異論・極論・直言――マスコミが言わない解説、提言

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2026.05.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
(米ぬか油にPCBが混入で、1万人以上が被害)

あるカネミ倉庫という会社が製造・販売していた米ぬか油を食べた人にひどい吹き
出物が出るとともに、肝臓や心臓などに悪影響をもたらし、更に妊娠している女性
には流産まで引き起こすという「カネミ油症事件」というのが発生した。

 地方のそれ程大きくない会社の製品だが、地元密着型の企業で愛用者の結構いた
ために、被害者は1万人を越え、大きな社会問題になった。

 原因を調べてみると、こめ油にPCBが混入している事がわかった。PCB(ポリ塩
化ビフェニール)は変圧器やコンデンサーなどの電気機器に、絶縁油や塗料として
使われていたもので、毒性の強いダイオキシンに変化するものである。


の金を出す力はない。かと言って、1私企業の間違いに国が金を出す訳にも行かな
い。被害者救済をどうすべきか、厚生省は頭を抱えた。

 この厚生省にアイデア、助け舟を出したのはなんと、日本共産党だった。米ぬか
油にPCBが混入した。そして、そのPCBをカネミ倉庫に納入したのが大手企業のカ
ネカだという事を知り、被害者救済の金をカネカに出させるべきだと言い、厚生省
は、被害者が救済できるならばと、その共産党のアイデアに乗ったのである。

 その後、PCBは危険だという認識が広まり、製造、販売が中止になったが、事件
当時は、カネカに限らず、いくつも企業が製造販売し、一般に広く使われていた。

 しかも、米ぬか油にPCBが混入した経緯を調べてみると、米ぬか油の製造過程で、
パイプの穴から製造中の米ぬか油が漏れている事に気が付いた工場従業員が、もっ
たいないという思いから、パイプから漏れている米ぬか油の受け皿に、PCBが入っ


 そして、米ぬか油がPCBの缶に貯まったら、それを正常な米ぬか油が貯まってい
る場所に戻していた事がわかった。PCBの使用済み缶は洗浄もしていないので、缶
の中にはPCBがこびりついていた。だから、PCBが混入したのだった。してはなら
ない工場作業としての基礎を怠った行為で、米ぬか油にPCBが混入したのである。

 厚生省は共産党のアイデアに乗り、カネカに企業者救済に協力するように指導し、

のである。

(患者は一、二審で勝訴、最高裁で敗訴)
 そして、裁判では1977年、一審では患者が勝訴し、二審でも患者側が勝利し
たので、870人の患者に国が出す形で、27億円が仮払いで支払われた。

 だが、カネカは自社は問題行動をした訳ではないし、自社に非はないとして、最
後まで争う姿勢を貫き、裁判は最高裁まで行った。そして、最高裁では、患者側は
敗訴した。ただ、カネカは自社には被害に責任はない事を認めた一部の患者には
被害見舞いの形で、一定の金を出している。

 国もカネミ倉庫の従業員の基礎的な作業ミスで起きた事件という立場で、人道的
に仮払いした治療費のための仮払いの金を1990年に、患者に返還するように求
めた。

 仮払いの金は主に、病院の治療費だったので、患者側は返せないという人も少な
くなかった。そこで、国会が患者に仮払いの金を返還しなくて良いという免除法を
成立させる事で、患者を救った。

 症状が続き、病院治療が必要な人もいる。その金を誰が出すのかと言えば、カネ
ミ倉庫が出すしかない。そのカネミ倉庫は社名のように米ぬか油の製造販売だけで
なく、コメの倉庫保管業務もしているの。そこで、国はカネミ倉庫にコメの保管委
託の仕事を回し、年間2億円の委託料の内、6千万円を被害者の医療費に出すよう
に指示し、それは今でも行われている。

 ちなみに、民事訴訟だけでなく、刑事でも、カネミ倉庫は罪と問われ、社長は罪
に問われなかったが、工場長は有罪となり、1年半の懲役刑となった。当然と言え
場、当然だが。

 食品公害や薬品被害などがあると、多くの被害者が出る。こうした時に、被害者
救済が大きな問題となる。加害企業に明らかな落ち度があり、かつ、賠償金や治療
費などに対する支払い能力がある時は、加害企業がそれを支払えば済むが、責任が
はっきりしていない時や、加害企業に支払い能力がない時は、対応が難しくなる。

