2011.03.15
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洗濯できないのに腕によだれがついていた・・・

外は雨、怖いな。電話は通じなかった。

缶コーヒーを2個買って、ママの手足を温める。

意外とすっきり目が覚めた。

ICUの看護師さんは浣腸が上手で、うちのやり方にもすぐ対応してくれた。

ママの目の調子が悪い。文字盤が難しくなる。あんまり笑ってくれなくなってきた。

「回路交換したい、フォーレ交換したい。」

看護師に相談しても、みんなに物資が少なく、我慢してもらってるのでできないと言われる。

「ママ、こういう事態だから、少しだけ待ってね」

そんな台詞を何度か言わなければいけない自分が嫌だった。

ajiさんから「海外のALS協会から寄付の申し出があるけど何が欲しい?」と聞かれた。

でも何が欲しいかわからない。水が欲しいです。水が。

隣のおばあちゃんは「水がほしい、水がほしい」と言っていたけど

水がたまって飲めなかったのに、今日、初めてご飯を食べた。

病院食はパンとシチューとリンゴの煮たやつだった。

やっぱりおかゆじゃないのは物がないからなのか?

ママのようにALS患者は回復することがないけれど、

回復すると言うことが、こんなにも力を与えてくれるのかと思った。

家族にも笑顔が戻って、私もうれしくなった。

「ばあちゃんよかったねー!戦争も乗り越えて、地震も乗り越えて、

病気も乗り越えて、長生きしなきゃね!!」と大きな声でばあちゃんに言った。

ばあちゃんは、入れ歯のない歯を見せて、

「あたしは食べ物より、水がいいんだけんとなー!」とガハハと笑った。

「ここも水がないって言うから、おばあちゃんにあげてください」とご家族に、

ペットボトルの水をあげた。

(しっかりばーちゃんは見ていたみたいで、やたら水を欲しがって家族が困ったけれど・・・)

ラジオではライフラインのニュース、ガソリン完売のニュース、


父が死んだ時、長い田んぼ道を帰る時に聞いた曲で

JJにオルゴールを作ってもらうくらい大好きな曲だ。

今度はきっと今のことを思い出すのだろう。

学生からもらったおにぎりを食べた。私は人からの親切を大いに受けている。

なんてありがたいんだろう。

でも、ごめんなさい神様。私は梅干しが食べられません。

ママが白目で寝ているので、今日の看護師はやり手だし

外出させてもらう。

と言うより、電気を確認しに帰ると言って帰らせてもらった。

実家に帰ると幼馴染ヘルパーちゃんが掃除していてくれた。

掃除機で・・・。

電気が通ってんじゃん!!

ネットもつながる。電話はつながらない。

何がおかしいのか、備え付けの石油ストーブがつかない・・。

アパートからファンヒータを持って帰ろう。炊飯器や、食料も。

多賀城あたりで泥棒が出ると言う噂があるらしく、貴重品もすべて持って、

張り紙もはがした。

ポットにお湯と、おにぎりと豪勢な肉入り卵焼きをもらって、

アパートに行く前に駐車場で食べたら

訪問入浴の車が止まるのが、バックミラーに見えた。

外に出たら、訪問入浴のスタッフの責任者の方が、タンクの水を配ってくれていた。

ガソリンもないと言うのに、なんてありがたいんだろう。

子供が乗っていたからお菓子をあげようと思ったらお断りされてしまった。

 外は雨だけど、

物騒なうわさが聞こえてくる中、人の親切が暖かかった。

アパートまで行く途中、閉まったコンビニの前で止まったら

携帯の電波が届いていた。

留守番メッセージ、12件。

「大丈夫ですか?お母さんは?連絡ください」

「私は大丈夫だよ。大丈夫だよね。連絡ください」

「地震大丈夫か?こっちは大丈夫だ。心配するな。また電話するよ」

「JJですー。俺心配だよー聞いたら電話してね。好きです~。」

そんなメッセージを聞いていたら、泣けてきた。

私は、大丈夫だよ。みんな、ありがとう。

 連絡取れなかった親戚たちに電話する。みんな本当に大丈夫だ。

気仙沼のおじちゃんおばちゃんも、家は失ったけど生きてる。

多賀城のおじさんおばさんも大丈夫。

JJは、東日本には渡航禁止になっているみたいで、こっちにはこれないみたいだった。

うちの職場は、老朽化が進んで立ち入り禁止になっているらしい。

よかった、崩れなくて・・・。

すっかり帰るのが遅くなってしまい、食間水を忘れられていた。

「ママ、大丈夫だった?」

「大丈夫じゃない」

「命にかかわった?」

「かかわらない」

「生きてればいいよー!!(笑」

実家は寒すぎる。ずうずうしく居座ろう。できることはやるし、椅子で寝てもいい。

ママの体温30度になってしまうよ!

「石油コンビナート消火したってラジオで言ってたよ」とママン。

・・・白目だったのにラジオきいてたのか。

清拭は手伝ってもらえそうになかったので、

ポットのお湯で顔を拭き、手を拭き、足を拭き・・・・

まあいいか、と自分の顔や首や背中や足を拭いた。

生きかえった。

ajiさんから、東京から仙台に支援物資を送ったから受け取ってほしいとメールがきて

きのこに連絡したら、みんなで取りに言ってくれるという。

私は何もできなくて、本当にもどかしい。

 外でタバコをすっていたここのドクターが

ママが昔入院していた病院がやばいと言っていた。

大丈夫だったけど、自家発電で明日まで持つか・・と言われ

I先生、すっげえ憎らしいと思ったこともあったけど

こないだ講演できれいになったって言ってくれたし

やっぱり無事でいてほしいと思った。

お隣のばーちゃんのご家族とワクワクしながら、簡易ベッドを広げて

今日は横になることにした。

ベッドの位置が低くて、ママの顔が見えなくて気になるけど。

やっぱり

私が起きると、ママが寝ていて、ママが起きると、私が寝ていた・・

ごめんね、ママン。

夢にはI先生が出てきた。真っ白い頭になっていた。

 きっと無事だと思ってましたよ。






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Last updated  2011.03.22 22:59:04
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