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Feb 15, 2015
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   (浅井勢謀反で信長窮地に立つ)

「直ぐにも京に出発いたしますか?」  

 小十郎が例の声で勘助の乾いた顔を見つめ訊ねた。

「そちなら、美濃から京は一っ走りの距離じゃ。明朝に発て」

「畏まりました」

「最初はわしが将軍公にお目通りいたそうと思ったが、異体の知れぬ牢人者

では将軍公も会っては下されまい。大殿ならば将軍義昭さまも喜んでお目通り

を許そう。義昭さまより浅井家、朝倉家や諸大名等に、信長包囲網の御内書を

発して頂く」 

 勘助が驚くべき事を口にした。 

「信長包囲網にございますか?」

 小十郎が反復し訊ねた。彼もこの使命が重大と知っての事である。

 二人の会話をお弓が眸子を輝かせ見つめている。

「そうじゃ、恐らく信長は浅井家に相談もせず、朝倉攻めを強行いたすと思う。

その退路を絶つ為に久政殿にも、御内書を発して頂くのじゃ。もうひとつある」

 勘助が言葉を止め隻眼を宙に遊ばせ、一気に語りだした。

「小十郎、石山本願寺の蜂起もお願いいたすのじゃ」  

「・・・-」

「これは万が一の策じゃ。信長が命を永らえたら真っ先に浅井家が狙われよう。

  石山本願寺が蜂起いたせば、近江の門徒衆も決起いたそう。信長に追放された

六角承禎(じょうてい)も息を吹き返し、浅井家と手を握るだろう。信長にとり

四面楚歌となるじゃろう。わしが申しておったと大殿にお伝えいたせ」

「大殿から将軍さまにお願いして頂くのですな」  

「そうじゃ」  

 勘助の返答を聴き、小十郎は京の状勢を掌のように差すことに驚嘆した。

「河野さまには?」 

「暫し待て、お弓殿、大殿の伝言とはどのよう事にござった?」

 勘助がお弓に視線を移した。 

「何も申すことはありませぬ、勘殿が全て言うてしまわれましたぞ」

 お弓が艶然と微笑みを浮かべ、勘助の異相を見つめた。

「小十郎、河野には今の話を残らず申し聞かせよ。わしから御屋形への伝言

じゃ、今が武田家にとり上洛の絶好機、このように御屋形にお伝えするよう

河野の申せ」  

「畏まりました。明朝に京に出向き大殿にお会いした後に甲斐に行きます」

 小十郎の小柄な躯が音もなく部屋から消えうせた。

「勘殿は益々冴え渡って参りましたな」  

 お弓がしげしげと勘助を感心の面持ちで見つめ、勘助がお弓の濡れた眸子に

圧倒され視線を外した。

 勘助は織田家を巡る、信長包囲網を仔細に説明した。

 岐阜を巡って近江の浅井家、越前の朝倉義景、近江一向衆、越前一向衆、

摂津には一向衆の本山、石山本願寺が信長と敵対関係にあった。

 そこに越後の上杉家、甲斐の武田家も虎視眈々として上洛を狙っている。

 こうした状況で信長が越前の朝倉義景の討伐の軍勢を起こせば、蜂の巣を

突いたように紛争が激化することは目に見えている。

 これは武田家にとり願ってもない状況に成るのだ。

「お弓殿、わしも大殿も年老いた。武田家の御旗が京の都に翻る光景がみたい」

 勘助がしみじみとした声で訴えた。

「勘殿はまだまだ若い、今宵、わたしが慰めてやりましょう」

 お弓が挑発するように勘助の節くれだった手を握りしめた。

「もう、わしは女子は無用じゃ」  

 勘助が苦笑で応じた。

「わたしはまだ女盛りじゃ。好いたお方に最後に抱かれてみたいのです」

 お弓の顔に若々しい色香が漂っている。  

「わしは知らぬぞ失望されても」

 身内から微かに欲情が湧くような気分と成っていた。

「良いのです。今生の別れかも知れませぬ、夢を抱いた一生が送りたいのです」

 この言葉は女としてのお弓の本音であった。

 その夜、お弓の手練手管で勘助は久しぶりに猛々しい雄と化していた。

 男の妄執を感じながら、勘助はお弓をかき抱いた。

「あれ、勘殿、そのような」  

 勘助がお弓の敏感な箇所に手を這わせたのだ。

 まだまだ若い身体じゃ、お弓の膚は滑らかで贅肉ひとつない。その豊満な

肉体が勘助の腕のなかでうねり、甘い歓喜の声を途切れ途切れにあげている。

 勘助は全てを忘れ、お弓の豊潤な肉体に溺れていった。

 烈しい営みが終り、勘助が疲れでお弓の胸に顔を埋め泥のように眠った。

「勘殿、許して下され。今夜は薬を用いましたぞ」

 お弓が愛おしそうに勘助の寝顔を食い入るように見つめた。

 豊満な乳房は昔どおりで小粒な乳首が隆起している。

 まだわたしは女子じゃ。そう合点し、お弓がそっと褥から抜け出した。  

「おうー、寒い」

 矢張り年には勝てぬな、それが彼女の実感であった。

 元亀元年(一五七0)四月二十日、義昭の名で上洛を勧めた越前朝倉義景が、

その命令に背いたのだ。

 そのことあると知っての信長の計略であった。

信長は徳川勢を加えた三万余の大軍を率いて京を出撃した。幕命に叛いた

若狭の武藤上野介を討つとの名目であるが、真の狙いは朝倉攻めであった。

 越前敦賀平野に進攻した。織田徳川勢は瞬く間に手筒山城、金ヶ崎城を陥し、

越前に向かう険路な木の芽峠を越え、義景の本拠一乗谷に猛進中、予想だに

しない、北近江の浅井家の反旗の知らせを受けたのだ。

 信長は耳を疑った、妹のお市の嫁ぎ先の浅井家の当主は浅井長政であり、

彼は信長に忠実であった。その浅井勢が寝返ったのだ、瞬時に浅井久政の

顔が脳裡を掠めた。

 朝倉攻めの通達を怠ったことが、浅井家の挙兵の理由であったが、久政が

翳で動いていたのだ。

 浅井久政は朝倉攻略後の信長の標的が、我家にあると倅の長政を説き伏せて

の挙兵であった。

 その久政の心を動かしたものが、将軍義昭の御内書であり、甲斐の武田家の

書状であった。

 義昭の御内書の内容は、甲斐の武田家の上洛も近い、ここで信長包囲網の

一角として越前、近江は信長に反旗を翻せ、これが義昭の密命であった。

 また信玄の書状には、国を挙げて上洛の準備中で近々には上洛の軍勢を

発する旨の内容であった。

 越前の敦賀平野はいたって狭い平野である、そこに三万余の織田勢が充満

している。腹背から挟撃すれば浅井朝倉連合軍の勝利は間違いない。

 これが浅井久政の心を揺るがした因(もと)であった。

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Last updated  Feb 15, 2015 06:38:29 PM
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