(被害者1万2千人の森永ヒ素ミルク事件)
 カネミ油症事件では、被害者救済のアイデアとして、PCBを納入していたカネカ
に支払わせるべきだと日本共産党が思い付き、対策に苦慮していた厚生省もその
アイデアに乗ったが、実はこうした食品公害や薬品被害では共産党は陰の働きを
結構している。

 これも若い人は知らない人が多いと思うが、森永ヒ素ミルク事件というのがあっ
た。森永乳業の徳島工場で作った粉ミルクにヒ素が混入していて、1万2千人が被
害に遭い、130人が死亡している。事件が表面化したのは1953年(昭和28
年)頃で、被害者が粉ミルクを飲んだ乳児という事から、大学教授が調査をして、
粉ミルクにヒ素が混入していた事を突き止め、大事件となった。

 何故、粉ミルクにヒ素が混入したかというと、粉ミルクが缶の中で固まらないよ
うにするとともに、お湯で溶けやすくするため、粉ミルクに第二燐酸ソーダを混ぜ
た。試験段階では、純度の高いものを使っていたので、問題がなかったが、実用化
し、製造販売になると、純度の低い工業用の物が使われたため、ヒ素が含まれてい
たという訳である。

 昭和20年代、30年代は日本は経済復興に必死な時代で、消費者の権利など
確立していない時だった。だから、森永乳業は患者に寄り添う姿勢は示さなかった
し、純度の低いものを納入した業者が悪いというような感じで、戦う姿勢を示した。

 ここで活躍したのが日本共産党である。工場が徳島県にあったので、被害は四国
など西日本を中心だったので、この地区の乳児を持つ母親宛に、被害はないか、あ
れば、一緒に戦って、企業から賠償を獲得しましょうと呼びかけた。共産党のうまい
やり方は、共産党と言うと、アレルギーがある人もいると思い、政党色は一切出さ
ず、被害者の会を作りますので、参加してくださいと訴えたのだ。

 こうして1973年、被害者の会が作られた。筆者はこの被害者の会結成の過程
を取材したので、被害者団体はこうやって作られるのかという事と、政党色を一切
出さずに、裏方に徹して団体を立ち上げる共産党のうまさを知る事が出来た。

 被害者団体が出来て、マスコミなどで訴えの声が大きくなってくると、森永ミル
クの不買運動が起きて来た。そして、不買運動は森永乳業だけでなく、森永製菓の
製品まで及ぶようになってくると、森永側も徹底抗戦ができなくなり、賠償という
ことをせざるを得なくなり、事件は解決に向かうのである。

 しかし、問題が起きた時のどうしようもない姿勢が、かつては、粉ミルクで日本
一だった森永乳業は大きくシェアを落とす事になったのである。

(かつては地域密着で活躍をした共産党の地方議員)
 筆者は20歳代の若手記者時代、地方勤務だったが、共産党の県会議員や市会議
員とは親しくさせていただいた。彼らは地域密着で住民の問題を吸収し、地方議会
で取り上げ、解決に向かわせるとともに、マスコミの記者にも情報を流し、特ダネ
を取らせるとともに、マスコミの力を利用する事で、問題の解決にもあたった。

 筆者の地方勤務から何十年の年が過ぎているので、今の地方での共産党の県議や
市議がどういう活動をしているかは知らないが、地域密着の活動が地方でかなりの
共産党の議員が選出される理由がここにあると思った。

 それに対して、地方の社会党の議員は全く違った。社会党の国会議員はかつては
全体の3分の1の議席を持ち、国政に大きな影響を与えて来た。今は社会党も、そ
の流れを組む社民党も、批判される事ばかりだが、筆者は日本で今の健康保険など
の保険制度や年金制度が整備されていく過程で、社会党が果たした役割は大きかっ
たと考えている。

 しかし、その社会党が壊滅的な今の状態になっている理由も理解できる。それは
共産党のように地域密着で、問題点を知り、それの解決のために動こうという姿勢
がほとんどなかったからである。

