喜べば喜びが喜んで喜び集めて喜びに来る

Sep 19, 2005
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テーマ: 生き方上手(711)
カテゴリ: カテゴリ未分類
先日、以前にも話しましたが、素晴らしい校長先生に御会いしたので、その後紹介をさせていただきます。

生徒の心がすさみ、教室のガラスが頻繁に割られていた という、ある中学校での出来事です。



ある夏、学校で競泳大会が行われ、クラスから四人の選手を出すことになりました。A子ちゃんのクラスでも話し合いがもたれ、三人の選手はすぐに決まったのですが、もう一人が決まりません。だれかいないか、という声に、番長ともいえる生徒が、 「A子がいい!」 と言いました。

瞬間、 クラスの皆が笑いました 。クラスのみんながどっと笑ったのは、 A子ちゃんが体に障害を持っていたから です。けれども、指名した生徒がこわかったせいか、反対の声は上がりません。

いよいよ競泳大会の日がきました。
ピストルの音を合図に、スタート台から選手たちが次々と二十五メートルプールに飛び込んでいきます。プールサイドでは全校の生徒が選手たちに声援を送っています。順番が進み、A子ちゃんの番がきました。 スタート台に上がったA子ちゃんの顔は明るく輝いていました



ピストルが鳴ると、選手たちはいっせいに飛び込みました。水しぶきが横一列になって進んでいきます。 けれども、水しぶきを人一倍あげて泳ぐA子ちゃんは、なかなか前に進みません。 その姿が滑稽に映るのか、プールサイドの生徒たちは声を上げてはやし立てます。 A子ちゃんはそしらぬ顔で一生懸命に泳いでいます。



■全校生徒のエールの中で■

その時、一人の「おじさん」がプールサイドにやってきました。
ひとりA子ちゃんが必死で泳いでいるのを見ると、その「おじさん」は生徒をかき分けてプールサイドに立つと、 何も言わずに服のままで、ドボーンと飛び込みました。 バチャバチャやっているA子ちゃんに近づき、A子ちゃんといっしょに泳ぎながら、おじさんは言いました。

「腹立つねえ!でも!自分で泳げよ!」

A子ちゃんが沈んでしまわないようにエスコートしながら、しかし、手を出して助けることはしないで、おじさんはいっしょに泳ぎます。『腹立つねえ、でも、自分で泳げよ』と言いながら。

必死で泳ぐA子ちゃん、服のまま寄り添って泳ぐおじさん。その光景にまわりで騒いでいた生徒たちはいつしかシーンとなり、ついで新たな声が上がり始めました。

「がんばれ、A子!」


やがて、その声は大合唱になりました。

全校生徒のエールの中、長い時間をかけてA子ちゃんは二十五メートルを泳ぎ切りました。 プールサイドに上がったA子ちゃんは、おじさんにしがみついて泣きました。まわりの生徒たちも、だれかれとなく抱き合って、喜び合いました。

その「おじさん」は校長先生 でした。そして、このことがあって以来、生徒たちの心は徐々に落ちついてきて、一年もたたないうちに、教室のガラスが割られるようなことはなくなったということです。



障害のあるA子ちゃんがなぜ競泳大会に出ることができたのかを考えたとき、その背後にはご両親の深い愛情があったに違いないと思いました。


「お父さん、お母さん、わたしね、選手に選ばれたの」

と言ったことでしょう。
そのとき、僕が親だったら、

「なんであんたが泳がないかんの?やめとけ!学校に言うてやる」

ときっと言うだろうと思うのです。ですが、A子ちゃんのご両親は、

「よかったな、おまえが選手か。大したものじゃないか。偉いなあ」

と、障害があるということをどこにも感じさせなかったのでしょう。でなければ、A子ちゃんはあんなに明るく飛び込めなかったのではないでしょうか。このA子ちゃんのお父さんとお母さんの深い愛と立派さを思うと、胸がつまる思いです。



しかしこの校長先生は、まわりではやし立てる生徒を叱ることもなく、無言でプールに飛び込みました。校長先生は、だれも責めなかったのです。人を責めてよい方向にいくことはありません

「腹立つねえ、でも自分で泳げよ...」

この言葉はほんとうにすごいと思います。A子ちゃんの心をまるごと受け止めています。そして、 障害は病気でもなんでもない、一つの個性だ、その個性を人からとやかく言われ、腹が立つことがあっても、どんなに時間がかかっても、自分の人生は自分で泳ぎ切るしかない。自分の力でしっかり生きなさい。 そう言っているのです。校長先生は 「いつでも助ける用意」 をしながら。

競泳に出たA子ちやんは、両親の愛と校長先生の愛の言葉でフールを泳ぎ切りました。その姿は学校全体をも変えました。愛こそが人間を支える力であるように思います。

人は人を助けることはできない、支えることもほんとうはできないのかもしれません。けれども、私たちが愛をもって人に接するとき、私たち自身の力ではなく、愛というものが持つ強い力で、人はみずから支え、みすから成長するように導かれるのではないでしようか?

家族を、そして縁ある方々を、大事にしたいですね。

「あなたを愛しているからですよ」

ただそれだけの心で。






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Last updated  Sep 19, 2005 08:11:33 PM
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Comments

attsu@ Re:「誇り」とは何か ~自分自身の根っこづくり~(09/24) 20代の者です。 最近講演会で今の日本人は…
とうも@ Re:「誇り」とは何か ~自分自身の根っこづくり~(09/24) ふらふらと生きてきた自分によく聞かせた…
auly@ Re:「誇り」とは何か ~自分自身の根っこづくり~(09/24) こんにちは。 「誇り」で検索してこちらに…
ななし@ Re:「誇り」とは何か ~自分自身の根っこづくり~(09/24) この少年の誇りがどれ程 試されているか、…
通りすがりの人@ いやはや 訳あって「誇り」を検索したら、この少年…

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