2005年10月10日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay


 その雨に呼応するようなわたしの昨今。
 夕べ、久しぶりに次女とゆっくりワインを飲んだ。
 すごく安いワインだけど、こんな夜にはふさわしい。
 「母さんの気持ちはよく分かるよ。この先はあんまり関わりたくない人たちだもの」
 わたしは慌てて言葉を選んだ。
 嫁がなければ、わたしと同じお墓に入ることになる。
 それぞれが選択した人生には違いないけれど、半分はわたしの責任なのだ。
 「時には衝突して、つい毒を吐いてしまうけど。大好きだよ、母さんが」

 「別れたって、父さんは父さんだよ。一周忌が終わったら、伯父さんにお位牌をもらったら?生涯他人任せでは、なんか切ないじゃない」
 そこで前述のセリフを次女は吐いたのだ。

 でも、本当は形なんてどうでも良いのかもしれない。
 彼女らだって、今に嫁げばその処置に困る日が来るだろう。
 わたしの中には、ちゃんと向き合えていた時の彼が住んでいるし、きっとそれでいいのだと思う。
 お墓だのお位牌だのって、それはどこにあってもさして問題ではないのかもしれない。
 思う気持ちさえあれば、いつでもお墓参りはできるのだし。
 そんな話を、次女とした。
 少し酸味の強い赤ワインを口に含みながら。

 多くを語らなくても、彼女らはちゃんと心得ている。

 これこそが、わたしと彼が成し遂げた共同作業だったのだ。
 今更ながら、感じ入っている。
 これで良いのだ、と。

 窓の外は、いつ止むとはしれず雨が降り続いている。





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最終更新日  2005年10月10日 12時42分12秒
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