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2005/02/12
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テーマ: 小説日記(233)
カテゴリ: LOVE
S大学病院の近くのマンションにサチコは住んでいる。
数年前まで寮にいたが5年までしか入れないので近くのマンションに引っ越したのだ。
院内に寮があったので寮に居た時は白衣のまま病棟まで行けたが、今はそうはいかない。
最近めっきり寒くなって手袋とマフラーも欠かせなくなった。
救急用の入り口から入りロッカーで白衣に着替え4A病棟に向かう。
朝のこの時間は静かである。
点滴棒を引きながら患者さんが朝の散歩をしたりしている。
「先輩。おはようございます。」
背後から元気な声だ。

「おはよう。」
「あの・・・先輩。これ。」
ポケットから手のひらサイズの2つ折りにされた紙を差し出した。
「ありがとう。昨日はゴメンね。外出中だったでしょ?」
苦笑いで受け取った。
「いえ。私もそこのお店また行きたいです。バーテンさん渋くてカッコ良かったし。」
ユミはそういうと舌を出して笑った。

ユミは2年目の看護師である。
よく働くし、イージーミスはたまにするが、勤務態度は真面目で勉強もきちんとしているようである。
4A病棟は大学病院では珍しく内科の混合病棟である。
他の病棟は科ごとになっているのだが、4Aは内科系のどんな疾患でも詰め込まれてしまう。

新人の間では一番配属されたくないとささやかれている。
技術が未熟である上に幅広い知識も必要とされるからである。
毎年4~5人新人が配属されてくるがユミの同期はみんな退職してしまった。
私の同期も今はいない。
新人の頃は私も辛かった。

ユミはそんな素振りは見られない。
見せないようにしているだけかもしれないが、もう不安定な時期を乗り切ったのかもしれない。
たぶん、ユミならこれからもこの病院で看護師としてやっていけるだろう。

と、一人昼休みに食堂でランチを食べながらそんな事を思っていた。
ユミからもらったメモをポケットから出して眺める。


Bar D

03-XXXX-XXXX
第一カワカミビル地下1F

地図を見ると浅草線三田駅が近そうだったが、駅から少し離れているようだ。
しばらくサチコは地図を眺めていた。

勤務終了間近、緊急入院があり時計を見ると6時半を回っていた。
疲れた・・・。
心の中でつぶやいた。
自分の仕事は終わっているのでやっと帰れる。
ユミはまだ記録が残っているらしくPCに向かっていた。
スタッフに「お先です」と声を掛けてロッカーに向かった。
私服に着替えて病院を出ると身にしみる寒さだ。

-行ってみようか-

ふいに心の中で思った。
私はBar D へ向かった。
三田駅で降り地図通りに歩いた。
駅からは7~8分歩いた所に第一カワカミビルを見つけた。
地下に続く細い階段が見えている。
何だかサチコは鼓動がしてくるのを感じていた。
階段を下りる。
階段を下りて右側に D とだけ小さく書かれたドアがあった。
鼓動が最高潮に高まっていた。
ドアを開けた。
店内はやや暗いが暗すぎる事も無い。
こじんまりとしたカウンターのみのショットバーだ。
家具はアンティークな感じでまとめられており暖かい感じのする店だと言うのが第一印象だ。
客はまだ少ない。
「いらっしゃいませ」
バーテンが声をかけた。
「どうぞ」
バーテンは少し微笑んで目の前の席を手でさした。
「あの・・・。」
「サチコさんでしたよね。」
「あ・・・あの・・・。」
「・・・ご注文はどういたしましょう。」
名前を覚えていられて言葉に詰まってしまう・・・。
「カンパリオレンジ」
分かりました、とシェイカーに準備するバーテンの姿をサチコはボーと見ていた。



                   <つづく>


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Last updated  2005/02/12 04:16:02 PM
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Re:サチコ(2)(02/12)  
失礼かもしれませんが、とても自分と似てると
感じました。
サチコじゃないですよ。
作品から漂う作者の香りです。

同じ匂いを感じました。

(2006/10/19 07:57:02 PM)

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