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Jan 25, 2007
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カテゴリ: 小説 上杉景勝
「お屋形さまも、人が悪うなられましたな」  「そちのお蔭じゃ」

 青味をおびた肌をみせ、景勝の眼がふっと笑ったように細まった。

 この年の真夏の炎天下、景勝率いる精兵が突然に三条城を包囲した。城主の

神余親綱は仰天した。まったく予測のできない晴天の霹靂(へきれき)であった。

 城の周囲は、びっしりと上杉勢の兵で埋めつくされている。旗指物が風になび

き、壮観な様相を呈している。まさに、諸葛亮孔明を彷彿(ほうふつ)させる疾風

怒涛の采配を景勝はみせたのだ。

 完全に戦意喪失した神余親綱は、三条城を開き景勝の膝元に屈した。

 残るは北条輔広(きたじょうためひろ)の籠もる、北条城のみである。この城も



 こうして越後を二分した動乱は、天正九年の二月で幕をとじた。

 景勝と兼続は国内統治の強化とし、三条城を甘糟長重(あまかすながしげ)に

与えた。この甘糟長重は第四回川中島合戦で、上杉勢の殿(しんがり)を見事に

果たした武将として聞こえていた。

 本庄秀綱から奪った栃尾城は、景勝の父、政景に仕えた五十騎衆の一人であ

った、宮嶋将監(しょうげん)三河守に与えられた。

 こうして越後の国内統治は、謙信の代よりもいっそう強化されたのだ。

          (四面楚歌)

春日山城は三月を迎えようとしていた。新緑が芽吹き残雪の残る渓谷からは

鶯の鳴き声が聞こえ、日本海も春の季節を迎え穏やかに凪いでいる。

「お屋形さま、ようやく越後平定も終りましたな」  「そちのお蔭じゃ」



 青味をおびた頬が豊かになり、剽悍な眼差しも和んでみえる。しかし、内心は

秋霜烈日の勇猛心を秘めている。

 挙措(きょそ)も、何となく亡き不識院公に似てきていた、これも日頃からの鍛錬

の賜物であろう。だがけっして笑顔を見せることはなかった。

 兼続も二十二歳を迎え、年に似わわぬ老成した雰囲気を醸しだしていた。



「御館の乱の論功行賞に不服を申す輩(やから)が居ると耳にいたしております」

「わしの仕置きに文句を申すと云うか?」

「公明正大に扱っても、欲深い者には際限がございませぬ」

「わしは、己自身の褒美として酒じゃ」  景勝が大杯をあおっている。

「お屋形さまは、そうでございましょう、だが、我家は四面楚歌の情況。他国から

の挑発が心配にござる」  兼続が心のわだかまりを述べた、何かが起こりそう

な予感がしていたのだ。

「申し上げます。越中の河田長親(ながちか)さまの使者が、お目通りを願いでて

おられます」  廊下より留守衆の黒金泰忠(やすただ)の声がした。

「通せ」  すかさず兼続が声をかけた。

 河田長親は謙信に越中代官を命じられ、魚津城(うおづじょう)に詰めていた。

 越後が内乱中、織田家は加賀、能登に進攻し、越中の富山城を攻略した。

 魚津城は越後の国境寄りの上杉家の、前哨基地として松倉城と共同して織田

勢の進攻を抑えてきた。

「拙者、魚津城の河田長親さまの家臣、斉藤親広(ちかひろ)と申します。主人、

河田は体調をくずし、松倉城で養生中にございます。ぜひ、書状をお屋形さまに

お届けいたすよう、命じられ罷りこしました」

「ご苦労じゃ、下がって休息いたせ。追って沙汰いたす」  兼続が命じた。

「兼続、書状を読み上げよ」  兼続が一読し頬をくずした。

「お屋形さま、織田家の北陸方面の重臣ども、二月末の洛中での馬揃(うまぞろ

い)のために京に戻り、越中を留守にしておる模様にございます」

「なにっー、誰が京にのぼった」  景勝が立ち上がっている。

「柴田勝家、前田利家、佐々成政、不破光治(ふわみつはる)、金森長近(ながち

か)、柴田勝豊(かつとよ)等にございます」

「面白い、北陸の重臣度もすべてじゃ」

「佐々成政には痛い目にあっております。奴の居城、小出城に攻め込みますか」

「富山城は孤立いたすな」  「御意に」

 景勝は暫し、熟慮した。今なれば北陸の織田勢の主だった武将は京におる、

越中、能登、加賀も空家どうようである。攻め込むならば今をおいてない。

「兼続、陣触れじゃ」  景勝が即断した、流石は上杉の当主である。

小説上杉景勝(22

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Last updated  Jan 25, 2007 09:29:55 AM
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