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2006年09月04日

双月城の惨劇：加賀美雅之

(6)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（か行作家）

悪魔的推理力を誇る彼に、ライン川流域の古城『双月城』で起きたある事件の捜査依頼が。
不気味な伝説を持つこの城はカレンとマリア、双子の姉妹が城主をつとめていた。
ベルトランが城を訪ねる直前、密室であった城内の『満月の部屋』で、首と両手首を切り取られた無惨な死体が発見された!
死体はカレンかマリア、どちらかのもの…。
ベルトランの好敵手、ベルリン警察のストロハイム男爵も登場、熾烈な推理合戦のなか、新たな惨劇が。

この作品は加賀美さんのデビュー作でもあります。

他の３作は、
林泰広さんの『The unseen 見えない精霊』（感想）、
東川篤哉さんの『密室の鍵貸します（感想）、
石持浅海さんの『アイルランドの薔薇』（感想）

いずれの方も、鮎川哲也さんがが編者である、公募の短編アンソロジー「本格推理」入選者なんですね。

ドイツの古城、美人双子姉妹、血塗られた伝説、と、この作品は稚気あふれる古きよき時代の探偵小説を思わせますが、それもそのはず、はじめはディクスン・カーの贋作として書かれていました。
けれども、版権等の問題や、デビュー作だという配慮から、オリジナルという形になったようです。
探偵役がシャルル・ベルトランですから、アンリ・バンコラン物でしょうが、「夜歩く」を読んだ
のはずいぶん前のことだし、ほとんど覚えていません。
もう一度読みたくなりました。
とはいえ、小中学生のころ、江戸川乱歩を読みあさった者にとっても、なんだか懐かしい雰囲気でありました。

最初の首なし死体の事件は、伏線がフェアでわかりやすいため、おおよその真相が見えてしまいました。結構そういうことに鈍い私がわかるくらいですから、ミステリ好きな人はだいたいわかってしまうと思います。
それでも、全体の真相や動機は簡単に見抜けるものではなく、名探偵の謎解きという見せ場は生きてきます。

ただ、ワトソン役のパットがあまりにピンとはずれで、私はかなりイライラしてしまいました。
もうちょっとしっかりしてくれないと、パリで待っている婚約者にも嫌われるぞ、と思ったりもして……。（余計なお世話ですが）

ライン川を船で行き、双月城が見えてくるというところから、もう別の世界に入り込んでしまいます。
恐ろしい死体も、現実感がないこの世界なら大丈夫ｗ

カーや二階堂黎人さんの作品が好きならば、ますます楽しめるでしょう。
二階堂黎人さんが、あとがきを書かれていますが、今回も熱いです！ｗ

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最終更新日 2006年09月05日 09時22分26秒
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■コメント

Re:双月城の惨劇：加賀美雅之(09/04)

みっつ君さん

こんばんは！
この方の３作目、最近出ましたよね～。
２作目「監獄島」までは読みましたが、どちらも分厚く、どの作品も雰囲気が嫌になる位に伝統的な本格探偵小説ですねｗｗ

＞ただ、ワトソン役のパットがあまりにピンとはずれで、私はかなりイライラしてしまいました。

お約束とはいえ、ここまで無能だとイライラしますよねｗ
これも伝統なのでしょうか？ｗ

ＴＢさせて頂きますね！ (2006年09月04日 23時47分51秒)

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Re[1]:双月城の惨劇：加賀美雅之(09/04)

samiado さん

みっつ君さん、こんにちは！
TB有難うございます♪

＞この方の３作目、最近出ましたよね～。

「風果つる館の殺人」ですね。これも同じベルトランシリーズなんですね。

＞２作目「監獄島」までは読みましたが、どちらも分厚く、どの作品も雰囲気が嫌になる位に伝統的な本格探偵小説ですねｗｗ

嫌になる位、でしたか？ｗｗｗ
「監獄島」は上・下巻ですからね。古きよき探偵小説の雰囲気を満喫できそうですねｗ

＞お約束とはいえ、ここまで無能だとイライラしますよねｗ
＞これも伝統なのでしょうか？ｗ

名探偵を引き立てるためか、無能すぎる助手役というのもよく見ますけどね…ｗ (2006年09月05日 09時13分25秒)

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Re:双月城の惨劇：加賀美雅之(09/04)

あんじぇ（*・∀・）さん

なんか江戸川乱歩の『一寸法師』を思い出しました。彼の作品が大好きでした。
あの退廃的なムードを真似た作家さんも多くいらっしゃるようですが、比べてしまって気の毒になります。
この方はどうかな?
ぜひ今度自分で確かめてみようという気になりました(^-^)
(2006年09月05日 22時59分22秒)

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Re[1]:双月城の惨劇：加賀美雅之(09/04)

samiado さん

あんじぇ（*・∀・）さん、こんばんは！

＞なんか江戸川乱歩の『一寸法師』を思い出しました。彼の作品が大好きでした。
＞あの退廃的なムードを真似た作家さんも多くいらっしゃるようですが、比べてしまって気の毒になります。
＞この方はどうかな?
＞ぜひ今度自分で確かめてみようという気になりました(^-^)

私が読んでいた乱歩の作品は、明智探偵と二十面相が出てくる少年探偵団物なんですよ(*^o^*)
つまり、大げさなセリフや稚気あふれる設定などが似ているので、退廃的ムードは余りないようですね。 (2006年09月05日 23時43分15秒)

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Re:双月城の惨劇：加賀美雅之(09/04)

あむあむ108 さん

パリを舞台にした古めかしい探偵小説！を、日本人の方が書かれているんですね。
ディクスン・カーの贋作として書き始められた、とのこと。それにしても筆力が伺えます。わかって読んでいても、思わず「翻訳物じゃなかったよね？」と表紙を見直す本ってありますよね。

＞ドイツの古城、美人双子姉妹、血塗られた伝説…
なんだかTVアニメ「名探偵コナン」の、CM前後の＜扉＞を思い浮かべてしまいました。すみません！

ところで、samiadoさんに聞いてみたいことがあるんです。こちらの記事と関係なくてすみません。九州のことで、ちょっと謎が。
お暇な折にでも、私の9/5のページの【追記】のところ、見ていただけますか？ (2006年09月06日 12時10分51秒)

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Re[1]:双月城の惨劇：加賀美雅之(09/04)

samiado さん

あむあむ108さん、こんばんは！

＞パリを舞台にした古めかしい探偵小説！を、日本人の方が書かれているんですね。
＞ディクスン・カーの贋作として書き始められた、とのこと。それにしても筆力が伺えます。わかって読んでいても、思わず「翻訳物じゃなかったよね？」と表紙を見直す本ってありますよね。

そうそう、そんな感じです。
黄金期の探偵小説が好きなんだなぁというのがよくわかりますが、好きなものを自分で書いてしまうというのがすごいですね。

＞＞ドイツの古城、美人双子姉妹、血塗られた伝説…
＞なんだかTVアニメ「名探偵コナン」の、CM前後の＜扉＞を思い浮かべてしまいました。すみません！

「ギギ～～ッ」ですね。まさにその通りですｗ

＞ところで、samiadoさんに聞いてみたいことがあるんです。こちらの記事と関係なくてすみません。九州のことで、ちょっと謎が。
＞お暇な折にでも、私の9/5のページの【追記】のところ、見ていただけますか？

あら、何でしょう？お役に立つかどうかわかりませんが、すぐに伺います。 (2006年09月06日 16時16分25秒)

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