくないと思っている。話法はうまいのだが、画面に輝きが感じられないのだ。出演者も華がない。最後のシークエンスだけがしゃれていて記憶に残る。資産家の老未亡人を騙して金稼ぎをするインチキ霊媒師とその相棒の情夫。そしてダイヤモンドを盗み取ろうと画策する若い男女。この二組のそれぞれの物語が、やがて一つに絡み合って・・・●大列車強盗 The Great Train Robbery1979年、米、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー監督・原作・脚本:マイケル・クライトン、製作:ジョン・フォーマン、視覚効果‥イアン・ウィングローブ、音楽:ジェリー・ゴールドスミス、出演:ショーン・コネリー、ドナルド・サザーランド、レズリー=アン・ダウン、アラン・ウェッブ。 実際にあった事件をもとにマイケル・クライトンが小説化して1975年に出版(邦訳:ハヤカワ文庫)、さらにクライトン自身が映画化した。 1855年、イギリスはクリミア戦争の戦費としてフランスに金塊12,000ポンどを列車で輸送した。この輸送計画を事前に知ったエドワード・ピアース(ショーン・コネリー)は、錠前破りの名人ロバート・エイガー(ドナルド・サザーランド)を共犯にひきこみ、1855年5月22日に列車内から金塊を強奪する。●トーマス・クラウン・アフェアー The Thomas Crown Affair1999年、米監督:ジョン・マクティアナン、製作:ボー・セント・クレア、ピーアース・ブロスナン、原案:アラン・R・トラストマン、脚本:レスリー・ディクソン、カート・ウィマー、撮影:トム・プリーストリー、音楽:ビル・コンティ、美術:ブルーノ・ルベオ、編集:ジョン・ライト、衣装デザイン:ケイト・ハントン、出演:ピアース・ブロスナン、レネ・ルッソ、デニス・レアリー、フランキー・フェイゾン、フェイ・ダナウェイ、エスター・カニャーダス、ベン・ギャザラ。 ニューヨークの大富豪トーマス・クラウン(ピーアース・ブロスナン)の裏の顔は名画泥棒。ある日の白昼、美術館からモネの絵がこつぜんと消えた。保険会社の調査員キャサリン・バニング(レネ・ルッソ)は、ニューヨーク市警察のマッキャン警部に犯人に心当たりがあると告げ、クラウンに会って彼が犯人だと指摘する。クラウンはそれをキャサリンの挑戦として受けて立つことにした。 キャサリンは一計を案じて、クラウンをデートに誘い出し、すきをみて彼の屋敷の合鍵を手に入れた。しのびこんだ彼女は、名画で飾られた華麗な美術館のような部屋で盗まれたモネの絵を発見する。しかしそれは真っ赤な偽物。してやられたと彼女は思う。 クラウンの挑発的な行為に、逆に挑むようにキャサリンは彼と結ばれ、やがて彼は一緒に逃亡しようともちかける。「あした、モネの絵を美術館に返す」と。 かくしてモネの絵は美術館の壁にかけられるのだが・・・ この作品は1968年のノーマン・ジェイソン監督、スティーヴ・マックイーンとフェイ・ダナウェイ主演『華麗なる賭け』(原題: The Thomas Crown Affair)のリメイクである。といっても、旧版は銀行強盗、新版は名画泥棒。美術館から白昼堂々と盗み出すトリックが秀逸。●オーシャンズ11 OCEAN'S ELEVEN2001年、米、ワーナー・ブラザーズ製作:ジェリー・ワイントローブ、監督:スティーヴン・ソダーバーグ、原作:ジョージ・クレイトン・ジョンソン、脚本:テッド・グリフィン(オリジナル脚本:チャールズ・レデラー、ハリー・ブラウン)、撮影:スティーヴン・ソダーバーグ、編集:スティーヴン・ミリオン、音楽:デヴィッド・ホームズ、出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、マット・デイモン、アアンディ・ガルシア、ドン・チードル、エリオット・グールド、ケイシー・アフレック、スコット・カーン、エディ・ジェイミソン、バーニー・マック、シャオボ-・クィン、レノック・ルイス、ウラジミール・クリシュコ。特別出演(本人として。ただしクレジットなし):ホリー・マリー・コムズ、トファー・グレイス、ジョシュア・ジャクソン、バリーワトソン、シェーン・ウェスト、スティーヴン・ソダーバーグ。●オーシャンズ12 OCEAN'S TWELVE2004年、米、ワーナー・ブラザーズ監督:スティーヴン・ソダー・バーグ、脚本:ジョージ・ノルフィ、撮影:クリス・コニアー、ピーター・アンドリュース、編集:スティーヴン・ミリオン、音楽:デヴィッド・ホームズ、出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ドン・チードル、ヴァンサン・カッセル、エリオット・グールド、ケイシー・アフレック、スコット・カーン、エディ・ジェイミソン、カール・ライナー、シャオボ-・クィン。特別出演(クレジットなし):ブルース・ウィリス、アルバート・フィニー、トファー・グレイス。