もちろん、それぞれの犬により個体差はありますが、
よりたくさんの経験をした犬ほど問題行動は発生しにくいと言われています。
この頃に学んでおくべき重要な事柄のひとつに、
「甘がみ」をしないこと、あるいは、
力を加えずに噛む(歯を当てる)ことを覚えることがあります。
犬たちは子供の頃に、親や兄弟と取っ組み合って遊びながら噛む力の加減を覚えていきますが、早くに家族と離れてしまった犬ほどこうして学ぶチャンスはなくなります。
こういう犬には、家族である飼い主が遊びを通して教えなければなりません。
また、人や他の犬を怖がることがないようにたくさんの人や犬に会わせたり、
電話や呼び鈴に反応しすぎないように音に慣らすのもこの時期に経験した方がいいことです。
とはいえ、ワクチンを接種する前なので一切外へは出さないというケースも少なくありません
。 ですが、この大事な時期に家の中に閉じこもっていた結果、犬や人を怖がったり、吠えやすくなったり、という行動が生まれるのも事実です。
子犬が居るからといって外から帰る度に家中を殺菌消毒しているお家はないと思いますので、
他の犬との直接的な接触や地面に触れたりすることがないように細心の注意をして、
できるだけ多くのモノを見せたり聞かせたりしてあげてください。
大人になってから矯正するのは、トレーナーでもなかなか大変な作業です。
場合によってはできない可能性もあります。
是非、この時期のうちに、簡単に問題行動を予防できる「基礎」を身につけさせてあげてください。
2)飼い主との関係、飼い主の犬との接し方
リーダーシップや信頼関係の問題です。
例えば、ケージの中で吠えるから外に出してやる、口では叱りながら撫でている、
家族の中で人によって叱ったり叱らなかったり(褒めたり褒めなかったり)する、などなど。
吠える度に外に出しているとだんだんエスカレートして吠える声は大きくなりますし、撫でる行為は注意にはなりません(もちろん、殴るのは論外ですが)。
また、同じ行動でも怒らたり褒められたり場合とそうでない場合があると犬はやがて「人を見る」ようになります。
犬に、「やっても良いこと」と「やってはいけないこと」をはっきりと伝えるためにも、一貫性を持った接し方やわかりやすい態度をとるようにしなければなりません。
注意が必要なのは、
社会化期の経験を十分に積んでいたとしても、その後の接し方によっては簡単に問題行動は生まれてしまう
ということです。
社会化期の経験はあくまで、「基礎」であって、その上にさらに正しい経験、習慣、マナーを身につけさせる必要があります。
問題行動が生まれるかどうか、最も重要なのはこの
【飼い主さんとの関係】
なんです。
3)犬の置かれている環境(住んでいるお家の環境)
2)とも関係してくることですが、共働きや一人暮らしのお家ではお留守番の時間が長くなります。
自然と、持て余す(ヒマな)時間も長くなります。
やることがなければ家の中をいたずらしたり、物音に敏感になって吠えやすくなったりします。
また、いつも誰かとべったり過ごしている犬の場合であれば、もし、ちょっとでもひとりぽっちになろうものなら、不安で不安で仕方なくなるかもしれません。
逆に、人とほとんど遊ぶことがなかったり、家族としか接することのないお家では、急にたくさんの来客があったらどうしていいかわからなくなってしまうことも考えられます。
時間を持て余すことのないように準備をして外出したり、
人に接する機会を増やす環境をつくるなど、犬の立場に立って対策する必要があります。
4)ストレス
3)と関連していますが、ストレスを感じると犬は様々な問題行動に出ます。
( 犬とストレス
をご参照ください)
問題行動の原因を見つけ出し、それを取り除いてあげることができれば、
自然と落ち着いていくはずです。
なにはともあれまず「予防」
1)~4)の問題行動の原因はどれも、ちょっとの注意で防げるものばかりです。
また、犬種によって発生しやすい問題行動というものもありますので、犬種の特性をよく知っていればあらかじめ対策を講じることができるようになります。
犬が大人になってから、吠えたり噛んだりする行動を抑えるのはとても大変ですが、最初から原因さえ作らなければほとんど苦労はいりません。
まずは問題行動を発生させないようにしっかりと「予防」することが大切です。