・・・そば!ソバ!蕎麦!・・・酒そば本舗奮闘記!

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2025年10月08日
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カテゴリ: 『酒とそばと』





この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、 「はじめに」 を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。


「フランス人とワイン」PART2

・・・ この時のことがトラウマとなった のでしょうね。私はワインを飲むのはどうもはばかられてしまうのです。こんな間抜けな日本人がいるということは、フランス人には内緒にしておいてくださいね。

それでは本場フランスでは、ワインはどのように飲まれているのでしょうか?
まず私は、フランスに限らずヨーロッパの国々は、ひじょうに水質が悪いゆえに、飲み水が手に入りにくい土地柄と理解していました。石鹸で手を洗おうとしてもなかなか泡立たない、いわゆる硬水しか得られぬ地だと。日本は北半球にあって温帯モンスーン気候帯に位置しますから一年を通じて雨量が多く、ゆえに豊富な地下水がどこを掘ってもすぐ手に入る。日本人は「水と空気と安全はただと思い込んでいる」と言われる所以です。

そこでフランス人はどうしたか。ブドウに水を飲ませ、そのブドウの果実からワインを醸造し、ワインを飲むことで飲めぬ硬水の代わりにした。このように理解していました。すなわちフランス人は、ワインを水替わりにがぶがぶ飲むといったイメージを抱いていたのです。

こんなフランス映画を見たことがありました。郵便物を集配中の郵便局員が、郵便物を取り扱っている街の何でも屋(ドラッグストアのようなものか)に郵便物を集荷にきて、

「こう暑くちゃたまらん。一杯頼む」

と店のオヤジに言うと、オヤジは当たり前のように、樽からワインをグラスになみなみと注いで差し出したではありませんか。一息にグラスを空けた郵便局員、郵便物を預かることを忘れそのまま店を出ていってしまった。店の奥から

「しょうがない野郎だ」

と言いながら出てきたのは、その郵便局員の上司。こちらはすっかり出来上がってしまっている。・・・フランスは何といい国だと思いましたね。

2014年のデータになりますが、フランスのワインの平均年間消費量は、かっては約100リットルあったものが近年では約43リットルまでに減少したということです。43リットルってどのくらいの量なのだろう。早速計算してみました。

ワインのアルコール度数は15度くらいでしょう。日本の清酒の度数とほぼ同じと考えてよさそうです。酒一升が1・8リットルだから、 43÷1.8÷12=2

ひと月二升という計算になります。月二升ということは、一日〇・七合。飲酒する人が全人口の半数と考えれば、フランスのワイン飲酒量は、ほぼ同じ度数と考えられる日本酒に換算して、多めに見積もって一日一合半ということになりますね。

「いたって健全ではないか」と思われた方は、酒飲み。私の妻に言わせれば、

「あらあら、ずいぶん飲むこと。酒飲みはどこの国でも同じだわ」と、私を見やることでしょうね。

ある調査ではフランスのワイン消費量は、1980年では日常的に飲む人が約7割だったのに対し、々減少し続け2010年には3割を切るという結果になってしまったとか。一人あたり100リットル近い消費量だった時代とその30年後、消費量が半分以下となった時代を比較したこんなデータも一緒に載っていましたので、転記しておきましょう。

〈1980年 男性〉
日常的に飲む 69% 時々飲む 22% 全く飲まない 9%
〈2010年 男性〉
日常的に飲む 26% 時々飲む 46% 全く飲まない 28%

〈1980年 女性〉
日常的に飲む 37% 時々飲む 37% 全く飲まない 27%
〈2010年 女性〉
日常的に飲む 11% 時々飲む 42% 全く飲まない 47%

フランスでも、年々ワインの消費量が減る一方だというのは、他国のこととはいえ寂しい限りではありませんか。日本でも清酒の消費量の減少傾向に歯止めがかからないと指摘されていますね。これはやはりどちらの国も若者のアルコール離れということが根底にあるのでしょう。

近頃の若者は、いったい何を飲んでいるのですかね。…なに?「もっぱらスポーツドリンクで水分補給をしています」ですと。これはしたり。

う~む、さしずめマッカーサーの心境ですな。老兵は死なず、消え去るのみ。




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「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中


この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。

「酒」と「そば」と


まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。

はじめに

小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。
「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」

そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。
ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。

・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。

日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。
そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。
「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。

まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?

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第一部「酒」編
「過ぎたるは及ばざるがごとし」

古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。

「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。

このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。

大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。

3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?

しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。

すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。

確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。

あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか?

う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。


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最終更新日  2025年10月08日 11時50分04秒
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