2002年10月15日
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「文学のこみち」の散策を終えてtetywestは十分満足だったのだが、まだ時間はたっぷりあった。それ以外の予定は全く立ててなかったので、案内標識で見つけた「尾道市立美術館」へ行くことにした。何が展示されているかは知らないのだが、文学の後は美術鑑賞も悪くない。ところが美術館は改装工事中で休館だった。来年の1月にならないと開かないとは残念!

もと来た道を引き返すのも面倒なのでそのまま先に歩いていくと、今度は「尾道城」という案内標識を見つけた。しかし、進むにつれて次第に人影が少なくなってきた。なんとなく寂れたような雰囲気で、どうも観光コースから外れたようだ。しばらく歩くと「尾道城」の屋根が見えた。しかし、屋根瓦はずり落ちたまま放置されているし、アルミサッシの窓にはカーテンも無く、中はカラッポで、入り口は閉鎖されていた。「尾道城」は観光用に造られた鉄筋コンクリート製の城だった。それに遠くから見るよりも実物はずっと小さい。これで月でも出れば、まさに「昔の光、今何処」というところだ。ただ、蔦の絡まる石垣を下から見上げたときは、青い空に白壁がくっきりと映えて威風堂々としていた。やっぱり城というものは同じ高さの目線で見るものではなく、見上げるものだと思った。

そこは千光寺山の西端だった。もう他に見るものもないので、歩いて下りるしかない。10分も歩くと、山陽本線と国道2号線を跨ぐ歩道橋に出た。歩道橋を降りると商店街だった。バスに乗ろうと尾道駅へ歩きかけたとき、突然林芙美子像に出会った。傘と鞄を傍らに置いて波打ち際に佇んでいる。そのまま「放浪記」から抜け出したようなシチュエーションだ。西に傾いた太陽が憂いを含んだブロンズの顔を照らしている。おまけに国道2号線と山陽本線が借景になっていて、タイミング良く上りの貨物列車が通り過ぎていく。こんな偶然の重なった林芙美子との出会いに感動してしばらくその場を動くことができなかったtetywestだった。歩き疲れていたというのが正直なところなのだが・・・

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尾道駅からバスに乗って新尾道駅へ向かう頃には太陽は山の陰に沈んでいた。今度は間違わないように後ろから乗ったし、290円もちゃんと用意していた。

尾道は徒歩で散策するのが一番お似合いの町だと思う。町の端から端まで歩いても1時間もかからないだろう。どこにいても海が見えるために、迷子になる心配がない。もし路地で道が分かれていたとしても、下っている方を選べば必ず商店街へ行き着くことが出来る。商店街と国道2号線と山陽本線は海に沿って平行に並んでいるので、これまた迷いようがない。それに千光寺山からは、まるで地図を見るように実際の地形が見渡せるのだから、どんなにひどい方向音痴の人でも安心して歩ける町だ。

狭い路地では地元の人々の生活に触れながら文学の香りを嗅ぎ、そして素晴らしい瀬戸内海の風景を眺めることが出来る尾道。狭いスペースに見所が一杯詰まったおもちゃ箱のような尾道。新幹線を使えばたった2時間で行ける尾道。今回見逃した「映画資料館」や「文学記念堂」や「蓮華坂」・・・今度はゆっくりと散策してみたいものだ。tetywestは「もう一度絶対来るぞ」と心に決めて5時53分発の新幹線「こだま」に乗り込んだ。

※これで「全国柑橘研究大会」は全部終わりです。いや~毎度のことですが引っ張りました。最後までお付き合いくださったみなさん、どうもありがとうございました。(・・・と言いたいために39話にしたのでは決してありません・・・笑)






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最終更新日  2002年10月15日 12時11分22秒
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