ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年05月30日
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トーマス卿の部屋の外は、人が通れば必ず“歌う”、通称“小夜鳴鳥の廊下”。
この廊下を歩いた者は、執事ただひとりなのだが…
難事件に挑むは、酒好きのクランストン検死官とその書記、アセルスタン修道士
中世謎解きシリーズ、堂々の開幕。



ポール・ドハティーは数々の歴史ミステリを著している、イギリスの小説家です。
この作品は修道士アセルスタン・シリーズの第一作となっています。

主人公は、酒好きで巨漢の検死官クランストンと、若き托鉢修道士アセルスタン。

クランストンは何かといえば居酒屋に立ち寄って飲んでばかりいて、関係者に話を聞きながら居眠りをするというだらしなさがありますが、愛妻家で、心の奥の悲しみを引きずっている弱気な面も持っています。

アセルスタンは過去のあやまちから自分を責め続けていますが、今は教会に来る美しい未亡人に心乱されるという悩み多き修道士です。

この二人が何度も現場に足を運んでは証言を聞き、仮説を構築しては壊す事で少しずつ真相に近づいていくという地道な捜査を行います。

謎解きはどちらかというと地味な印象ですが、この凸凹コンビのキャラクターがいい雰囲気を出しています。

幼い国王リチャード2世が印象的でした。今後も登場してほしいと思いますが、調べてわかったその数奇な人生を思うと何ともいえない気持ちになります。


カドフェルシリーズについて
カドフェルシリーズは薔薇の香りのようなさわやかな読後感でしたが、この作品は14世紀ロンドンの不潔な様子がありありと描かれているため、汚物や死体の臭いが漂ってきそうでした。
潔癖症の人にはちょっときつい場面も…。

タイトルにも「囀り」とありますが、殺された貿易商の部屋の前が小夜鳴鳥の廊下になっているというのが一つのポイントですが、これは日本の鶯張りの床を参考にしているそうです。


 毒杯の囀り:ポール・ドハティー







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最終更新日  2007年05月30日 22時57分11秒
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