今日は全くの私見です。
今年から電子申告の特別税額控除制度が設けられるなど政府も躍起になってその普及に力を入れはじめました。ウチの事務所では電子申告開始当初に税理士会の情報システム部員をやっていたこともあって運用開始から電子申告をやってきました。ところが、ここにきて税務当局の異常な(?)電子申告普及の施策にちょっとこれは違うんじゃないかと思い始めています。
私自身は事務所内の作業の効率化という観点で電子申告をやっているのですが、実は電子申告をやるとそのデータを受ける税務署は処理が紙の申告より大変だということを伝え聞きます。このままのシステムでやると人件費等の経費はかえって高くつくのではないかと思ったりもします。
大体、紙でやっていたことを入力してデータ化するとなると手間がかかるもんです。紙のデータを電子データにして楽になることはあまりなく、便利になるのは「保存」だけです。紙の申告書は7年の保存期間を過ぎると保管スペースの問題から廃棄処分されますが、電子データだと保管スペースの問題がありませんから8年以上前の申告データが永久保存されることになります。つまり、納税者の申告データが未来永劫、政府に保存されることになるのです。これが電子申告推進の本当の目的ではないかと勘ぐってしまいます。
第三者作成書類の添付不要制度が今年からスタートしました。これは電子申告をしたのに書類を提出しなければならない去年までのような体制だと電子の意味がないという批判を受けてのことですが、「第三者作成書類の添付はしなくてよくなります」とか言っておきながら大変分かりにくいところに源泉徴収票や医療費のデータを入力しなければならず、これだと郵送する方がまだ楽だったかも・・・と思ってしまいます。そのデータを入力しないで送信された申告書について税務署職員が電話で「このデータを入力しなおして再度送信してください」などとお願いしているとか。送信する側もデータを受ける側も仕事が増える現状を見ていると一体誰のための第三者作成書類添付不要制度なのか分かりません。
電子申告自体は私自身、続けていこうと思っていますが、いつものように「便利になりました」とか本当か嘘か分からないような花火を打ち上げておいて実際にはデメリットも多いということを口が裂けても言わないようなやり方は感心しません。役所体質と言ってしまえばそれまでですが、その点も含めて「ああ、電子申告で使ってよかった」と納税者側も税務署の職員からも思われるものにしていかないと本当の意味で普及はないでしょう。
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