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夏の高所で蚊の如く飛び交うヒメハナカミキリだが
4月の高尾ケーブル下のカエデの花に訪花していて驚いた。
セスジヒメハナカミキリ
ところが高尾より高標高で山深い奥多摩においては
4月にも拘わらず5種のヒメハナが発生していた。
ミツバウツギが至るところで満開を迎えて
フタオビノミハナばかりが大発生。
林道から逸れて奥深い日陰の林縁のサワフタギでは
チャイロヒメハナ
ニセヨコモンヒメハナ
コトヒメハナが得られた。
体長6.5-8.1mm
色彩、斑紋の変異が少なく、♂♀が似ている。
頭部、前胸部、小楯板は黒色。
頬はやや発達し、前半は徐々に細まり、後半で急にくびれ頸部に至る。
上翅の斑紋は♂でS紋は太く、前方は広がり基縁に至り、
後方は徐々に細まり、上翅の1/8を残し消失する。
H紋はない。
Lb紋は大きく、Lm紋は楕円形。
腹面は♂では頭部は黒色で、のどは黄褐色。胸、腹部は黒色。
♀では頭部は黒色で、のどは黄褐色、時に黒ずむ。胸部は黒色。腹部は黄褐色。
本種はセスジヒメハナと似るが、のどが黄褐色で♀の腹部が黄褐色で
ある点で
腹面全体が黒色のセスジヒメハナとは区別できる。
系統的にはコトヒメハナはミワヒメハナ、トサヒメハナとともに1群を形成する。
この3種はモミ林やブナ林に生息する。
生態的にはセスジヒメハナと棲み分けており
セスジヒメハナは二次林にコトヒメハナは原始林に生活する。
これは前者がより明るい環境を、後者がより暗い環境を好むことが原因と考えられる。
東京都奥多摩の日原本谷では林道沿いの日向にはセスジヒメハナが採集され、
林道より尾根に向って20-30m入った原生林内の日陰にはコトヒメハナが採集される。
成虫は4月下旬-7月下旬
伊豆半島から奥多摩にかけてのモミ林やモミが混じったブナ林に出現。
カエデ類、タンナサワフタギ、ウシコロシ、ミズキの花に集まる。
驚くほどに大図鑑解説に当てはまり
研究者の努力に対して畏敬と感謝の念に耐えない。
昨日6月2週末、長野のタニウツギに多くのピドニアを確認した。