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カテゴリ: お稽古の話
着付けのお稽古で一緒のクラスにいる、二十代のOL、Iちゃんの話。

彼女、先日から休暇を取って、フランスに短期ホームステイしてきます…とお休みされていたのですが、久々にお稽古に復帰されました。

実は、この渡欧の話を聞いた先生が
「もし可能であれば、絶対にあちらで着物を着てみてほしい。半幅帯なら荷物も少なくてすむから」
と強く勧めていて、Iちゃん本人もぜひ!と乗り気に。

そんな訳で、お休みに入る前には、お稽古仲間みんなで「Iちゃんがんばれ!パリが待ってる!」(笑)…と励まし、練習の結果、一人で15分で着付けが出来るようになったのを見届けて送り出したのでした。

で、当然、お土産話の中心は
「あちらで、ちゃんと着れた?皆さんの反応はどうだった??」
というところに終始したのですが、彼女によれば、もちろん着物姿は褒めてもらえたし、食事に出かけた先でも注目してもらえたのだけれど、実は

着物を畳んだ時 だったんです…」

とのこと。
今のどうやったの?もう一回やってみせて!!と、リクエストされたほどだったらしいです。

ご存知の通り、着物というのは、セオリーどおり畳むときちんと長方形に納まるように出来ている訳ですが、やはり欧米文化においては、着るものはあくまでも 「(ハンガーに)かけて収納する」 ものだから、ということでしょうか。

(折り紙が欧米人にウケる、というのも定説になってますが、あちらの方々は基本、手先が不器用なのかしらん?)

Iちゃんにしてみれば、一生懸命練習したのとは別の、思わぬところで大反響が巻き起こってしまったのはちょっとショックだったみたいですが…
なかなか面白い話だなぁと思いました。

ヨーロッパを旅して、石畳の古い街並を見ると、「あぁ何て素敵なんだろう、それに引き換え日本は…」なんて、ついつい安易に感じてしまいがちだけれど、文化の根っこはそもそも全く違うところにあるのですよね。

石造りの家と、木と紙の家…という対比からも明らかなように、いつまでも永く残せるものを基本に据える価値観と、何度でも作り直せることが前提になっている価値観の違い、とでも言いましょうか。

そこのところをきちんと意識しておかないと、いつまで経っても福沢諭吉の「脱亜入欧」レベルから脱却できないわ、と、自戒の念を込めて考えさせられたお話でした。






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最終更新日  2006.10.04 10:48:00
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