こんにちは♪ ス~ジ~です♪
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飯島愛さんの『PLATONIC SEX』(2000年10月)を読んだ私の心に余韻を残しているのは、DJ敏之くんとの出会いと別れの場面です。敏之くんは、私たちがよく通っていたディスコのDJで、本場ニューヨークで活躍し、日本のクラブシーンに新しい風を吹き込みたいという夢を持っていた。彼と私は直接話したことはほとんどなかった。智恵美や順子のつきあっていた男だったから、面倒くさいことになるのが嫌だったからだ。だから、彼が、智恵美を通して私にバースデイのメッセージをくれたのは、ちょっとした驚きだった。私はドキドキが収まらないうちに、電話をした。彼の部屋には電話が鳴り響いていたと思う。留守番電話のメッセージに切り替わった。「愛です。誕生日のメッセージ、ありがとう。うれしかった。電話をください」自分の電話番号を残し、受話器を置いた。好きな男からのコールバックを待つ時間は、へんにソワソワする。絶対自信があっても、それは同じ。相手を好きでいればいるほど、期待感と不安感は募る。杞憂は喜びに変わった。彼からすぐに電話があったのだ。「会おうよ」と彼の包み込むような声に頷いて、私たちは一緒にご飯を食べに行った。ずっと心の中で憧れていた敏之くんとのデートは、ちょっとした幸せだった。幸福は急激に深まることもある。敏之くんは、その日から自分のマンションに帰らなかった。「一緒にいよう」そういいながら、彼は私のひざ枕で私の表情を覗きながら毎日のように甘えてみせた。くたくたになって撮影から帰ってくると、部屋には明かりがついていて、大好きなトシちゃんが出迎えてくれる。彼との生活は、私のすべてを癒してくれた。(当時、飯島愛さんは、AVデビュー後、テレビ東京系のお色気番組『ギルガメッシュないと』にレギュラー出演し、写真集やグラビアの撮影も入ってきた。3カ月のAV出演契約が切れると、「もう三カ月だけ働いたら、前回の倍(2000万円)は最低保証するよ」と言われ、愛さんは、彼に相談せず、契約延長の話を許諾してしまいます。)街は冬にさしかかろうとしていた。その日のテレビの収録を終え、いつもの見慣れた道をいつものように車で帰った。マンションの鍵を開け、玄関に座り込む。「ただいま」部屋の奥の彼に聞こえるように声をかけながら、ブーツを足から外した。コートも脱ぐと、ちょっと体が軽くなる。軽い足どりのまま部屋に入ると、出かけているのか彼はいない。部屋の中を歩きかけて、私は体を固まらせた。いつもあるものがない! 彼の荷物がすっかりなくなっていたのだ。彼はどこかへ行ってしまったのだ。ふたりで一緒に生活していた温かい空間が、冷たい空間に一変していた。私は、倒れ込むように泣いた。子どものように声を出して泣きわめいた。三日たっても、一週間が過ぎても、彼は帰って来なかった。私は、毎日のように泣いた。生放送もばっくれた。つけたテレビからは司会者が「愛ちゃん、怒らないからおいで」と呼びかけていた。マネージャーからはひっきりなしに電話がかかってきたが、取ることもできない。悲しくてもお腹は減る。作る気力もない。私はピザ屋に出前を頼んだ。しかし、到着したピザを受け取るのにドアを全開にすると、「そばにいる」というマネージャーに踏み込まれるかもしれない。チェーンロックをしたままドアをほんの10センチだけ開けて、ピザを縦にして受け取った。リビングに戻って箱を開くと、ピザは片方に寄って、見るも無残な姿になっていた。ふたりは、すれ違いの生活の中で、交換日記をつけていた。1991.11.4 愛今日からトシちゃんと二人で暮らすの。愛ちんが男の人と一緒に生活したいと思ったの、本当に久しぶり。まだ、お互いに仲よくなって一カ月ほど。でも愛は好きで好きで……、一秒だってあなたを離したくない。