 今の立憲民主党や国民民主党などは少し違うが、かつて、社会党の国会議員や
地方議会の議員は、労働組合の幹部の上がりのポストだったのである。組合の幹部
をした後、名誉職として議員になり、生活も保障され、名誉も得るので、それに
満足し、人のために働こうという姿勢がほとんどの人になかったのである。そうな
れば、やがて、その組織は誰にも信頼されず、当てにされずに、衰退していくのは
当然である。

(厚生省は被害者救済のために何をするか)
 政党の話はともかく、食品公害、薬品公害の話に戻すと、こうした問題が起きる
と、厚労省は、かなりの数がいる被害者たちの救済をどうしようかという事が頭の
中心になって来る。だから、好きでもない共産党のアイデアに乗るのである。

 筆者は食品公害や薬品公害という事案に取材で多く関わって来た。だから、マス
コミが報道する表面の事とは別に裏の話も多く、見聞きして来た。教科書に書いて
ある歴史的な事実として言われている事が、実際には全く違うという事も多く見聞
きしてきた。

 かつて、薬品公害でスモン病というのがあった。これは整腸剤キノフォルムを
服用した人に失明やひどい身体障碍が出て、多くの人が亡くなりもする世間を
揺るがせる事件だった。

 しかし、何年もの関係者への徹底取材で、筆者はスモンの原因はキノフォルム
ではないと確信している。原因は、これもイタイタイ病と同様に農薬だと考えて
いる。

 キノフォルムには、2つの系統がある。1つはスイスのチバガイギー(現、
ノバルティスファーマ)が製造し、日本では武田薬品が販売していたルート。
もう1つは、旧陸軍の薬を田辺製薬が引き継ぎ、製造販売していたものである。

 スモンの原因がキノフォルムだと言われた時、チバガイギーは強く反発した。
何故なら、チバガイギーはキノフォルムを世界各国で販売していて、それらの
国では、スモンのような問題はほとんど起きていなかったからである。

 では、チバガイギーはどうして最終的に賠償に応じる事になったのか。そこ
には、厚生省の強い指導と裏約束があったからである。

 日本は世界一とも言える薬品消費国である。インフルエンザの特効薬と言わ
れるタミフルは、世界の消費の半分以上が日本だと言われているし、世界の抗
生物質の消費量の中での日本の消費は世界ダントツだと言われる。

 こうした薬品の大量消費国、日本でその取り締まりの担当役所である厚生省
に睨まれたら、その後の日本でのビジネスは成り立たない。納得しないチバガ
イギーの説得で厚生省の幹部が使ったのは、これである。

「厚生省と喧嘩をして、睨まれたら、今後の日本での御社のビジネスは大変で
しょうね」。そう言って、賠償に応じるように説得をしたのである。薬行政は
厚生省の許認可制である。許認可を容易に出すか、渋ってなかなか認可をしな
いかは、厚生省の担当者の原三寸である。それを示唆したのだ。

 それを理解したチバガイギーは厚生省の説得に応じた。しかし、世界企業
もしたたかである。その約束を守らせるために、チバは何をしたかと言えば、
スモン問題の解決を全権委任の形で指揮していた、当時の薬務局長を、役所
の退任後、チバガイギー日本の代表者として迎えたのである。

 表面は天下り。実質は、約束を守ってもらうための人質として、会長職を
差し出したのだ。

 もう一方の当事者の田辺製薬に対しての交渉では、「チバと武田での分割
支払いなら、賠償対応も出来るかもしれないが、当社単独では、財政的にと
ても無理」という田辺のトップに対して、厚生省は今後の新製品の認可を
優先的に行い、賠償の金ができるようにする」と約束して、実行したので
ある。現に、田辺の製品の優先認可は行われ、田辺は潰れずに済んだのだ。

 世の中の事は、政治も経済も、役所の行政も、裏もあれば、表もある。
裏約束なども多く存在する。筆者はこうした現場に多く立ち会って来たので、
いくつもこうした事例を知っている。

 しかし、密着して取材をし、秘密の話を聞き、時には、政治家、経営者、
官僚たちから、相談される経験をしてきた人間と、そうした取材をせずに、
教科書に書いてあることだけを理解してテレビなどで話をする評論家、コメ
ンテーターなどは、テレビなどで話を聞くと、「それ違うよ」という話が多いの
だ。

 でも、ネットの普及、進化はどんどん嘘の話がばれだす良いきっかけに
なっている。





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Last updated  2026.05.01 12:44:57
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