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Jan 24, 2007
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カテゴリ: 小説 上杉景勝
 影虎を支持していた前関東管領の上杉憲政は、景勝に投降しようと影虎の

遺児、道満丸(どうまんまる)を連れてゆく途中、景勝の兵に捕らわれ、二人と

も斬殺された。こうして御館(おたて)の乱は終焉(しゅうえん)をみたが、その後

も、影虎一派に属した武将連は激しく景勝に対抗するのであった。

 翌月の四月、栃尾(とちお)城主で影虎派であった、本庄秀綱(ひでつな)が、

直江信綱の所領である与板(よいた)周辺に兵をだしたが、景勝側の反撃で兵を

引いた。

 春日山城で景勝がいらつきを隠さずにいる、ようやく跡目争いが決着したという

に、つぎつぎと国人領主の反乱が起こる。



絶好機にござる。まずは去就(きょしゅう)さだかでない国人領主の懐柔をなされ。

さらに、お味方に参じた者供に恩賞をくだしおかれませ」

「判った」  景勝は兼続の言い分を聞き、降った者に感状を与え、所領を増やし

役目を申しつけた。こうした地道な努力が、徐々に効果を顕してくるのであった。

 この働きで樋口兼続は、上杉家の執政(しっせい)の地位を固めたのであった。

 天正八年四月、突然、景勝は一万余の大軍をもって地蔵堂に進攻した。

 何度となく反旗をひるがえす、栃尾城の本庄秀綱を殲滅するための出馬であっ

た。本庄秀綱も手勢を集め、地蔵堂で合戦となったが、衆寡(しゅぅか)敵せず、

居城の栃尾城に籠城した。  兼続は景勝に帰国するよう願いでた。

「折角の出陣じゃ」  戦好きの景勝が気色ばんで断った。

「このような小競り合いに、上杉家の当主が兵を率いるなんぞは、愚の骨頂に



 この合戦の行方を見守っている、国人領主に対する兼続一流の戦略であっ

た。慧眼(けいがん)な景勝は意をくみ、春日山城に戻り戦局をみつめている。

 兼続は自慢の甲冑姿で騎乗し、桜の小枝を指揮棒として指揮を執っている。

 彼が手をふるたびに桜の花びらが舞う、さすがは北陸随一の美丈夫とうたわ

れた武将だけはある。まさに一服の武者絵をみるがごとくの勇姿であった。



 四月二十二日、栃尾城は落城し、残敵を掃討し五月には春日山城に凱旋し

た。兼続は戦勝報告を終え、景勝と久しぶりに酒を楽しんだ。

「わしは、そちの城代じやな」  珍しく景勝が冗談を言う。

「暫くは城代に徹していただきます。七月には三条城を落します」

「神余親綱(かみよちかつな)か?」  景勝が剽悍な眼差しで聞いた。

「はい、お屋形さまにお願いの儀がござる」

「今度は、わしの出番か?」  景勝の顔つきが変わった。

 兼続が大杯を手に破顔した。  「何が可笑しい」

「合戦とは楽しむものに非ず、苦悩するものにござる。お屋形さまは楽しんでござ

る」  景勝のこめかみに血管が浮いた、兼続の云わんとすることは判るのだ。

 兼続が威儀(いぎ)を正した。  「越中の件にござる」  「それがどうした」

「不識院公が手を砕き、得た能登、越中を織田信長が狙っております。我らの

今の力では、松倉城と魚津城の確保が精々にござる。まずは魚津城に増援の将

をお考え下され」  珍しく兼続の白皙の顔が真剣である。

「考えてみよう」  景勝には無念なことであるが、彼は簡潔に答えた。

 謙信存命ならば、能登、加賀、越中、信濃、越後一国に関東の上野(こうずけ)

までが上杉家の版図であったのに、越後一国もままならずにいるのだ。

 主従は黙然と酒を飲みつづける、平素は二人とも無口であった。

「ところで、お子はまだにござるか」  思い出したように兼続が訊ねた。

「・・・・・」   景勝は無言を通している。

「失礼ながら、お方さまとは閨ごとはございますのか?」

「兼続、主人にむかってそのような、些事(さじ)を尋ねるとは無礼じゃ」

「男女の閨房(けいぼう)事は些事ではござらん、男女にとり重大事にござる。

ましてや、拙者と約束なされた」  「菊と寝るとはいわなんだ」

  景勝が不貞腐れている。  「情けなきかな」  兼続が天を仰いだ。

「そちは、いささか騒ぎすぎる。神仏にかけて違背(いはい)はせぬ」

 年上の景勝が、兼続をいたぶっている気配がする。

小説上杉景勝(21

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Last updated  Jan 24, 2007 09:39:11 AM
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