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市の図書館がインターネットから予約できることで、ときどき利用させてもらっています。
先日、予約の本が入りました、というメールが来てびっくり。え?そんなのいつ予約したっけ・・・?
ずっと以前に韓国語がらみの本を読もうと、適当にいくつも予約していたのだと思いますが、予約していたことなどすっかり忘れてしまっていました。

拉致被害者の方たちのことを思うと、どこか他人ごとではないと思ってしまうのです。蓮池さん夫妻も、地村さん夫妻も日本海の海辺から連れ去られてしまいました。本を読んで知ってみれば、蓮池さんとは同い年です。
まだ大学生のころ、予定していた山行きが中止になり、ちょっと感傷に浸りたくなって、ひとりで近くの浜を訪れたことがあります。一人で海を眺めながらセンチな気分でいたときに、近づいてくる影・・・目をやると黒いサングラスをかけた不気味な人が下半身を出してにやにやと佇んでいるのでした。
思わず、「何やってんですか!」と声を出したら、またにやにやともと来た方へ行ってしまいました。初めて目にした変質者でした。
ちょっと離れたところには、浜辺で遊ぶ子どもたちの姿が見えてましたが、おちおち一人でゆっくりもしていられないと、すっかり興ざめして浜を後にしたのですが、今にして思えば襲われなくてよかった・・・
そしてもし草むらに拉致をたくらむ人が潜んでいて、袋をかぶせられたら、私も姿を隠した一人になっていたかもしれないと、拉致被害のニュースが知られるようになってから恐ろしく思ったものでした。
もし私が行方知れずになっていたら、家の両親はどんなになっていたかしら。気の弱い母なんかは半狂乱で病気になったことだろうな、と想像するだけで胸がつらくなりました。
この本は、帰国した蓮池さんが翻訳の仕事をするようになり、その取材も兼ねて初めてソウルを訪れた旅行記と、日々の思いを書き綴った雑感の2部作になっています。蓮池さん自身、ソウルを訪ねることで、北朝鮮と韓国の共通点や相違点を感じてきたいと言っている通り、新鮮な目でソウルでの体験が語られています。
ご本人の帰国時や、お子さんたちの帰国のころにテレビで見かけた蓮池さんはいつも厳しい表情でしたので、帰国できてどんなふうに感じてるのか興味もありましたが、拉致された24年間はもう変えられない事実として受入れ、“被害者”としての視点ではなく、「あの国の言葉を武器に生きていく」と、これから広がる人生に希望をもって歩んでいる姿にとても感銘を受けました。
翻訳という仕事に飛び込む時の勇気と一歩踏み出した後に広がる人との出会い。人と出会うことによって、自分の世界が広がったということを喜びとして語っている言葉は、年齢ではなく、姿勢が大事だと共感しました。
心に残ったのは、ソウルで会った作家(孔枝泳コンジヨンさん)に、ソウル行きのことを紀行エッセイに書くのにアドバイスを求めたところ、
「旅の過程で思い浮かぶ自分の思いや悩みをそのままかけばいいのよ。旅程をとっかかりにして、自分の書きたいことを書く。それでいいのよ」
と言われたことに、
「旅で見て聞いて感じたことは、生きていく上で大切な財産になり、旅先での人との付き合いは、その後の人間関係をうまくやっていく上で大きな知恵になる。だから、旅の途中に感じたことをそのまま綴るだけでも、人の心に伝わることがあるはずだ。(中略)
確かに、人は挫折したり、人生の節目を迎えたりすると、よく旅をする。それは単なる気分転換のためだけではなく、新たに生きるための視点とパワーを得るためなのだ。そんな旅の原点を忘れなければ、それなりに紀行エッセイも書けそうな気がしてくる僕だった。」
と蓮池さん自身が旅について感じた思い・・・
そうなんです。旅って自分の生に彩りを与えてくれるんですよね。自分のことを言えば、冬の旅の話が、夏を超えてもやめられないのは、その時に感じた思いを自分のために書き残しておきたいのはもちろんですが、読んでくださった方が何かしら共感したり夢を感じたりして伝わるものがあれば嬉しいとどこかで感じているからかもしれません。(独りよがりかもしれませんが)
蓮池さんが心から祈っているように、北朝鮮に拉致されている方々が一日も早く解放され帰国できることを祈ります。
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