●ルパン Arsene Lupin2004年、仏監督:ジャン=ポール・サロメ、製作:ステファン・マルスィル、原作:モーリス・ルブラン、脚本:ジャン=ポール・サロメ、ローラン・ヴァショー、撮影:パスカル・ダリオ、音楽:デビー・ワイズマン、美術:フランソワーズ・デュベルテュイー、衣装:ピエール=ジャン・ラロック、編集:シルビー・ランドラ、出演:ロマン・デュリス、クリスティン・トーマス・スコット、エヴァ・グリーン、パスカル・グレゴリー。 おなじみモーリス・ルブランのルパン小説の映画化。時代を正確に再現した美術がすばらしい。特筆されるべきは、登場する数々の宝飾品が、カルティエ・コレクションから提供された本物であるということ。ずっしりとした重みが画面に出ている。 ●オーシャンズ13 OCEAN'S THIRTEEN2007年、米、ワーナー・ブラザーズ監督:スティーヴン・ソダー・バーグ、製作:ジェリー・ワイントローブ、製作総指揮:ジョージ・クルーニー、スティーヴン・ソダーバーグ、他、脚本:ブライアン・コッペルマン、デヴィッド・レヴィーン、撮影:ピーター・アンドリュース、編集:スティーヴン・ミリオン、装置美術:フィリップ・メッシーナ、音楽:デヴィッド・ホームズ、出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ドン・チードル、バーニー・マック、エレン.バーキン、アル・パチーノ、ヴァンサン・カッセル、エリオット・グールド、ケイシー・アフレック、スコット・カーン、エディ・ジェイミソン、カール・ライナー、シャオボ-・クィン、エディ・イザード、ジュリアン・サンズ。特別出演:オブラ・ウィンフリー(本人役)。
Feb 8, 2008
コメント(0)
アメリカ大統領候補指命獲得を争う全米24州(そのうち民主党22州、共和党21州)の同日予備選挙スーパーチューズデーの投票が日本時間の午後8時に始まった。他国のことながら、ブッシュ政権後のアメリカがどのような方向に進むかを決定するものだけに、私も関心をもって報道をみている。民主党はヒラリー・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員とが予断を許さない激戦を展開していて、決着は3月までもつれこむかもしれないという。共和党はジョン・マケイン上院議員、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事、マイク・ハッカビー前アーカンソー州知事、そしてポール下院議員との争い。事実上はマケイン氏とロムニー氏との争いだろうと予想されている。 おもしろいのは、オバマ陣営には若い学生の強い支持があるようだ。彼等はブッシュ(共和党)時代に育ってきたわけで、街頭インタヴューでは、「世界からアメリカが侵略者といわれることを変えなければいけない」と答えている。いままでは、年寄りたちが変な法律をつくってやってきたことを、若者は黙ってみていた。いまこそ若者がそれを変えるのだ、と。 ヒラリー氏もオバマ氏も、アメリカの新しい歴史をつくることを呼びかけている。そこには二つの意味があって、一つは、ヒラリー氏が大統領になれば合衆国史上初の女性大統領だということ、またオバマ氏が当選すればこれまた初の黒人大統領が誕生することになる。これまでの予備選挙の投票率は記録的だという。そして二つめが、8年ぶりに共和党から政権を奪還できるかどうかということだが、それぞれの主張する「アメリカの新しい歴史」のニュアンスが異なる。ヒラリー氏は「組織力」を売物にするだけに、どうしても旧政権の体質を受け継ぐことになろう。しかし国民皆保険の公約がヒスパニック系などの低所得者層から大きな支持を得ている。一方、オバマ氏は「変化」を訴える。その言葉は、かつてのケネディ大統領の演説に通じるニュアンスがある。そのためでもあるまいが、民主党の重鎮エドワード・ケネディ上院議員やケネディ元大統領の娘キャロラインさん、そしてやはりケネディ一族のシュワルツェネッガー夫人であるマリア・シュライバーさんがオバマ氏支持を表明している。夫のシュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事は共和党のマケイン氏支持である。オバマ氏は、「私が変えるのではない。みなさんが変えるのです」という。若者はその言葉に、自分の目的を発見しているようだ。 スーパーチューズデーの結果は、日本時間では明日の午後までにはすべて開票される。他国のことと言ったが、日本の動向にも大きな影響があるのは無論である。 それにしてもアメリカ合衆国大統領選挙制度は、建国当初の民意を反映してなかなか複雑である。事実上は間接選挙といってよいのだろうが、直接選挙の一面もある。間接選挙としての選挙人制度はまた、州法の規定に従うようで、全米一律ではないというのもおもしろい。州の独立性を尊重しているわけだ。