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Ryu-chan6708

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2013.01.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類

:今朝の朝日新聞では、昨日の夕刊の愛 知・豊川工高陸上部 の体罰の続報があり、 昨年2人が退学・転校した事実 があったという。
 校長はこの事実を把握していたが、保護者や被害者本人に「 伏せておいてほしい 」と求められたという。

A氏 :「体罰」を通じて 指導者と選手・親の支配、依存の関係の典型 があらわれているね。

:この教諭は、 昨年4月 から 約30人 いる部員のうち 10人 に平手打ちや蹴るなどの体罰を繰り返しており、県教委で 今月調査 して発覚し、同校は 教委の指示 で、 この教諭を陸上部の指導から外した という。

A氏 :今朝の朝刊の「 スポーツと体罰 」連載欄は 11日目 だが、新潟大の 世取山洋介 准教授が、 1986年から87 年に、小中学校の教師 約580名 のアンケート結果を示しているね。
 多くの教師は 体罰の教育的効果は薄く 否定的効果が多い ことを理解していたという。
世取山 教授は、問題になった 桜宮高の顧問 が「 自分が間違っていた 」と言えるような冷静な議論の場が必要だと言っているね。

:話は「 体罰一般論 」になるが、例の 戸塚ヨットスクール 戸塚宏 氏が 1983年 に「 私はこの子たちを救いたい・" 殴らない父 "と" 愛しすぎる母 "へ 」という本を出しているという。
  そこに「 日本の歴史が二千年あるとしても、体罰を否定しているのは、最近の三十年間だけで、あとの1970年間は、肯定されているのである 」と書いてあるという。
 戸塚氏は、戦後の" 殴らない父 "に不満を持っていたようだ。

 この戸塚氏の文で、 金沢学院大学の教育史の 江森一郎 教授 が体罰を歴史的に検証することを思いつき、「 体罰の社会史 」という本を 1989年 に出版している。
  この本と戸塚氏の本とも、図書館にあるので予約したよ。

A氏 :実際に、体罰の歴史はそんなに古いのかね。

江森 氏の歴史的検証によると 戸塚氏の説は歴史的事実と違うね

 「 体罰の社会史 」を読んだ人の 要旨 を引用すると、 江戸時代以前の体罰否定論者 はおそらく 最澄 道元 だろうということで、 江戸時代の初め頃 から 体罰が忌まれる ようになったという。
水戸黄門 闇斎、素行、藤樹、蕃山 といった 儒学者 心学者 体罰を否定

A氏 :江戸時代は 寺子屋 があるが、 体罰 はどうだったのかね。

:寺子屋でも体罰はあまりなされていないそうだ。
  興味あることに、幕末に 日本に来た外国人 の多くは、 日本では子どもに対する体罰がほとんど行われていないこと を書き記しているという。
 欧米のほうが 子どもへの体罰 は一般的だったようで、外国人は奇異に感じたのだろうね。
 日本では 子どもが甘やかされ、大事にされている ことに驚いていたという。

A氏 :日本は伝統的に「 子は宝 」だからね。
 欧米人には、「 子どもは動物 」と同じで、子どもは ムチ でしつけないといけないという考えがあるらしい。
 日本人と逆だね。

日本の伝統思想 の中に国民の感覚として、 体罰を残酷 とみる見方が定着しているのが欧米と基本的に違うね。
フランス では今日でも、 家庭での体罰は必要悪 と考えられ、そのために毎年 10万本 以上のムチが売られているという。

 わが国の 近世(江戸時代)教育史 に比べると、「 西欧の教育史は体罰史である 」と言ってもよいほど体罰で色どられている(ちなみに、中国近世においてもそうだった)という。

 日本で 体罰が肯定 される動きが出るようになるのは 日露戦争前後 が一つの節目だと、 江森一郎 氏は言う。

A氏 体罰肯定の 考えは、 欧米の影響と明治の軍隊の影響 だろうね。
  だから、 明治後半 から 体罰肯定 の考えが出てくるんだね。

:子どもには厳しくするほうがいいという考えは 日本の伝統 とは違うようだね。
 やはり、伝統は「 子は宝 」思想だね。
 日本は" 殴らない父 "と" 愛しすぎる母 "の歴史のほうが長いというわけだ。
 それと「 体罰 」は欧米と違い、本能的に嫌う国民性があるね。

 膨大な若い特攻隊員の遺書には「お母さん」はあるが「お父さん」は少ないという。






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Last updated  2013.01.27 09:04:04コメント(0) | コメントを書く


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