買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2008年11月18日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
柴田翔さんの 「されどわれらが日々――」

「私」は、過去に女性を妊娠させ死に追いやったことから、心の中に虚無を抱えています。
一方、「私」のいとこであり、幼なじみの「佐伯節子」は学生運動の中で、党の方針転換(六全協による武装闘争の放棄)により、心のよりどころを失ったような状態になっています。

この二人が、なんとなく婚約してから、「佐伯節子」に変化が起こり、「私」のもとを離れていくまでがこの物語の大筋になっています。

一方に、頭から信じていた者の方針転換(裏切り?)により、生きる指針を失って、周囲への適応不全に陥るような人々がおり、一方にはそんなふうになることが理解できない人々もいます。

見方を変えてみますと、
「私の前にあったのは、継起する事実だけだった。私は、事実から、世界とは何かを学んだ。私には失望は無縁だった。」という、はじめから「老いる」ことを許容している「私」。
「日々そこに存在しているかにみえる私たちの生は、個々ばらばらの事象の偶然的な継起に過ぎず、その無意味さの中で私は疲れ果ててしまっている」と感じており「どうにかしなければいけない」と「老いる」ことを拒否する「佐伯節子」。



ここで、冒頭に書かれている言葉を引いてみますと、
「道化 (王に)おお、おいたわしや、王様には裏切られなさったと!
     して、一体、誰方にでございます?」

ほんとに、「誰方にでございます?」のでしょうか。とても分かりにくいです。ひょっとして、裏切りなんてどこにもなかったのではないでしょうか?

というわけで、以前読んだときにも印象がはっきりしなかったのですが、今回もはっきりしなかったのでした。そして、それも無理もないような気が、今はしています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008年11月18日 06時11分17秒 コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

shov

shov

Calendar

Favorite Blog

ヒトラー 第五部 … New! 鴨ミールさん

リト@葉っぱ切り絵展 吟遊映人さん

2024年12月発売予定… ぴいたあ8888さん

眠りの底で 無花果。さん
ミステリの部屋 samiadoさん

Comments

aki@ Re:聞いた曲(2024.1.20)(01/20) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
shov @ Re:「フラニーとズーイ」(メモ12)(07/19) ご訪問ありがとうございます。 記事読ま…
ゆきこ@ 日本にとって大切な参院選 初めまして、こちらのブログとは場違いな…
omachi@ Re:「比ぶ者なき」(メモ11)(04/10) 歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知っ…
http://buycialisky.com/@ Re:「お嬢さまと青バラの君」(紹介)(03/30) differences entre viagra cialis levitra…

Free Space

設定されていません。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: