ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年02月28日
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「園部よ私は戻ってきた。今ここに物語は幕を開ける…」。
動揺する園部。彼を慕う助手の千紗都は調査を申し出るが、園部はそれを許さない。
しかし、今度は千紗都自身が、標本室で第二の詩を発見してしまう。「黒い絨毯の上で死者は踊り生者は片腕を失うだろう…」。
事務員の梶井に巻き込まれる形で調査を始めた千紗都は、チューブを埋め込んだ医師を突き止める。
だが、予想外の事実に千紗都は困惑した―その医師は十九年前に自殺していたのだ。
抜群のリーダビリティ、骨太のストーリー、意表を衝く結末―第16回鮎川哲也賞受賞の傑作ミステリ。


解剖学が好きな人っているんですね。
最近、グラビア・アイドルの松嶋初音ちゃんが人体に強い興味を持っていることを知りました。人体模型まで持っているらしいです。
この作品の主人公で、東都大学解剖学教室の講師である深澤千紗都も、人体は自然の美の極致だと思っており、解剖実習を楽しみにしています。

そんな人が集まるであろう大学の解剖学研究室の様子は、まったく縁がない世界だけになかなか興味深いものがありました。

この話は、解剖中の「ご遺体」の中からメッセージ入りのチューブが出てくる、という意表をついたできごとから始まります。
いつ、誰が埋め込んだのか?
手がかりとなる古い手術跡はかなり古いものでした。

メッセージの中に敬愛する園部教授の名前が書かれていたことから、千紗都は事務員の梶井に誘われるまま、過去に起こったできごとを調べ始めます。



特に、夜の解剖学教室のシーンは想像するだけで恐ろしい。夜の学校というだけでなぜか怖いのに、シーツをかけられた「ご遺体」、内臓の標本や模型と、怖がらせるアイテムはそろっています。

その不吉な予感は現実となり、千紗都は身の毛もよだつようなゾッととする目にあってしまいます。

読んでいるうちに、彼女と一緒に怖がりながら、だんだん不安な気持ちになっていきます。何かに追い立てられるかのようにゾクゾクしながら読み進めました。

そして怪奇な雰囲気さえ漂う中、人間の執念の恐ろしさも感じつつ結末へなだれこみます。

この作品は第16回鮎川哲也賞受賞作品ですが、意外にも本格風味のまったくないサスペンスでした。
審査員の方も江戸川乱歩賞のようだと言われていて、今後、鮎川哲也賞としての特色がなくなっていくのではないかということを危惧されていました。
本格推理が好きな者としては、そういうカラーがなくなるのは寂しいですね。


 ヴェサリウスの柩 : 麻見和史 







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最終更新日  2007年02月28日 23時51分38秒
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