この先色々なトシちゃんの一面に惹かれて気持ちは高まる一方でしょうね。トシちゃん、愛はずっとずっと、あなたを愛し続けます。寂しい思いや辛い思い、させないでくださいね。愛だけのトシちゃんでいてください。1991.11.11 敏之無職を初めてやってしまって数カ月。早く落ち着いて仕事をしたい。いろいろ迷惑をかけて、愛ちん、ごめんなさい。早くN・Yに留学して愛と向こうで生活がしたい。それまで頑張って働いて金を貯めたいです。今は何かと生活が落ち着かないけれど、ちゃんと将来を考えていこうと思う。愛ちんと結婚するもんね。ぼくは愛ちんを愛しています。ぼくの愛ちん。1992.1.18 愛最近お仕事が大変で大好きなトシちゃんと過ごす時間がほとんどありません。忙しいです。But トシちゃんはいつもお家の中でおかたずけをして待っていてくれます。ありがとう。愛ちんの好きになったトシちゃんは、優しくて、とってもいい人で……。本当に幸せです。絶対に絶対にトシちゃんだけは、愛ちん、誰にも渡さないよ。愛ちんの大切な大切なトシちゃん。最近……ごめんね。1992.1.19 敏之全然最近一緒にいる気がしない。起きて話をしている時間なんかほんの一、二時間。仕事だからしかたないけど、寂しい。今までずっと何をするのも一緒だったからなおさらだけど、離れたくないし、離したくない。早く帰ってきてちょうだい。イヤだ。寂しい。一人でメシを食うのは、もうイヤだ。最近一緒にご飯も食べてない。早く、オレ一人の愛になってほしい。寂しいよ、愛ちん。1992.2.17 愛お願い、そばにいてください。別れる方向に考えないでください。今も、これからも、あなたがいない生活なんて考えられない。考えたくないよ。愛のしてることは彼女として最低なことで、何もいえる立場ではありませんね。でもトシちゃんのこと思う気持ちや、二人で過ごす時間は普通の女の子だし、誰にも負けないくらい愛してる。忙しくて、彼女としてあなたにしてあげられないことたくさんあるけど。でも一人で寂しい時間を与えてしまっている分、休みのときは二人で楽しくできるよう、今まで以上に努力しようと思うの。まだ知り合って三カ月ほどだけど、色々な思い出いっぱいあって……。もうトシちゃんのいない生活は本当にイヤです。どうしていいかわからないもの。せっかく本当に大切に思える、大好きな人ができたのに……。優しくされても、そばにいてくれても、今までは不安だった。幸せな分、いつこの幸せがくずれるのか、考えると不安だった。だからもう先が見えそうで。トシちゃんが頭の中から離れていかないよ。絶対にイヤ、別れない。愛はトシちゃん以外、もう一生こんなに人を愛せないから。ずっとずっと愛し続けてください。1992.3.18 敏之ゴメン、オレが間違ってた。今の仕事、好きでやってるわけないよね。それなのにいつも自分の感情押しつけて……。仕事でも何だかんだいわれて、しかもオレのことで……。家に帰ってきてもオレにいわれてイヤだったんだろうね。ごめん。仕事をしないのも、オレが結局愛に甘えていた部分と自分で逃げていた部分が正直あったと思う。早くオレの方もはっきりしないとね。信じてください。浮気なんかしてないし、愛してるし、将来もよく考えるから。1992.6.16 愛大好きなトシちゃんの子どもだから、産みたい。すごく悲しいね。でも、自分たちには今、子どもを産んで育てることができません。無責任な愛たちが悪いの。絶対に産みたかったの。もう二度とこんなこと、ないようにしようね。将来、New Yorkで生活して、何かを得て、そしたら今度は愛が妊娠したことを喜んで下さいね。今回の子どもの分も大切に育ててあげようね、トシちゃん。愛にとっても子どもにとっても、いいパパさんになってください。これからも愛だけの大切なトシちゃんでいてね。もうすぐ、毎日一緒にいれるよ。