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2006.05.30
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カテゴリ: 映画の話
やっと隣町の小さな映画館で上映が始まったので、早速見てきました。


「ブロークバック・マウンテン」オリジナル・サウンドトラック


カウボーイの男性二人の、20年に渡る同性愛の関係を描いた物語。
それは事前に承知の上で見ていたのですが、主人公たちが出会い、羊の番をしながらひと夏を過ごすことになるブロークバック・マウンテンの風景の美しいこと…

人の立ち入らない険しい山の奥、大自然の深い懐の中で、広い空の下にいながら二人きりの密室で過ごしているような時間。
その中で、抗えない運命のように二人の思いが「友情」から「恋慕」に形を変えていく。(それも、すさまじく唐突に!)

その後二十年に渡り、二人が誰にも真実を打ち明けられないまま、密かにお互いを想い続ける日々が描かれていくわけですが、「カウボーイ」と「同性愛」という組み合わせこそセンセーショナルなものかもしれないけれど、内容は「許されぬ悲恋」を描いた王道のラブストーリー映画でした。

恋愛の悦びは、何かを失うことの悲しみと表裏一体になっているものだから、この映画は、人を愛した上で喪失の痛みを負った経験のある人にはすごくはまるのかもしれない。

実らない切ない想いほど、強く純粋になっていくものだということ。


そういう、切ないけれどある意味普遍的な恋愛の法則を、真正面から表現していて。
主演の二人に加え、助演の若い女優二人の熱演には心を打たれます。
特に、 プリティ・プリンセス シリーズで知られるアン・ハサウェイ。ロマコメ路線を突っ走るのかと思いきや、大胆な方針転換で、演技派女優の片鱗を見せていたと思います。

ゲイバッシングが時にはリンチにまで発展するという、アメリカの守旧的な保守層の価値観が実感できると、もっと主人公たちの苦しさも理解できただろうと思いますが…
(日本はやっぱり“男性を好きな男性”には伝統的に寛容なのかな?)

私にとっては、山の中で愛し合うカウボーイ達より、よっぽどショッキングだったことが一つ。
字幕の書体が、いつも見慣れている手書き風のクラシカルなものではなく、きれいな明朝体だったことの衝撃でした。
映画の冒頭、字体が違うというだけで頭が真っ白になってしまい、3分近く内容がまったく頭に入ってこなかった私…(涙)

これも、映画のデジタル化の一つの現れなのでしょうが、最後まで何となく居心地の悪い違和感は消えなかったのでした。

字幕といえば、翻訳・通訳の世界から世に出て、いつも素敵な文章を発表されていた米原万里さんがお亡くなりになりました。ファンファン大佐死去のニュースと合わせて、とっても哀しく残念です。


ガセネッタ&シモネッタ 旅行者の朝食 オリガ・モリソヴナの反語法





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最終更新日  2006.05.30 15:41:55
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