ノートルダム・ド・パリ

ローラン・プティの世界
「ノートルダム・ド・パリ」
     2003年8月20日初日 @渋谷 オーチャードホール


 出演;ジェレミー・ベランガール(パリ・オペラ座)(カジモド)
    ルシア・ラカッラ(ミュンヘン・バレエ)(エスメラルダ)
    バンジャマン・ペッシュ(パリ・オペラ座)(フロロ)
    アルタンフヤグ・ドゥガラー(モンゴル国立バレエ)(フェビュス)
 振付; ローラン・プティ


 第1幕
 幕が開くと、高い帽子をかぶった何人かの人々がいる。神官?みたいな。
 すぐに場面が変わって民衆のダンス。服の色が派手で民衆には見えないけど。しばらくすると、舞台中央にカジモドが現れる。ベランガール。右腕を大きく不恰好に捻じ曲げた姿勢。例のカジモドポーズ。
 ベランガールのあのパリ・オペラ座でお化けのように好き勝手踊っていたダンスとは似ても似つかぬ無骨な、難しいダンスです。
 カジモドは民衆に祭り上げられる。
 そこへフロロがやってきて浮かれていたカジモドはすごすごと引き下がる。
 フロロの耳から離れないタンバリンの音。それはエスメラルダのタンバリンの音。
 エスメラルダのラカッラ登場。手足が長ーーい! 特に手は異常に長いぞ。この人のプロポーションはすばらしい。アラベスクは90度以上、足が上がっていて、とても美しい。エスメラルダのソロはとても素晴らしい。ここで初めて拍手が来た。
 エスメラルダを捕まえるようフロロに命令されたカジモドは嫌がる彼女を追いかける。赤い服を着た異様な人々の群舞。
 フェビュスが登場。う~ん。ルグリと比べてしまうので何ともいいようがない。(言わせてもらえればもっと体をしぼって!金髪もどうかと思うぞ)
 カジモドはフェビュスの率いる兵隊に死ぬほど殴られる。エスメラルダが何度も手のひらで水を汲んできてカジモドに飲ませる。二人の心が通じ合う瞬間。
 居酒屋での商売女たちとのダンス。フェビュスはもてもてでエスメラルダは妬く。このモテモテ感がドゥガラー君じゃちょっとね…。
 そして、フェビュスと愛し合うエスメラルダ。ここでエスメラルダとフェビュスの衣裳がパッとはがされ、まるでエスメラルダは裸のように見える服になる。
 嫉妬にかられるフロロ。この3人のパ・ド・トロワ、良かったです。1幕の一番の見せ場がここです。エスメラルダをリフトしたフロロがフェビュスの肩にエスメラルダをのっける、というような難しいリフトもあった。最後にフロロがフェビュスを刺し殺す。エスメラルダが犯人にされ、処刑されようとする。そこへカジモドが現れ、彼女をさらっていく。

 第2幕
 エスメラルダとカジモドのパ・ド・ドゥ。すばらしいです。音楽も唯一メロディアスかなー。エスメラルダに誘われて、手足の不自由さから解放されて踊るカジモド。せつない美しいダンス。横にエスメラルダを抱いて、ノートルダムの鐘が左右に揺れるように揺らして地面に下ろす。気持ちよく眠っているエスメラルダ。最後に魔法が解けて元に戻っていくカジモドが哀れでなりません。(落涙)
 エスメラルダを見つけ、いかり狂うフロロ。エスメラルダをいじめまくります。こわいぐらい。罵倒しまくって殴る、もうサイコパス状態のフロロ。エスメラルダはおびえまくり。死んだフェビュスの死体まで出てきて民衆に蹴飛ばされて転がっていく。怖いよ~
 エスメラルダは処刑される。首吊りって、プティ、好きですね。「若者と死」も首吊りだった。死への執着、こだわりが感じられて、ちょっと怖い。同時に、カジモドはフロロを絞め殺す。このへんがちょっと「カルメン」で牛と同時にカルメンが殺される図式と似てないか? カジモドはエスメラルダを抱いて去っていく。幕。

 このバレエは、カジモドは主役といっても主役ではなく、フロロとカジモドとフェビュスと3人のトライアングルで、その中心にエスメラルダがいるという図式のようである。実際、一番踊っていたのはフロロだ。実はフロロが主役ですよ、これ。彼の心理描写が中心になっている。パリ・オペではニコラとルグリとイレールだったから、トライアングルがうなずけるんだよね、そりゃ、そうでしょ、と。イレールとルグリの踊る部分が少なかったらそりゃ、問題でしょ。

 この舞台では群舞も見所である。群舞は民衆の身勝手な怒りや喜びや何より残虐さを表すものである。つまり世の中の世論と一緒であり、いわば、神のような、パワーを持った、絶対的な存在である。カジモドを翻弄し、エスメラルダを殺すのは民衆なのだ。ただし、今回の舞台ではどうなんだろう、難しいよね、表そうとしていることはわかるが、皆、表情が能面なので伝わって来ない。
 プティはやはり芸術的すぎて、難しい。テーマは「暴力」と「死」。殴るシーン(それも執拗に。)が多く、登場人物が次々と死ぬ。ストーリーがいまいちわかりづらいのは、衣裳やセットがデザイン的で美しいけど、現実味がないから。もっと写実的にしてほしい。民衆のいろあざやかな服もいいけど、これじゃわからない。

 ラカッラは踊りとプロポーションがすばらしかった。お顔はすごい美人というわけではないが。ベランガールはカジモド役では実際どんな踊り手なのかがよくわからなかったからそういう部分では欲求不満。そういう役なんだからしょうがないんだけど。ペッシュはまあ良かった。病的な部分がはまりすぎて、怖すぎだー。

 カーテンコール。なんとプティ御大が登場。一番、パワフルで張り切っていた。(観客よりも熱狂していた!)何度も何度もカーテンコールしていました。プティさんが。

 余談; 観客席に、デニス・マトヴィエンコ(のそっくりさん?)がいた。似てたけどなー、違ったのかなー。スレンダーで背の高い上野水香さま、草刈民代さま、けがで降板した森田健太郎様もいらしゃいました。
 カーチャさまのおかげでいい席で見ることができました。ありがとうございました。



※Chinamiさんから「ノートルダム・ド・パリ」についてメールをいただきました!

 From Chinami さん;  2003 08/31

 「ノートルダム・ド・パリ」行って来ました。
実は、ストーリーをよく知らないまま見てしまったので、ストーリーが
分かりにくくて、せめて、ディズニーでも見ておけば・・・と後悔しました。

上野水香は、プロポーション抜群で日本人もここまできたか~という感じ。
あと少し表現力というか雰囲気が出るようになれば、海外に出ても十分やって
いけそうな気がします。
まだ若いから、これからが楽しみですね。

カーテンコールにプティご本人が登場してビックリしました。
初日だけかと思っていたけど、ひょっとして全公演に出てたのでしょうか?
Syevaさんのレポート通り、誰よりも盛り上がってました。

あんなにプティが目立っていいの?と思ってたら、友達が一言
「ポスターでは、題目の文字よりローラン・プティの世界の文字の方が
大きいのがわかったような気がする・・・・。」と。
プティの世界だから、彼がメインなんですね(^o^)




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