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新鮮美感@川島 @ Re:やばい老人になろう(07/24) 井伏鱒二の「山椒魚」が約60年以上も推…
2025/08/17
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カテゴリ: おいしい健康






世の中、比べてみれば、その差がわかると云うものです。味の好みは人それぞれで有りましょうが、人それぞれの味好みの結果があるわけです。

かつて大航海時代に列強ヨーロッパの海沿いの国々は、胡椒を金と交換するほどの価値交換したほどだったと云う、肉の味付けに胡椒が貴重品だった時代です。

   ーーーーーーー

美味い料理には、素材の持ち味を生かしながらも、調味料という名の“影の立役者”が存在する。カツ丼の甘辛醤油のように、味の輪郭を際立たせ、香りを加え、記憶に残る一口を生み出すのは、やはりそのひとさじの工夫だ。素材そのものも大切だが、無味の肉や野菜に塩ひとつ加えるだけで、まるで別物の世界が開ける。この変化こそ、調味料の魔力である。

歴史を振り返れば、胡椒やシナモン、クローブといった香辛料は、かつて海を越えて命がけで運ばれた。それは単に風味のためだけではない。冷蔵庫のない時代、肉や魚の保存性を高め、臭みを消し、食中毒を防ぐ役割も担っていた。だからこそ、胡椒は金と等価で取引されるほど価値があったのだ。現代の私たちはスーパーで簡単に手に入るが、その背景には壮大な歴史がある。

和の世界でも、味噌や醤油、みりん、酢といった調味料は、日本人の食文化の骨格を形作ってきた。特に醤油は、素材に深みとコクを与え、香ばしい香りが食欲を誘う。ほんの数滴で料理の印象を変える力は、まるで料理人の筆先が描く最後のひと筆のようだ。砂糖やみりんを合わせれば甘辛の調和が生まれ、酢を足せばさっぱりと引き締まる。

また、調味料は単なる味付け以上に、「記憶の触媒」でもある。子どもの頃に食べた煮物の味、旅行先で出会った郷土料理の香り──それらは舌の上だけでなく、心に残る。人はその記憶をたどって「また食べたい」と思う。そしてその再現のために、同じ調味料や配合を探し求めるのである。

素材を活かす調味は、時に控えめに、時に大胆に。足しすぎれば本来の旨味を覆い隠し、少なすぎれば物足りなさを残す。絶妙な加減を見極めるのは、経験と感性の賜物だ。カツ丼における甘辛醤油のように、調味料は主役を輝かせる名脇役であり、料理の完成度を決定づける最後の一手なのである。

そこで重要になるのが「黄金比」だ。たとえば甘辛煮なら「醤油1:みりん1:砂糖0.5」、酢豚の甘酢あんなら「酢1:砂糖1:醤油1」、照り焼きなら「醤油2:みりん2:酒2:砂糖1」が基本形。この比率を押さえておけば、家庭でも安定した味が出せる。そして黄金比は、口にする人の好みに合わせて少しずつ調整していくのがコツだ。

さらに家庭で再現する際には、「火加減」と「仕上げのタイミング」が味を左右する。煮物は沸騰させすぎず、弱火でじっくり含ませる。炒め物は強火で一気に仕上げ、香りを飛ばさない。盛り付け直前に香味油や粉山椒をひとふりすれば、香りが立ち、食欲を一層かき立てる。調味料は、ただの“味のつけ足し”ではない。黄金比と加減の妙を知れば、日常の食卓が驚くほど豊かに変わる。そしてその一皿は、誰かの心に残る味となり、長く記憶に生き続けるのである。


       ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




この一連の話から、ふと思い出すのは、母がつくってくれた粒餡入りの饅頭だ。ふくらし粉は、試験管のような細いガラス瓶に入って、近所の雑貨屋の棚に横たわっていた。あの瓶の先をコンコンと叩くと、白い粉が少しずつ出てくる──その様子まで、今も目に浮かぶ。饅頭は、家の竈門に掛けられた蒸篭で蒸し上げられた自家製。薄皮の上品なものではなく、ふかふかと厚みのある衣に、やや甘めの餡子がぎっしり詰まっていた。作ってくれたのは、記憶ではせいぜい四、五回だったろうか。それでも、半世紀以上経った今も、湯気の匂いや手触りまで鮮やかに蘇る。母がどこで饅頭の作り方を覚えたのか、当時も今も謎のままだ。

そんな記憶に突き動かされ、あるとき私は車を走らせた。webで調べると、いわき市田人や栃木県佐野市に「重曹饅頭」があると知り、居ても立ってもいられず買い求めに向かったのだ。蒸したてを手に取り、期待に胸を膨らませてかぶりつく。しかし、確かに美味しいのだが、どこかが違う。生地の厚み、餡の甘さ、蒸し上がりの香り──似ているのに、あの頃の味ではない。材料も作り方もそう大きく違わないはずなのに、どうしても届かないものがある。それは、母の手の温もりや、家の竈門から立ち上る湯気、冬の冷たい空気と甘い香りが入り混じった台所の空気感なのだろう。

食べ物の記憶は、味だけでなく、そのときの情景や感情ごと心に刻まれる。だからこそ、半世紀を経てもあの饅頭は私の中で色褪せない。たとえ同じ配合で作っても、あの日の空気までは再現できないのだ。それでも、ふと思い出したとき、またあの味を探しに車を走らせる──それもまた、私なりの母への想いの形なのかもしれない。


















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最終更新日  2025/08/17 12:00:14 AM
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