買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2011年05月25日
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だが、眼をあげて見ると、その延びて来ずにはいられないものは、楓の中にも、八つ手の中にも、どうだんの中にも、――いや、あらゆる草木の中に、いまや一せいに動き出しているのでした。
コペル君は、泥だらけの手を払うことを忘れて、暖かな日光の中に立ちつくしました。胸が気持ちよく高まっています。
延びてゆかずにいられないものは、コペル君のからだの中にも動いているのでした。

(吉野源三郎さん「君たちはどう生きるか」P280)

というわけで、吉野源三郎さんの「君たちはどう生きるか」を読みました。

中学校の頃、10年ほど前、今回と、これで3度目になりますが、これは「りっぱ」で「まっとう」な人間に「なる」ための指南書のようなもので、若い頃に読めば読むほどよろしい。

しかし、もう、そういうことを思わない人でも、読めば、勘違いもふくめて(笑)、気が引き締まり、勇気の出てくる不思議な本です。

この本が書かれた頃、日本は戦争に突入していくこともあって、吉野さん自身、「この本は、時代の産物」めいたことを、どこかで語っておられたような記憶がありますが、そういう時代背景を突き抜けて普遍の輝きを持っていると思います。

ところで、梨木さんの「僕は、そして僕たちはどう生きるか」は、「りっぱ」にはなれないか、そういうことに生きにくさを感じ、傷ついた人たちが、やはり「まっとう」に生きていくために必要な「ゆるやかな群れ」について書かれたもので、補完的な意味をもつものと考えることができると思いました。
ナチュラリスト梨木さんの側面は、それとはまた異なる次元のものということで。

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Last updated  2011年05月25日 08時14分06秒
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