1992.6.18 敏之愛ちんごめんね。いつも謝ってばかりだね。何て言っていいのか、悲しいし、かわいそうだし、オレが無責任だった、真剣に反省している。今は何て言えばいいのかわからない。子どもにはごめんなさいとしか言えない。今度そのときが来て、子どもが産まれても、もう一人生きているはずだったことを忘れずに生きていこうね。いつもお前にだけつらい思いをさせてしまって本当に情けない。オレができること、一生かけてつぐないます。でもオレも本当に欲しかったんだよ。1992.6.30 愛ただいま、トシちゃん。手術終わって帰ってきました。愛は元気だよ。もう本当に、赤ちゃん、殺してしまった。悲しいね。ごめんね、赤ちゃん。産んであげられなかった私をうらんでください。トシちゃん、愛はだいじょうぶ。だから赤ちゃんにだけ、申し訳ないとあやまってください。1992.9.30 敏之寂しいのは相変わらず。ここ何日かだけど、小さなささいなケンカ、多いね。相変わらずオレもぐちぐちしちゃってるし、たまに不安になってしまうんだよね。愛が冷たいとね。男だからそんな小さいこと気にするなって思ってるんだけど、いってしまうんだ。愛とつき合い始めてから、本当のオレの性格って何なんだろうって思うようになってきた。強いのか、弱いのか、優しいのか、冷たいのか。今まで好き勝手やって人を傷つけてきた。ばちがあたってるくらいだったら楽だけど。もう、昨日までのイヤなことは忘れよう。もっと男らしく、大人になって愛を包んであげよう。愛のいいところも悪いところもすべてわかったうえで、愛していよう。一日一日平凡でもいい。もっと二人でいる時間を大切にしてあげよう。愛ちん、もっとオレ、大人になるからずっと一緒にいて。年をとって楽しかった、幸せだったといえるようなつき合いをしようね。オレのそばから絶対に離れていかないでね、愛してるよ、愛ちん。彼から電話はなかった。彼はどこに行ってしまったのか、何をしているのか。まったく情報も入ってこない。私は仕事を休み続けた。それでも二週間もたつと体も心も慣れてくる。ようやく仕事に復帰し始めた。さらに、一週間がたち、二週間がたち、一カ月を過ぎる頃には、少しずつあきらめを覚えていた。泣き出すと涙が止まらないけど、泣く涙をこらえるということを、私は学習した。今までは、彼に対して負い目があった分、友達とのつき合いも仕事上の人づき合いもせずにまっすぐ帰宅していた。でも、もう待ってくれる彼はいない。早く帰っても家の明かりはついていない。私は家に帰り着く前に、友達に電話し、街に繰り出した。派手な服を着込み、大勢とバカ騒ぎをする。今までの私がさんざんやってきたことだ。一、二年、連絡をとらなかった男友達とも、恋人と別れたことを告げ、連絡をとるようになった。なぜ別れたかなどを話していると、やはり涙声が電話の向こうに聞こえたのか、男友達が心配をして、話を聞いてあげるからと、私の自宅まで夜中来てくれる。私は、今まで恋人ができたからといって友達を粗末にしていたことを申し訳ないと思った。でもそれは勘違いだった。男友達は、私の彼が出ていったことを知ると、当然のように覆い被さってきた。一瞬、信じられないと相手を疑ったけれど、彼に一途だった私が、そんなことを忘れていただけで、私は、そういう環境の中にいたことを思い出した。今までこうやって生きてきたのだ。恋人とのわずかな幸せな時間が純粋な心を与えてくれていただけだ。そう気づくと、私は反抗するかわりに、相手の舌を強く吸い、後ろに手を回した。そのまま体を沈め、自分のあえぎ声に寂しさを紛らわせた。男友達と身体を重ねあわせることで、彼の占めていた場所を埋めようとしていた。でも 埋まらない。違う。埋まらない。
2009.03.01
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