ミステリの部屋

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2006年11月29日

陽気なギャングが地球を回す：伊坂幸太郎

(10)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（あ行作家）

ゴキゲン4人組の正体は、百発百中で成功する銀行強盗だった。しかし、ちょっとした誤算で売上をトランクに入れたままのクルマを現金輸送車ジャックに奪われた…。不況気分をぶっ飛ばすアクション。

なんてかっこいいセリフなんでしょう。
この言葉を合図に始まるのは、銀行強盗です。

メンバーは4人。
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の天才、、精確な体内時計の持ち主。

嘘を見抜く名人がリーダー挌。
一瞬、嘘が見抜けるといいなと思いましたが、よく考えると見抜きたくない嘘もありそうです。
嘘でもいいから、言って欲しい、みたいに……。
ただ、仲間にそういう人がいると、いざというとき助かるでしょうね。

天才スリも楽しそうだけど、うっかり国家機密にかかわるものをすったりしたら陰謀に巻き込まれますね。

演説の天才は、銀行強盗として必要な素質なんでしょうか？
でも、このよく喋る響野という人物が一番魅力的でした。
そして、彼がいい加減なことを言いだすと、容赦なく否定する奥さんもなかなかいい感じです。

精確な体内時計の持ち主だったら……
これはあまりに自分とは違いすぎて想像できません。

こんなすごい4人が偶然出会ったんですから、何かやりたくなりますね。

テンポ良く走り出すストーリー。
ほとんど会話で成り立っているくらいに喋る場面が多いです。
それが軽妙でかっこよくて楽しい。
その会話の中にたくさんの伏線があることが後にわかります。

読んで一番に思ったことは……映画みたい、でした。（本当に映画になりましたけど。）
横浜が舞台というのは地元なので嬉しかった。
そして映画「スティング」を思い出しました。
実は騙し騙されどんでん返しの面白さもあるんです。

あとがきに、「90分くらいの映画が好きで、そんな話を書いてみました」とありますが、まさにそんな感じに楽しませてもらいました。