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夏風7537

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見たまま、感じたま… Dr.悠々さん
日々徒然に ジョーさん
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2004.04.21
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カテゴリ: カテゴリ未分類
この間、雨が降る夜に、私の部屋をナナホシてんとうむしが歩いていた。

その日はお風呂に入ってしまっていて、絶対に外気にはあたれない状態だったので、外に放してあげられない。しかも雨が激しく降っていて、これではもし外に放しても雨に打たれて落ちてしまうだろうと思い、手の中に握ったまま、どうしようかと考えた。

手の中はむぞむぞとして、出口を求めている。

仕方がないので、丁度花瓶に雪柳をさしたのがあったのを思い出し、それにそっと這わせてやった。
彼は花柳の枝をあちこち歩き渡り、やがて花の裏の一つで休む事にしたらしい。
明日まで待っててね、と言って電気を消した。

次の日、起きてすぐ見てみると、彼はまだそこにじっとしていた。
小降りになっていたけれども、まだ雨粒がばらばらと落ちている。風も吹いていて荒れ模様。何度も窓を開けたり閉めたりして、空を見ていた。


でも、もうこれ以上待たせておく訳にはいかないだろうと思って、彼を雪柳から手のひらに移し、窓の外でそっと開いた。
彼はかそかそと手のひらを歩き、手首の方へと帰ってきそうになる。
てんとうむしは高いところへ登り、その頂上から飛ぶのだ、と聞いた事を思い出して、指を上に向けると、するすると関節を登り指先へ辿り着いた。そして一瞬立ち止まってから、くっと踏ん張る様な姿勢になり、ぱっと羽を出すと、
ぷ~ん
と空の下へ飛んでいった。
とても小さくて、普通なら飛んでいるてんとうむしなんか私の視力では見えない筈なのに、かなり向こうに飛び去るまで、朱色の点が確認出来た。

どこか、草の上へ下りられたかな。
背中のつやつやしたてんとうむし。






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Last updated  2004.04.22 13:47:09
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