この独立性はたとえば婚姻法などにも反映されていて、映画などでわれわれにもお馴染みになっている。 ともあれ、国民には大統領は自分が選んでいるという意識があり、それは民主主義国家としては当たり前のことであろう。 ひるがえって日本では、どこか薄汚さがつきまとう半密室主義で首相が出てくる。現在、アメリカ大統領候補者選びにおいて、共和党候補者の激戦は人格者か否かという点が有権者の関心になっているようだ。日本の首相選びで、「人格」が問題にされたことがあっただろうか。マスコミ関係者を恫喝したり性的にだらしなかったり、ろくでなしの一覧表がつくれそうだ。衆参両議員選挙制度は、御都合主義なつつきかたをすることはあっても、首相選びについてはまるで問題にされていない。自分が選んだ人だと誇らしく思えるような制度が生まれることは、この先もないであろうか。
Feb 5, 2008
コメント(0)
昨夜のブログで「寒い寒い」と書いたら、深夜にとうとう雪になった。さきほど物好きに物差で積雪を計測したところ10cmあった。豪雪地帯にお住まいの方々にはもうしわけないが、東京では10cmでも大雪である。2年ぶりのことだ。 節分。 豆はまかずに、炒り大豆とチリメンジャコとを合わせて薄めの甘辛醤油味の飴をからめた。 ついでに小豆を圧力鍋で煮て汁粉をつくった。 おいしくつくるには、ちょっとしたコツがある。 小豆を水洗いして、浮いた豆はとりのぞき、最初に別鍋でひたひたよりやや多めの水で煮る。しばらく沸騰させたら、茹で汁を捨ててしまう。アク抜きをするのだ。これを高圧鍋に移して、たっぷりめの湯(水よりぬるめの湯がよい)を入れて12分ほど煮る。煮上がった小豆を再び別鍋に移し、場合によって好みの量の水を加え、砂糖と少々の塩を加えてひと煮立ちさせる。我家では、口当たりをサラッとさせるために、漉し餡をつくるときのように練らない。最後に焼き餅や白玉団子を入れる。20分程度でおいしい小豆汁粉ができあがる。 午後3時半過ぎ。しばらく小やみだった雪がまた降り始めた。予報ではこの降りは深夜におよぶという。夕食は「おでん」だそうだ。
Feb 3, 2008
コメント(4)
きょうの東京西部地方は日射しはあっても寒い一日。終日、気温がゆるむことがなかった。 ちょっとした買い物がてら自転車を走らせたが、めったにしない手袋をはめた。 人間の身体は気温が低下すると、生命維持のために体温が上昇する仕組みになっている。ただし上昇しない部分が4箇所ある。脳をおさめる頭と、首から肩先にかけてと、性器と、手である。これもまた生命維持のためだ。ここに手が含まれているのが不思議だが、血管が末端で血液を冷却するので可能なかぎり生命を持続させるため凍傷にして、手を失うことで血液の冷却をふせぐのである。 人間が人間であるための意志とは別に、純然たる生物としての本能がはたらいているということだ。すごいものです、生命とは。 防寒のために帽子をかぶり、首にマフラーを巻き、手袋をはめるというのは、その部分がことに冷えるから。理にかなっているというか、当を得ているわけだ。 「頭寒足熱」という言葉がある。就寝時にそのような状態にすることの勧めだが、安眠を得るのである。湯たんぽはとても良いのだ。代りに靴下をはいても良い。足が冷えて眠れないというお年寄りには是非とものお勧めである。 外国語には「頭寒足熱」に類するような慣用句があるのだろうか? そう思って調べてみたところ、ありました。‘keeping the head cool and the feet warm’というんだそうで、まあ、日本語そのままである。 寒い寒いといっても、あした3日は節分、そして4日5日頃から「寒明け」と『季寄せ』にはある。 六十の寒が明けたるばかりなり 虚子 それなら私は、2年前に明けました。
Feb 2, 2008
コメント(1)
老母が、皮膚が乾燥してカサカサするというので、家人が病院に連れて行くことになった。昨日受診するつもりであったが、出かける準備をしている途中で中止した。受け付け時間にまにあわなくなったからである。 どういうことかと言えば、私たち介護している家族のうかつで、母の準備にいままでよりもずっと長い時間を要するようになったことを計算にいれていなかったのだ。朝の入浴にはじまり、着替え、頭髪をととのえ、朝食を摂り、入れ歯を洗い口を漱ぎ、防寒のための衣装を着せ等々。そのために要する時間が、一昨年とはくらべようもないほど長くなり、3ヶ月に1度の定期検診のその前回よりもさらに長くかかるようになっていたわけである。病院の初診受け付けの時間は決まっているので、昨日ももちろん逆算して準備をはじめたのだが、とうとう間に合わなくなってしまったのだった。 私は、「そうか、そういうことになって行くのか」と内心で思った。生活時間の観念を変えなければいけないということだ。・・・家人に手をひかれて出てゆく老母の後姿を、私は玄関で見送った。
Feb 1, 2008
コメント(0)
全28件 (28件中 1-28件目)
1