・・・そば!ソバ!蕎麦!・・・酒そば本舗奮闘記!

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2025年10月13日
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カテゴリ: 『酒とそばと』





この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、 「はじめに」 を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。


アメリカとロシアの禁酒事情

皆さん、アメリカのハリウッド映画「ゴッドファーザー」をご覧になられたでしょうか。マーロン・ブラントがマフィア・ファミリーのドンを演じていました。その息子役のアル・パッチーノもいい味を出していましたね。

この映画は、第二次世界大戦が終わった直後のニューヨークを舞台にしたマフィアの組織間抗争を描いた作品ですが、世界大恐慌が世界中の経済を大混乱に陥れた二十世紀初めころに、アメリカ・シカゴの闇世界に君臨したギャングの大ボス、アル・カポネをヒントに制作されたのではないかと、俄か映画評論家(←私のことです)は考えています。

アル・カポネは、いわゆるアメリカの「禁酒法」(アメリカ合衆国憲法修正第18条)が施行された時代(1920年から1933年)に、北中部のシカゴを中心に勢力を拡大したギャング組織の大ボス。

修正第18条は酒類の製造・販売・輸送・輸出入を禁じる法律ですが、カポネは法律の条文と正反対のことをやって、莫大な財を築いた。カポネはシカゴの市長や警察までをも抱き込み、巧みに賭場と闇酒場を支配したといいいます。

さてその禁酒法の効果はどうであったかというと、法律を定めて飲酒を禁じようとしても、酒を飲もうとする人は後を絶たず、かえって酒の需要が増大したというのですから、まったく皮肉なことです。

おかしなことに修正第十八条の条文には、肝心の「飲酒を禁ずる」とはひとことも書かれていないのです。まあ、酒を造ることを禁じてしまえば酒が手に入らなくなるわけですから、飲酒禁止を条文に明示しなくてもよいと考えたのでしょうか。

私に言わせれば、どうも最初から逃げ道を作っておいたのではないかと疑りたくなります。事実、この法律は施行当初から平然と無視され続けられたというのですから驚きます。お金持ちは法律が施行される前に、スコッチやワインなどありとあらゆる酒を買い占め、法律が施行された後も平然とそれを飲んだといいます。飲酒は禁じられていないのだから、飲んでも別段法律に違反していないというわけです。そこまでできなかった庶民は、家庭で手軽に入手できる砂糖から、秘かに酒を醸造したということです。これは製造を禁じた法律違反になりますが、どこの家でも密造を繰り返したがゆえに町の商店から砂糖が消え失せたとも伝わっています。

結局、悪徳と犯罪のない理想の社会を作ろうとした敬虔なキリスト教を信奉する一部の団体の思惑はみごとに外れてしまった。街中を歩く酔っ払いは減ることなく、逆に家庭内不和と暴力が増え、ギャングがはびこるだけの結果を招くことになった。世の悪徳も犯罪も決して無くなりはしなかったというわけです。

さてここで、話をアメリカからロシアに移しましょう。
ロシアは言わずと知れたアルコール大国。厳冬期にはマイナス二十度、三十度にもなるので、ウォッカに代表される強い酒が好んで飲まれるお国柄というのは理解できるとしたものです。

ロシア語でウォッカは「Водка(ヴォートカ)」と表記するのですが、水のことをなんと書くかというと、「Вод(ヴォート)」だというのですから、なんともオソロシイ国ですね。日本人がたどたどしいロシア語で「水をくれと」言ったら、ウォッカが出てきたという話もあながち嘘ではないようです。

一般的にロシアの男性の平均寿命が先進国に比べて際立って低いのは、ウォッカを飲み過ぎるからだと指摘されています。何とか国民のアルコール摂取量を減らす手立てを講じなければ、国が亡ぶと考えた指導者が一人います。グラスノスチ(情報公開)とペレストロイカ(改革)の名のもとに、徹底して禁酒運動を推進したゴルバチョフがその人。

何しろ「しらふが正常」という合いことばを用いて大キャンペーンを展開したというのですが、酒好きな国民の大反発と酒税の大減収を招くことになってしまった。保守派が起こしたクーデターにより、指導者の地位を追われたばかりでなく、「ペレストロイカ」がソビエト連邦崩壊の最大原因とまで言われてしまうことになった。

もしかしたらクーデターが発生したのは、権力闘争ばかりでなく、「ペレストロイカ」と同時に断行した禁酒運動にあったのではないかとさえ思いたくなりますね。

そのゴルバチョフの後を受けて新生ロシアのかじ取りを担うことになったのは、エリツィン。クーデター軍の戦車の前に立ちはだかって、モスクワ市民とともに断固民主運動の推進を訴えて、新しいロシア連邦共和国の指導者となったエリツィンは、大の飲んべぇ。ウォッカが手放せなかったといいます。

さてここでかの国の民主運動とは全く関係がありませんが、ソビエト連邦時代からロシア連邦共和国時代の主だった指導者を時系列に並べてみると、レーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、ゴルバチョフ、エリツィン、プーチンとなります。その頭髪に注目してみてください。禿、フサフサ、禿、フサフサ、禿、フサフサ、禿と交互に並んでいることがわかります。これが下戸、上戸、下戸、上戸…、というようにも並べることができるとしたら、プーチンは大酒飲みのエリツィンのあとだから、下戸ということになるのですがね。

謎多きロシアのこと、プーチンの酒量はどうなのか、調べてもなかなか掴むことができません。あるいは最高機密なのかもしれませんね。





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「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中


この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。

「酒」と「そば」と


まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。

はじめに

小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。
「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」

そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。
ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。

・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。

日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。
そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。
「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。

まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?

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第一部「酒」編
「過ぎたるは及ばざるがごとし」

古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。

「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。

このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。

大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。

3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?

しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。

すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。

確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。

あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか?

う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。


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最終更新日  2025年10月13日 13時03分33秒
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